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黒い百合

1 :名無し物書き@推敲中?:03/12/15 23:38
雑ここ! ─18─ のスレで要望があったので、
単なる百合では無い、ダークな百合小説をこのコーナーで作ろう。

2 :名無し物書き@推敲中?:03/12/15 23:41
ではまず、ダーク百合とは・・・。
『 ダーク百合とは、百合モノで、暗ーい雰囲気の話だ。
 鬼畜百合もその系統が多いとされているが、残念ながら
 そのジャンルのモノは背徳性が高い為、数が少ない上に
 隠してある為に非常に見つかりにくい。』
・・・というものである。


3 :害出:03/12/15 23:42
http://book.2ch.net/test/read.cgi/bun/1030732131/

4 :名無し物書き@推敲中?:03/12/15 23:43
次に・・まあ、見知っているとは思うけど、作品例を。
〈以下は201氏に個人的に許可を得た上での掲載〉
「零」より パロノベ

「澪……、何処なの?
 ……ぐすっ、……ひどいよ、何で 置いて行っちゃうの……?」
 どろりと濁る闇の中、繭は一人 満足に歩けない足を引きずって歩いていた。
 襖から 天井の裂けている所から 床下から 
 禍々しい意思を持つ視線が、幾つも投げかけられている。
「……もう……やだ……」
 遂に繭は気力を尽かせて その場に座り込んでしまった。
……ふふっ……。
 背後から 声がする。
「――?!」
 繭はビクリと身を縮めた。だが、逃げようとはしなかった。
「澪……」  
 それは 繭が探していた――そして繭を置いてけぼりにした澪の声だったから。

5 :名無し物書き@推敲中?:03/12/15 23:43
「どうしたの? 泣いたりなんかして」
「・・・澪のせいだよ、置いて行ったりなんてするから・・・」
「ごめんね、・・・でもさ、その間に見つかったよ」
「・・・?」
「この村から出る方法」
「本当?!」
「うん。 でも、教えないし、行かないよ」
「・・・どうして・・?」
「知りたい?」
 そう聞き返す澪に、繭は一種の恐怖感を覚えた。
 次の瞬間・・・
――――え・・・?
 どさり、と 音がした。
 そして気が付けば、繭は澪によって床の上に組み敷かれていた。
「み・・お・・・?」
 名を呼ばれた澪は、妖艶に笑む。
「だって・・・この村を出ちゃったら、二人っきりになんて なれないじゃない。
 それに・・・」
 澪の舌が、繭の首筋を つう・・・と、くすぐる。
「・・・ね?
 お姉ちゃんをこうやって苛める事も出来なくなっちゃう」
「そんな・・・やめて・・・澪・・・」
「ふふっ・・・可愛い。 お姉ちゃん、大好きだよ。
 だから、永遠に ここに居よう」

・・・逃がさないから・・・ね。


 完


6 :名無し物書き@推敲中?:03/12/15 23:46
・・・以上の点を踏まえた上で、
「腕に自信のあるやつはダーク百合を題材に良作を作ってみろ」
  BYねこねこ氏

7 :シーチキン:03/12/15 23:53
>>4>>5、上手く見えるのは何故だーーー!

8 :201:03/12/15 23:54
ありがと

9 :ばか:03/12/16 00:05
アヒャヒャヒャヒャ
「腕に自信のあるやつはダーク百合を題材に良作を作ってみろ」
 の 腕に自信のあるやつは居ない様だな!!
 ふ ぬ け
 ふ ぬ け
 この板には腑抜け君しか 居 な い 。 

10 :名無し物書き@推敲中?:03/12/16 00:06
>>9
てめーが書け
氏ね

11 :201:03/12/16 00:09
あの「ばか」・・・いや、ヴァカを、ギャフンと言わせる作を作ってやれ。
・・・という企画はどうだろう。
 あくまで、黒百合で。

12 :名無し物書き@推敲中?:03/12/16 00:12
>>9いい加減にしないと もちとけた を呼ぶぞ!!
  お前が、あっちこっちの板で奴に完膚無きまでに叩きのめされている
  のを知っているんだからな!!
・・・いやぁ、あのやられっぷりといったら・・。
  ということで、恥かきたくなきゃ とっとと消えろ!! 


13 :名無し物書き@推敲中?:03/12/16 00:15
>>12、もちとけた って ナニ?

14 :名無し物書き@推敲中?:03/12/16 00:18
>>13 以前、この板に居たヤツ。
   5代目だかで 豹変して以降、荒らしキラーになった
   荒らし用の荒らし。
   ・・・たしか、どっかのシンフォニア板でも荒らしバッシングしてた・・・。    

15 :名無し物書き@推敲中?:03/12/16 14:50
さて また黒百合を探そう。
本日も、「腕に自信のあるやつはダーク百合を題材に良作を作ってみろ」
という事で。>>9をギャフンと言わせよう。
あのヤロウこの板そのものに対して喧嘩売ってるみたいだし・・・。
 誰か、何か黒百合作って。

16 :名無し物書き@推敲中?:03/12/16 16:37
じゃ、リレー小説方式でこの板の力を見せつけてやろうぜ。
まずはお約束の書き出しで。

「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
気のぬけた夜の挨拶が、澄み切った夜空にこだまする。
サタン様のお部屋に集う少女たちが、今日も淫魔のような淫らな表情で、背の高い扉をくぐり抜けていく。
汚れた心身を包むのは、黒い色の制服。
乱れきったスカートのプリーツ、剥ぎ取られたセーラーカラー、ひとしきり淫美な愉しみを味わってから登校するのがここのルール。
もちろん、男の一人も知らないなどといった、純粋な生徒など存在していようはずもない。
私立リストカット学園。
明治三十四年創立のこの学園は、もとは娼婦の見習いのためにつくられたという、伝統ある風俗系専門学校である。
東京都下。武蔵野の面影をいまだに残している緑の多いこの地区で、悪魔に見初められ、幼稚舎から大学まで一貫教育が受けられる秘密の花園。
時代は移り変わり、元号が明示から三回も改まった平成の今日でさえ、十八年間通い続ければ筋金入りの純粋培養高級娼婦がパンティ付きで出荷される、という仕組みが未だ残っている貴重な学園である。


17 :名無し物書き@推敲中?:03/12/16 23:00
鬼畜百合か……。
参考書籍とかある?てかどのあたりから鬼畜?
ロリ鬼畜百合にでもして書いてみっか……。

18 :シーチキン:03/12/16 23:39
サタ見て……?
つーか、もうちょっと文章のセンスいいのにしようぜ。
「リストカット」はネーミング的にどうかと……。
「粋培養高級娼婦がパンティ付きで出荷される」……娼婦とパンティ……ナンセンス。
でも、逆リリアンて発想はいいと思うよ。


19 :201:03/12/16 23:47
神の性とは 定まらぬものなので当然、サタン様は女神〈にょしん〉
さて 今日も滅入る様な曇天の下、妖しい穢れを身に纏う……それでも
天使よりも 無垢な乙女達はリストカット学園ことリス学に誘なわれるのです。

さて、今回は中等部、三島 梨花のお話……。

20 :ねこねこ:03/12/17 00:20
201君、そんな駄文に付き合う必要無いよ!!
  折角書くならもっと良い題材を使おうよ。

21 :201:03/12/17 00:21
・・そうか?
 なら、どんな題材が良い?


22 :シーチキン:03/12/17 00:23
零は知名度薄そうだから〈出てからそんなに経っていないし〉
残念ながらオススメ出来ない。
……てか、版権やめて、オリジナルのリレーで逝け。

23 :201:03/12/17 00:24
O.K.思案しておく。

24 :201:03/12/17 00:35
  ポタッ……
  
  ポタタッ………

  
――赤い血が、ベッドのシーツの上にしたたり落ちる。
  それは、契りの証であった。
「……姉様、今宵より 咲妃はあなたのものです……」
 辛うじて それだけ告げると、姉様の腕の中で 咲妃は気を失った……。
「・・・」
 姉様は 満足げに目を閉じると、そのまま眠りに落ちるまでの間、
 二人がこの様な関係に至るまでの事々を記憶の湖に浮かべて
 ひとり、戯れていた……。

 そう、この十二月の聖夜から数えて…二月程、前だったかしら……?

続きをタノム・・・      

25 :名無し物書き@推敲中?:03/12/17 12:34
「はじめましてっ、藤宮咲妃ですっ」
 十月のはじめ、転校してきたばかりの咲妃は痛々しいほどに明るかった。
 なんとかして新しい環境に馴染もうと力んでいたのだろう。
 一方でそれまで一人部屋での生活を楽しんでいた私は、後輩の面倒を見なければならなくなる煩わしさから、すこし不機嫌になっていた。
「藤宮さん。あなた、うるさいわよ」
 私がたしなめると、咲妃は急に力なく項垂れて押し黙ってしまった。
 背筋にぞくぞくと寒気が走った。
 それまでに感じた事のない快感だった。
 この娘には、奴隷としての才能がある。
 そう、私がすばらしい性奴に仕上げてみせる。
 麻利亜さまが私を仕込んだように、いや、そんなのと比べ物にならないくらいに、徹底的に苛めてやるわ。
 私は咲妃が挨拶した時の不快な気持ちなどすっかり忘れて、この怯えた娘と同室で暮らすことになった天の配剤に感謝を捧げた。
「いい、寮で同室の先輩はお姉様と呼ぶのよ」
 咲妃が私を上目遣いに見上げる。
「……お姉様」
「跪きなさいッ!」
 ガシャンと音を立てて私の投げつけたマグカップが割れた。



続きはお願い。

26 :シーチキン:03/12/17 15:32
続きキターーー!!
次は誰が書くんだ!?

27 :ねこねこ:03/12/17 15:37
最初からこの展開という事は、その後少なくとも二月は貞操を保っていた
咲妃ちゃんは、なかなか落ちないタイプの娘か?
さあ、どうやって落とす? 姉様。
いつ「お姉様」から「姉様」に変わる?
っていうか、姉様の名前は?!

28 :201:03/12/17 15:38
由香〈ゆうか〉さん。

29 :ねこねこ:03/12/17 15:38
そうなんだ、
 じゃ、続き誰か行ってみよう。

30 :名無し物書き@推敲中?:03/12/17 15:49
 割れたのは陶器だけではない。陶器は青い色が砕け、白い中を見せていた。けれどももう一つは、雪ウサギ
のような白く可愛らしい肌が割れて赤い液体に満ちた内面がゆるゆると流れ出している。
 咲妃の額から彩り鮮やかな、美しい血が流れていくのを私は見た。陶器が触れたときに傷つけられた額は、
まるで虹の下の宝箱を開いたときのように、輝かしい形をしていた。
「痛いっ……!」
 雪ウサギは、か細く清らかな声をあげた。それは、赤子が泣くときのように、聞くものによっては胸を痛め
同情と後悔に打ちのめされるものだったのかもしれない、けれど私にとって。その声は、カナリアの鳴き声
のように、また小川のせせらぎのように、心地よく耳に響いた。
 痛む額に手があがる。隠れてしまう、血に濡れていく傷口が。その前に。
「動くな」
 私は咲妃に命令を下した。その一言で、咲妃は彫刻のように動きを止める。
「そのまま動くな。痛む傷口を、私に晒して。また傷つけるわよ、その手を下ろさなければ。
 ……そう。それでいい。そのまま、私の言うことを聞きなさい」
「っ……?!」


ジャンル分類がわからないけれど・・・こんな感じ?
続きお願いします。

31 :ねこねこ:03/12/17 16:10
いい感じだにゃーーー。

32 :201:03/12/17 16:23
>>30の続き行きます。

 由香はそのまま咲妃へと近づいて行った。
「ひ・・っ・・?」
 今一時のやりとりで、由香に対する恐怖を根深く得てしまった
咲妃は いやいやをしながら、震える足をどうにか動かして
後ずさって逃げる。
「あら……、逃げるの?」
 ぞくりとする冷たい響きの声が、その場を、そして咲妃の足を
凍り付かせた。……もしも、逃げ出していたら その後……。
 いや、そもそも 逃げられる気がしない。
 どんなに走って逃げても、この人ならばその後ろを その恐ろしく
美しい笑みをお顔にたたえたまま、歩いて 平然と咲妃を捕まえて
しまうだろう。
 咲妃の足が止まると 由香は満足げに笑んで、ゆっくりと、
最も恐怖を煽る速度で 咲妃へと近づいていった……。   

33 :名無し物書き@推敲中?:03/12/17 16:23
うおおおぉぉぉっっ!!
続きは!? 続きはーー!? 

34 :名無し物書き@推敲中?:03/12/17 16:26
 咲妃の額からツメのように尖った陶器の破片が突き出ていた。
 そこから流だす血の小川は鼻筋から右頬に逸れて再び顎のあたりまでもどり、顎の先から垂れそうになっていた。
 私はゆっくりと咲妃に近付いて、顎に溜まった血を舐める。
 咲妃の体が幽かに震えた。
 口の中に咲妃のミルク臭い体臭と鉄分が同時に広がって私はその甘美な味覚に酔いしれた。
 下腹部がかすかに熱くなり、刺激を求めている。
 ああ、麻利亜さまは私の血を初めて味わったときどのようなお気持ちだったのだろう。
 私はそのまま舌を滑らせて、咲妃の顔を流れる血を綺麗に舐めとっていく。
 顔中を舐められながら、それでも咲妃は必至に動かないように耐えていた。


続きをお願いします。

35 :34:03/12/17 16:27
かぶりました、すいません。
これは無視してください。

36 :201:03/12/17 16:27
次、誰かよろしく。
 たぶん、おいどんは 一日一回。 
……他にも色々書かなきゃダメで、いそがスィのだ。 

37 :201:03/12/17 16:31
35>>ドントマインド!!
  どちらが本筋となるのかは、次に書く人が決めるのサ。
  続きを書かれた方が 話の本筋だよ。
  あと、……話内での二月間は貞操を守ってあげような。

38 :名無し物書き@推敲中?:03/12/17 16:33
ワクワク

39 :名無し物書き@推敲中?:03/12/17 16:57

 咲妃はその頬を涙で濡らしはじめた。血と涙とが愛し合い、咲妃の顔を汚していく。
 恐怖と悲痛と狼狽という蟲たちが、咲妃の胸中を浸し、心の端までも凍える寒さのなかで咲妃は、その源
なる由香に懇願する。言葉は僅かながらも小さな喉を震わせたけれど、涙が舌を覆い、途切れ途切れの言葉
となってしまった。
「ごめんなさいっ……っ。許してください、お願いします……!」
 由香は微笑んだ。貪欲な獣の笑みだった。咲妃の心を絶望の檻に閉じ込めて、三重の鍵をかけるような、
恐ろしい微笑を見せて、由香は誰が聞いても嫌悪するような響きの鐘を鳴らす。
 由香は咲妃の頬を人差し指と親指で抑えると、ぎりり、と噛みついた。柔らかな咲妃の肌は由香の牙を容
易く受け入れて、そこに確かな跡をつける。痛みに顔を歪めた咲妃は、自分の全身がこのまま由香に食い尽
くされるのではないかという恐れに全身を強ばらせる。
 けれども由香は、咲妃から唇を離して。
 今一度、由香は己の下僕である咲妃に言った。
「私の足元に跪きなさい。従わないのであれば、そうね、永遠に私はあなたを許さないでしょう」
「うっ……あ」
 咲妃は血の涙を流した。桜の演舞、その豊かな色彩は咲妃の胸を温め、情炎をなおも激しく駆り立てる。


続きお願いします。

40 :名無し物書き@推敲中?:03/12/17 17:12
「咲妃の胸を温め」?? え? 「咲妃は血の涙を流した」のに
「情炎をなおも激しく駆り立てる。」なの?
「咲妃の胸を温め」のところは「由香の胸に漆黒の灯火を宿らせ……」
の方が適切じゃない?
 あとはいい感じだと思うけど。

41 :シーチキン:03/12/17 17:12
続きキターーーー!!

42 :ねこねこ:03/12/17 17:13
きたーーー。

43 :ねこねこ:03/12/17 17:15
でも、確かに。 あの文だと情炎をなおも激しく駆り立てるの主語が咲妃に
なっちゃう。


44 :201:03/12/17 17:19
……そうですな。
  自発として「情炎をなおも激しく駆り立てる」には、まだ咲妃は
  墜ちて いないし。
  多分、落ち始めは一月後ぐらいだろう。
  その前に、由香さんは咲妃ちゃんの好感度を稼いで、
  最後のあのシーンに至るまでに必要なフラグを立てないといけないし。
……まあ、次の人、がんばってくださいな。

45 :名無し物書き@推敲中?:03/12/17 17:21
次は誰が由香もしくは咲妃になるんだろう……。
ワクワク。

46 :名無し物書き@推敲中?:03/12/17 20:11
すまーぬーーー。そこは由香の胸だ。
あと、はじめは「由香の胸を温め、そこに燻る情炎を〜」だったんだが、
容量1kの問題で削った。

何事もなかったように続きお願いします;

47 :名無し物書き@推敲中?:03/12/17 20:43
マルホド 了承。

48 :ねこねこ:03/12/17 20:44
あいーー、わりましたです。

49 :名無し物書き@推敲中?:03/12/17 22:07
キモヲタうぜぇよ(プッ

50 :名無し物書き@推敲中?:03/12/18 09:24
>>39の続き

 陶器の割れる音が聞こえて、麻利亜はノートから顔を起こした。
 下の部屋から聞こえてきたような気がする。
 去年まで麻利亜が由香と同居していた部屋だ。
 三年生は一人部屋と決められているため四月からは麻利亜だけ上の階に移動したが、あの部屋には新入生の割り振りがなかったから、今は由香が一人で使っている。
 ――たしか転校生が来るっていう話があったわね。
 転校生は由香の部屋に入居することになったのかもしれない。
 だとすればサドっ毛のある由香が早速調教をはじめたのだろう。
 鼻っ柱の強い由香を隷属させていた去年までの生活を思い出すと背中がぞくぞくする。
 受験の準備に明け暮れる退屈な日常にはもう堪えられない。
 ―ーそうだわ、新入生が由香の主人になるように仕向けてやろうかしら。
 プライドの高い由香はそんな状況に堪えられるだろうか。
 羞恥に苦しむ由香の顔を想像して思わず含み笑いが漏れた。
 麻利亜はゆっくりと勉強机を離れて、部屋を出た。
 まずは、転校生を確認して、その娘の前で由香を苛めてやろう。
 場合によっては、その娘に参加してもらってもいい。


続きをお願いします。

51 :名無し物書き@推敲中?:03/12/18 09:26
>>49
おい、創作文芸板唯一のリレー小説スレッドに水をさすなよ。
この展開がいやならお前も参加して方向性を変えればいいだろ。
矛盾しなきゃSFに持って行ってもいいぞ。

52 :ねこねこ:03/12/18 10:10
わーい、続きだーー。

53 :シーチキン:03/12/18 10:11
北ーーーッ!!

54 :もちとけた:03/12/18 10:12
>>51 残念ながら、無理だろう。
   ああいった荒らしに限って、何一つ碌な文章を書けないものだ。

55 :201:03/12/18 10:20
>>50の続き。

……だが。

 その思案は、新入生である咲妃を目に捉えた瞬間に
消え失せたのであった。
 
……どくん、

「ああ……」
 麻利亜は思わず艶めいた溜息を漏らしてしまった。

 そう、初に目に掛けたその娘は……。 
―――なんて、可愛らしい……。
 
 当然、マリアの言う所の可愛らしいとは、ごく一般に
言われるそれとは違うものである。  

56 :名無し物書き@推敲中?:03/12/18 10:25
ここらで学校名を教えて下さい。
寮の名前もお願いします。

57 :201:03/12/18 10:34
>>55続き。

「……あ……、お…姉さま……?」
 いつの間にか音も気配も無く 麻利亜が訪れて居たのを今更に
気付いた由香は、つい今し方までの勢いを無くして 凍り付いた。
「由香」
 麻利亜がその名を呼ぶと、由香は再び生命活動を始める。……だが
その血の流れは、今までとは全くの逆方向にでもなってしまったかの様だ。
 それは 咲妃にも劣らぬ程の 怯えを含んだ顔。
 ただそこに 咲妃との違いが在るのだとしたら、そこに在るのは恐怖のみに
非ず、また同時に恋慕の色も混じっているという事だろう。
 例えば……その恋慕の故が、恐怖の中に在るように……。
「由香、その子を紹介なさい」

        いきなりパス!!   

58 :201:03/12/18 10:41
学校の名前……紫乃咲女学園……紫乃女〈しのじょ〉
寮……姫百合荘
時代……1980−2001内の何時か。どこでも良い。
 その辺は、最初に時制の判る文章を書く人に任せる。

59 :名無し物書き@推敲中?:03/12/18 10:42
つ づ き
 つ づ き
   キターーーー!!

60 :シーチキン:03/12/18 10:45
麻利亜お姉様ご登場!
>>24の時点では 存在すら在らせられ無かったのに、主要化!
  次はどうなる!!

61 :ねこねこ:03/12/18 10:46
まて、次回。……なんて。

62 :名無し物書き@推敲中?:03/12/18 11:20
>>58
学校の名前が良いな。

63 :201:03/12/18 11:47
それはどうも。

64 :名無し物書き@推敲中?:03/12/18 17:02
「……咲妃、です。藤宮咲妃です、あの、転校生で……、えと、私と同室になりました……あ、今日から、です」
 緊張してしどろもどろになった姿を下級生の咲妃に目撃されて、由香は羞恥で頬を赤く染めた。
 そんな由貴の心を見透かしたように麻利亜が追い討ちをかける。
「由香、もっと落ち着いて話なさい。何を言っているのかよくわからないわ」
 麻利亜の声はあくまで温かい。けれども瞳の奥には冷徹な支配者としての意志が炎のように輝いている。
 由香はその冷たい炎に怯え、それと同時に喉の奥のネバネバとしたものが舌を絡めとって上手く話せなくなる。
「あ……う、も、申し訳、……ありません」
 麻利亜はくすくすと楽しそうな笑い声をあげる。
「もういいわ。あなたは相変わらずなんだから。そんなことでは咲妃さんに馬鹿にされますわよ」
 麻利亜に笑顔を向けられて、咲妃もかすかに笑みを浮かべた。
(この娘、私の事を笑ったわね。下級生のくせに……っ)
 悔しさで思わず噛み切った舌先から、血の味が迸る。
 そんな由香を無視して、麻利亜は咲妃に声を掛けた。


登場人物のフルネームが一人しかわからないので、続きはお願いします。
リストがあると便利なのに。

65 :201:03/12/18 17:36
名前リスト〈今のところ登場している人〉

 藤宮咲妃……主人公…話内での十二月までは貞操を守りきった娘。

 小野崎 由香……ねえさま。麻利亜の前では弱い。っていうか、
 麻利亜が強すぎ。プライド高い。>>64の後は、麻利亜が去ってから
 咲妃を滅茶苦茶に苛めるだろう。〈ノット性的。でも残虐に〉

 上島 麻利亜……麻利亜さま。 最強。
         かつての「お姉さま」さえ調教してしまった。
         この人の代から、ここの姉妹だけはこういう特殊な関係。

……ってところ。   

66 :シーチキン:03/12/18 17:38
続きダーー!
設定だーー!

67 :名無し物書き@推敲中?:03/12/18 17:39
それしか言う事無いのか>>66
でも、おもろいのでヨシ!!

68 :201:03/12/18 18:32
部分け。
序章・・初日〈今〉
前編・・十月
中編・・十一月
後編・・十二月
終章・・クリスマス〈最終日〉
後章・・以降の日

各部事に1話2話となる
例 前編1話、2話、〜〜
  中編1話、2話、〜〜 

  なお、序章、終章、後章は各1話づつ。
・・って感じでどう?

69 :ねこねこ:03/12/18 18:34
彼女らの姉妹内では、下級生と書いて奴隷と読む。とか?

70 :201:03/12/18 18:46
黒百合の手本
http://sh-bf5b.hp.infoseek.co.jp/onikagura/maria/stage02/marianokizuato00.htm
挿絵はガサイ〈方言〉けど、内容はなかなか良いと思う。
こんぐらい、ダークに行こう。



71 :201:03/12/18 19:04
藤宮咲妃の藤宮は『ふじのみや』と読む。
由香は『ゆか』では無く、『ゆうか』〈これは前も言ったか〉
MARIAの痕はバットエンドがオススメ。
同サイトには別視点から書かれたものもあるとよ。

72 :ねこねこ:03/12/18 22:17
>>70 読んだよ。
   イイね。
   あんぐらい、黒くしてほしいね。

73 :シーチキン:03/12/18 22:18
>>64の続きがホスィ。
  >>65の展開で。 

74 :201:03/12/19 04:11
「藤宮咲妃ちゃん……『咲妃ちゃん』で良いわね?」
「あ……、はい。 これからよろしくお願いいたします。
 ……えと、」
 思えば咲妃はこの御方の名前を知らない。
「……ふふ?」 
 そして この御方はそれを察していらっしゃるようだった。
 それでも気付かない振りをなさって、お名前を教えて下さらない。
 しかし、それをこちらから訊ねてしまっては……なにか、とても恐ろしい事になる
様な気がして訊ねる事が出来ない。
「……」
 そこで困っていると、意外な事にそこへ助け船を出したのは
お姉さまであった。
「上島 麻利亜様よ。……それくらいは前もって知っておくのが礼儀では無くて?」
 なんて無茶な事を付け足されてしまったけれど……。
 実際の所、今の今に至るまで 麻利亜様のお名前を知る機会が無かった。
 寮関係の書類にも お姉さまの事しか書かれていなかったし……。
「はい、すみませんでした……」
 それでも 謝る。
 この場では 何者に対しても決して逆らってはならないと、防衛本能が
警鐘を鳴らしていたから。


75 :201:03/12/19 04:12
……まだ。 もう少し待った方が楽しめそうね。
 
 この時、麻利亜の中では黒い数字の計算が行われていた。
 当初の、由香を辱めるという計画は咲妃の姿を目にした時より
消え失せていて、代わりに より楽しめる計画案が浮かんでいたのだ。
 その計画の為には……今少し時間をおいて 咲妃が由香に対する
従属心を深めるのを待たなくてはならない。同時に、由香の咲妃に対する
支配心も。
 なので、麻利亜はこの場を退場する事にした。
「それじゃあ、咲妃ちゃんの顔も見た事だし 帰るとするわ。
 またね、咲妃ちゃん」
 麻利亜は咲妃にだけ さよならを言って二人に背を向けた。
「あ………」
 その背に、由香の切なく 寂しげな声が届く。
 麻利亜はそれを無視して部屋を出ていった。
 その顔は、とても楽しそうだった。例えば、悪魔の無邪気な微笑み……。


76 :201:03/12/19 04:12
「………」
 由香は暫く俯いたまま 動くのをやめていた。
 お姉さまは この奴隷ばかりをお構いなさって……由香の事なんか
まるで居ない者のように……。
「……お姉さま」
 てっきり自分で呟いたものと思っていたその言葉は、咲妃が由香に向けた
ものだった。
 その声が、由香を再起させた。
 怒りという動力源の下に。
―――気に入らない……。
 その声!! その顔!!
 奴隷の分際で!! 私を哀れもうと言うの?!
 哀れなのは奴隷のお前だけで充分だわ!!
 
 その瞳の奥に、どす黒い炎が宿った……。



77 :201:03/12/19 04:12
夕刻
 
 結局、麻利亜様が帰ってしまわれてから お姉さまは
何も口を利いて下さらなかった。
 多分すねてしまわれているのだと思う。
 だとしたなら、……怖いけれど、ひょっとして お可愛い御方なのかも
しれない。
……などと もの思いをしながら、咲妃は湯に浸かっていた。
「……?」
 ふと、戸の向こうから音が聞こえて、咲妃はその方を見る。
〈お姉さま……?〉
 モザイクガラスの所為ではっきりしないが、多分 あの影はお姉さまの
ものだと思う。
〈何をなさっているの……?〉
 咲妃の中に 一抹の不安が よぎった。
 その所為か、咲妃はいつもより早めに浴場を出た。



78 :201:03/12/19 04:13
「あ………」
 一目で見て、判った。 替えの服が無くなっている。
 そして、更衣間の入り口にはお姉さまが立っていらっしゃった。
「お姉さま、私の服は何処でしょうか?」

「捨てたわ。全部」

―――即答 だった。

「捨て……っ……?!
 どうして、そんな事をなさるんですか!!」
 遂に咲妃は怒り出す。……だが、それはすぐにも消失することとなる。
「あら……」
 と、歪んだから。 お姉さまのお顔が、……まるで麻利亜様がお姉さまを
凍り付かせたように……。
 とん、
 歩く音、
 お姉さまが、近づいて来る。
 とん、
 その音だけで
「………っ……?」
 咲妃の怒りなど 簡単に恐怖へと染め変えてしまった。
 そして お姉さまは言う。 何処までも冷酷な声で。
「知らなかったわ、奴隷に替えの服が必要だったなんて」
……と。


79 :201:03/12/19 04:13
それだけを言うと、お姉さまは身を翻して今へと戻って行かれた。

「………」
 後に残された咲妃は……
 ほっとしていた。
 悔しさを噛み締めるよりも、安心していた。
 ただ、今この場に恐怖の対象が居ない事に。
 それでも まだ足が震えている。


80 :名無し物書き@携帯:03/12/19 07:24
>>201
大量更新乙です。

参加したいけど、携帯だから難しい…応援に徹します。

81 :201:03/12/19 08:17
「……どうしよう……」
 ようやく我に返って、現実、着る服がない事に困り始めたのは
それから暫くしての事だった。

 
 悩んだ末に咲妃は 洗濯物カゴから 入浴前に着ていたものを取り出して
着る事となった。
……もとより、それ以外の選択肢は無かったのだから。

「……気持ち悪い……」

 服は、他の服の湿気も吸って 肌に張り付く上に、冷たかった。
 それでも我慢して下着を穿いていると……惨めな気持ちになってきた。
 その後は、上着……。
 それを着終わる頃には、何だか虚ろで、本当に奴隷になってしまった
ような気持ちになっていた……。

 湿った下着は 咲妃の心の奥底までも 冷めたくし続けた。



82 :201:03/12/19 08:17
 居間に戻ると夕食。
 咲妃の分は食卓の上には用意されていなかった。
 床の上に、皿も敷かずに置いてあった。
「…………」
 咲妃はもう何も言いう気が起きなかった。
 そんな気力は、湿った下着が全て奪ってしまっていた。
「這い蹲って食べなさい。
 そう……。良い子ね。
 手を使っては駄目よ」
 
 手足を拘束されているわけでは無い。刃物を突きつけられている
わけでもない。……なのに、逆らえなかった。
 なぜなら、咲妃の目からこの場を見たなら、そこには見えない
拘束具と、見えない刃が在ったのだから。


83 :201:03/12/19 08:18
 食事……いや、餌を食べ終えると、咲妃はお姉さまに付いて寝室へと
向かった。
……とにかく、眠りたかった。 
  精神が ボロボロに疲れていた。

「……あの、私のベッドは…何処でしょうか……?」
 恐る恐る、咲妃はお姉さまに尋ねる。
……寮の書類には、ベッドは二人分用意してあると書いてあった。
 そして、お姉さまの口元が笑みに歪んだのを見て、咲妃は愚問を悔いた。
「奴隷の分際で、ベッドに眠るつもりなの……?
 大した思い上がりね!!」
 ぎ・ち・り・り・・・・
 額が 信じられない程の痛みを訴えた。
 お姉さまの爪が、ようやく血が止まったばかりの咲妃の額の傷を
深々とえぐっていたのだ。
「うああっ……?!」
 咲妃は思わず悲鳴を上げた。
 それを聞いて より一層楽しげに傷をえぐり続けるお姉さまの顔は
咲妃の自尊心を凍結させた。
「痛っ……、痛い……です……。ごめんなさい……許して下さい……
 もう 思い上がった事なんて 言いませんから……ああっ……?!
 痛い……っ……嫌っ……ごめんなさい……ごめんなさい……」
  咲妃が完全に落ちた事を知って、お姉さまは手を引いた。
 それから一転して、とても お優しい顔になられた。
「そう……。 それじゃあ お休みなさい」
「……はい。
……でも、あの……何処で眠れば……」

 返す声は、冷たかった。


84 :201:03/12/19 08:19
「床の上に決まっているでしょう? ソファも使っては駄目よ
 勿論、毛布も無いわ。
 分をわきまえて、奴隷は奴隷らしく 床の上に転がって眠りなさい」

 言葉はあまりに酷く………

「そ……んな……」
「それとも……」
「……ひ……っ…?!」
「私の所へ来る? ……死ぬまで可愛がってあげるわよ」
「……っ? 結構です……。
 おっしゃる通り……床の上に眠らせていただきます……」

 お姉さまは あまりにも 冷酷な御方だった……。

「そう」
「……おやすみなさいませ……」
「おやすみなさい、咲妃」

 
  灯りが消える。

 暗くなった。 けれど、全くの暗闇では無い。
 窓から月の光が射している。
 月は黒い空にくっきりと浮いていて、その光も強く……咲妃にはとても
恐ろしく思えた。
 その恐ろしさから逃れる為にも、早く眠ってしまおうと 床の上で横になる。
……床は、思ったよりも固くて、冷たくて、痛い。
 その痛みは更に咲妃の精神を責め立てる。


85 :201:03/12/19 08:20
月がこんなに怖いなんて、知らなかった。
 布団という包み込んでくれるものが無いと、こんなにも心細いなんて 知らなかった。
 
 まるで身を守るようにして、咲妃は身を縮め、自分の肩を固く抱きしめた。 
 そして、そのまま十月の寒さと、暗くて眩しい夜の怖さに震え続けた。


  痛いよ……。怖いよ……。
 ……どうして……?
 どうして私はこんな目に遭わないといけないの……?
 
 プライドなど無くしてしまった咲妃は その事に惨めさすら感じる事が出来ず、
ただただ、悲しかった………。

 それでも、声を出すと また恐ろしい事になってしまうと判っていたから、
必死に声を殺して……泣いた……。


 その光景を 由香はベッドの上から 楽しげに眺めていた。

 初日 序章 終わり。


86 :シーチキン:03/12/19 11:25
続きキターーーー!!


87 :名無し物書き@推敲中?:03/12/19 13:26
続くのか? これ。

88 :201:03/12/19 13:34
続きます。これ。
>>58 >>65 >>68 と、最終話まで咲妃ちゃんの貞操を守ろう
の条件下で、次は前編の第一話
十月 月曜日〈日付は入れない〉 の朝から。
 眠ったので、咲妃ちゃんの体力と精神状態は回復しています。
 体力……問題なし。
 精神状態……ブルー〈鬱未満〉
 状態……額、怪我している。 身体の節々が痛い。
 学校〈紫乃女〉に初登校。
 お友達は……一人以上は出来るかな。
 
 手な感じで、誰か続きをお願いしますだー。
 

89 :名無し物書き@推敲中?:03/12/19 13:43
>>85の続き

十月 前編 第一話「薄倖の転校生」

「藤宮咲妃です。みなさんよろしくお願いします」
 教壇の前で挨拶をする転校生をみて、菫は激しく興味を惹かれた。
 転校生と言えば、普通は少し緊張しているか、早く馴染もうと勤めて明るく振る舞うかのどちらかだ。
 しかし、藤宮咲妃と名乗るこの少女にはまったくそんな意気込みを感じない。
 それどころか、一種の諦観のようなものさえ漂っている。
 額になにやら傷があるが、手当てを試みた様子もない。
 一体どんな不幸によってこの少女はここまで人生に絶望したのだろう……。
 こんな雰囲気を身に纏っていれば、遅からずクラスでも孤立して、もしかしたら陰湿なイジメが始まるかもしれない。
 菫は自分が委員長として統率するクラスでそのような不祥事が起きる可能性を想像して、激しく身震いした。
(私が藤宮さんを守ってあげないと、私のクラスは崩壊しまう)
 完璧でなくてはならない。菫にとって完璧な人生だけが生きる価値のある人生なのだ。
 菫は家族も友人も成績も容姿も、なにもかもが完璧になるように慎重に気を配って生きてきた。
 転校生によって自分のクラスが醜く堕ちて行くのを黙視することはできない。
 菫は席を立つと、完璧な微笑みを浮かべて発言した。
「よろしくね、藤宮さん。クラスの全員があなたを歓迎し暖かくお迎えすること約束します。先生、藤宮さんは私の隣の席にお招きしてもよろしいですか、ぜひとも友人になりたいものですから」
 シスターが頷くと、何人かの生徒が素早く立ち上がって転校生の席を用意した。
 これこそ菫が作り上げてきた、完璧な友人、理想のクラスだ。
 こんなすばらしい芸術品を失うなんて、菫にはとても考えられない。


こんな感じでいいのかな。
それともサブタイトルはない方がよかった?
続きをお願いします。

90 :ねこねこ:03/12/19 13:58
来たーーーッ!!
新キャラ 新キャラ 新キャラーーっ!!
――――イイ!!

91 :201:03/12/19 14:00
シスター……って事は、紫乃女はミッション系だな?
 ようし、今からそう言う事にしよう。
 いい感じで続いているよ。

92 :201:03/12/19 17:56
>>89の続き。

……あーあ、始まったよ。

 一年百合組の 窓側 最後列。最もやる気のないと称される席で、
最もやる気がないと言われている生徒、望月 綾野は呆れた溜息をついた。
……まあ、大体は想像していた事なんだけど。
 やっぱり始まった。 北川 菫の宗教勧誘。
 環境の変化に不安定な心境につけ込んで、親切というエサでもって釣る。
 あいつのいつもの手だ。
……ほんと、どうしてミッション系の学校にはこういう輩が多いのか、
はっきり言ってこのクラスの『正しい』の基準は、菫。
 他のクラスにしたって そんなに変わらないんだけど……。 

93 :201:03/12/19 18:12
>>92続き。
 
 北川菫の宗教というヤツのモットーは、完璧主義。
 一聞、聞こえは良い。
 だが、そのやり方には大いに問題が在る。
 どうやら、彼女の思想によれば 人間には適合者と脱落者が居て、
適合者は 善・優   脱落者は 悪・劣 と言う事らしい。 
 適合者の数は多い。つまり、『普通』で『他と一緒』であればいいのだ。
 脱落者は……つまり、綾野のように 他と思想の違う者。
 それから、菫の下を離れた者。あとは、菫にとって目障りな者。
……今のところ、『脱落者』と呼ばれているのは 綾野と、もう一人。
 ノア……『脱落者の粛正』にやられて、家を出なくなってしまった
赤山 静〈あかやま しず〉。
 つまり、北川思想というのは選民思想の亡霊と言う事だ。

……さて、新しく入ってきた彼女、藤宮咲妃はどうなる事やら。
 藤宮は、少しばかり 他と違う雰囲気を持っているように見えるから……。
 
 

94 :名無し物書き@推敲中?:03/12/19 18:19
学園ものの風情が出てきたな。
名作の予感がする。

95 :201:03/12/19 18:22

本編では無い話。
綾野は「学校」というものを 一つの宗教と見成している。
彼女の言うには、こうだ。
『学校が在り、教師が居て、生徒達に教えを説く、教えには思想の根本に関与するものが多く、
それに反する者は淘汰される』
では宗教というのは。
『教会が在り、牧師が居て、教徒達に教えを説く、教えには思想の根本に関与するものが多く、
それに反する者は淘汰される』
そう、ただ名義が違うだけで 構造は 何も変わらない。
そしてもう一つ、北川宗教を見ていると、つくづく 宗教とは洗脳機関の一形態に在り、
最も正当化率の高いものが『学校』というものなのではないか……と。

96 :201:03/12/19 18:55
この後はどうなる事やら。
 咲妃、菫、綾野……それから、ヒッキーにされてしまった静。
『適合』となるか『脱落』となるか
『淘汰による秩序』? 『疎外された自由』?
人は皆、そのどちらもを焦がれ、また、それを直に目の当たりにした時、恐れる。
咲妃は何を選択するのか?
 そして、『咲妃の寮部屋は あの 由香様 と同室である』と知れてしまう。
 それを知った菫は咲妃を穢れた者として見るが……尚、自らの観念に酔いしれて手を差し出す。
 咲妃はその手を取るのか?
一方の寮では『従属の安穏』と『自尊の茨道』の間に咲妃は翻弄される。
 少なくとも、このままの位置に居続けては彼女は壊れてしまうだろう。
 では、どうする?
……てな感じで、前編〈十月〉のお話は進んでいきます。
  誰か、腕に自信のある御方は続きを書いてくださいまし。
  これは一応リレーなので。
  因みに、この日の咲妃のステータスは>>88と成っています。


97 :ねこねこ:03/12/19 19:23
おおっ!! 続き!!
新キャラ!! 何か、サイド分け!!
止まっていられない環境!! 壊れたりするのか?!
――――イイ!!

98 :201:03/12/19 19:27
咲妃ちゃんは、まだ壊しちゃ駄目です。
彼女は中編〈十一月〉の終わりの話の最後の方で『遂に壊れた』と言う事に
成ります。 その頃には、姉様との間にも 好感度が結構在って・・。
十二月でがんばって直して クリスマスにエンド。
 ってのがトゥルーエンドのルートです。……が、さて、どうなることやら。


99 :ぽけらっぱ:03/12/19 19:51
こんなところに 良作が!
思わず 全部コピペ。
 早 く 続 き が 読 み た い 

100 :シーチキン:03/12/19 19:55
ワクワク ドキドキ はらはら
だれか、>>93の続き書いて。

101 :名無し物書き@推敲中?:03/12/19 21:08
 紫乃女学園は朝九時から、授業一つにつき四十五分、授業ごとの休憩を十五分取り、
昼十二時から一時は一時間の休み、昼三時までの計六時間を授業に当てる。
 授業が一通り終ると昼休み。転校生である咲妃を、大勢の生徒たちが取りまく。クラ
ス総計四十人――綾野、赤山をのぞいて三十八人。まるで獲物にハイエナが群がるよう
にその二つの目を輝かせながら。
「ねえ、咲妃さんはどこからきたの?」
「そこには何がある?」
「前の学校は、どんなだった?」
「ここに来てどう思う?」
 戸惑いながらも律儀に答えていく咲妃。異質の環境に置かれた人間は、まず最初に
自分をアピールすることから始まる――特に他人から嫌われたくない、と思っている
人間は。そうして自分について知ってもらうことで、仲間を作り出そうとするのだ。
 咲妃もおそるおそる、そういった生徒たちに自分のことを話す。そんな様子を隣り
で見ていた北川は内心笑っていた。

 ――この子は。すぐに、堕ちる。

 嫌われたくない、ということに過剰反応する人間は、また強制に弱い。異質のルー
ルには従い、つまり自分を保っていることよりも「仲間たち」の枠組みに捕らえられ
ることに幸福を感じる。そして仲間のなかで徐々に自分自身が希薄になり、平気で他
人に自分の秘密を語るようになる――。 
 北川の経験は、これまで数多くの生徒を捕らえてきた。質問ぜめに必死に応対する
咲妃を横目に見て、頃合を見はかりながら北川は笑う――そのときまでは確かに順調
に行くと確信していたのだ。

「……ふふ? 咲妃ちゃん、初日から人気ものですね」
 突然、先輩である麻利亜の凛とした声が、彼女の教室を引き裂くまでは。

102 :名無し物書き@推敲中?:03/12/19 21:30
その声の主は、咲妃だけではなく北川も噂では聞いたことのある人。麻利亜先輩。人呼んで
「四十八の接吻技と五十二の抱擁技を持つ姫君」。北川の教室は混沌にざわめき、そして波紋
を投げかけた、石と呼ぶには大きい岩は、ゆっくりと咲妃の下へ歩み寄る。木造の床はまるで
音を立てなかった。誰もが彼女に道を開けた。

「咲妃ちゃん、お腹が空いているのではありませんか?」
「えっ……はい?」
 最初の一言は、その言葉。まず北川の背筋に冷たい氷が走った。続いて、麻利亜は笑みを
浮かべて咲妃の手を取り席から立たせる。そっと彼女は咲妃の耳元に艶やかな唇を寄せて――。
小さな、小さな声で囁く。北川ほど注意深く聞かなければ聞こえないだろう、その声。

「……『姉様』に知られたら、また怒られるのではないかしら?」

 咲妃の顔が強ばった。そして動揺を隠せない、集まった生徒たちに小さく礼をして、
そのまま麻利亜の手に引かれ、教室から姿を消した。その後姿を追う生徒、けれどやが
て口々に先輩と、新入生とを噂しながら、個々の行動へと戻った。
「……」
 北川は己の爪を噛み締めて。それから麻利亜の言葉を頭で反復しつつ、意味を考える。
姉様、と。また、と。怒られる、を。それはつけ入る隙か、あるいは強固な壁か。
 麻利亜の姿を思い浮かべる。今は、まだ。少なくとも昼休みの間は。
 動ける時ではないと、北川の経験が直感した。同時に我知らぬ歓びが心中を満たす――。
「……面白そうな子じゃない」

 そんな彼女の呟きに、ずっと遠くから見ていた綾野はそっと目を閉じた。
 窓辺から差し込む眩しいほどの太陽が彼女を隠す……。

103 :名無し物書き@推敲中?:03/12/19 21:33
影踏んじゃった。ともかくパス。

104 :201:03/12/19 21:47
……なるほど、そこで麻利亜様を出してきたか。
  いいね。思いつかなかったよ。
  こいつは良い展開だ。
……あと、綾野がかっこよくなっている。 これもまた乙。
  あとは……んーー、紫乃女の正式名称は>>58で、紫乃女学園とは言わないよ。
  紫乃女 か 紫乃咲女学園の どっちかで。
 ともかく、ご苦労様。謝謝。

105 :シーチキン:03/12/19 21:50
――――イイ!!
 続きが来ている!!
  素薔薇スィ!!
……処で……ん?「姉様」?
 まだ「お姉さま」の筈だけど……。
 どうなの?

106 :201:03/12/19 21:55
あ……、ホントだ。
……そうだな、じゃ、ここらでちょっと説明しておくか。
 「お姉さま」は現在の呼び方で、最終日に「姉様」と言っていたのは
二人の間に変化があったからなんだ。
 つまり、「お姉さま」から「姉様」に成る為には
 咲妃の由香に対する好感度が一定以上に達しないといけないわけ。
 しかも、この何気ない変化は始めこそ気づきもしなかったものの
後編辺りからは、大きな布石に………。
 成るかどうかはぁ、書く人次第です、はい。

107 :名無し物書き@推敲中?:03/12/20 00:32
>人呼んで「四十八の接吻技と五十二の抱擁技を持つ姫君」。
さすがは最強w
とってもイイ!

108 :201:03/12/20 09:45
>>102の続き
 麻利亜は 確かにサディスティックな性格の持ち主だが、実のところ それは真性のもの
 では無かったりする。
 単に、麻利亜は『可愛らしいもの』が好きなのであって、『調教』をするのはその課程を
 楽しむ為でもあるが、その真意は結果に在った。
……つまり、彼女は『人間』そのものを材料にしてしまう 芸術家 なのだ。
 例えば 由香。 あの娘は徹底的な『奴隷』にした。
 それはつまり、由香という素材は『奴隷』という作品に仕上げるのが最適と判断したからだ。
 では 咲妃は?
 実を言うと、そこのところがまだよく判っていない。
 故に今はまだ『観る』段階なのだ。 咲妃という素材は、一体どういうものなのか。
 
 麻利亜は自分の芸術の為にしか動かない。
 今こうして咲妃を教室から連れ出した事にしても、質問攻めに遭っていた咲妃の為では無い。
 少しばかり、防腐処理を施しておこうと思ったのだ。
……特に、一年の百合組は素材を腐らせやすい環境だったから。
 幾月か前にも、目を付けていた素材が腐らされてしまった事がある。
 最近では、壊されてしまった素材も有る。 
   

109 :201:03/12/20 10:03
>>108の続き。
 手口はそれぞれ違っていたとは言え、二度も失敗してしまうのは
 麻利亜の矜持を手痛く傷つけた。なので、麻利亜はこれ以上の失敗をするつもりはない。
 そして 麻利亜がそうと決めれば、間違いなく 現実はそう動くのである。
 
 見た限りでは 咲妃はまだ『腐らされる』位置に居て、『壊される』位置には居ない。
 いわゆる『適合者』という、忌々しい制度。あれに この子が染まってしまっては
興醒めも甚だしい。
 だから 麻利亜は『防腐』を施した。
「咲妃ちゃん」
「……、はい」
 咲妃の表情が緊張感に強張る。
「つまらない子になったら……、お仕置きするわよ?」
「……え……っ……?」
 昨日の内に 由香にどのような事をされていたのか、咲妃は『お仕置き』という言葉に対して
過敏な反応をした。
  
  

110 :201:03/12/20 10:21
>>109の続き

「あの……、私……なにか……」
「ふふ……? いいえ、まだ何もしていないわ。
 そうね…今のところの あなたは……」
 そこで急に麻利亜は咲妃を正面から緩やかに抱きすくめた。
「可愛らしくて……好きよ。
 だから、つまらない子になっては駄目」
 もしも、……そう、もしもそうなったら……。
 腐った部分を削ぎ落とす。
 その時に上がる悲鳴もまた捨て難いものがあるが、それは麻利亜の望む所ではない。
 熟練された麻利亜の抱擁は同姓である咲妃にすら何の嫌悪感も与えず……
それどころか、その抱擁のあまりの心地良さに 咲妃は僅かにおぼれかけていた。
「は……い……」
 熱に浮かされたような声になって、咲妃は麻利亜の命令に従属した。
 
 防腐が済んだ事を確信すると、麻利亜は咲妃を離れ、「またね、咲妃ちゃん」
と、……優しい顔ではあるが、実に 熱が冷めたような素っ気なさで咲妃を残して
去っていってしまった。
「あ……」
 それで、その麻利亜の背中に 言葉にならない切なげな声を投げる。
 その声は、差詰め、麻薬を取り上げれた 中毒患者。   

111 :201:03/12/20 10:32
>>110

 麻利亜はその声を聞いていた。
 だから無視をする。
 なぜなら、その切なげな声が どんなにも麻利亜の胸を満たすからである。
   * * * * *
「………」
 咲妃は少し早くなってしまっている呼吸を整えていた。
 徐々に 我へと帰っていく。
「………っ」
 そして、理性の帰還と共に恐ろしいまでの羞恥。
……私は……なんて声を……。
 あんな……。  

 しかし、その羞恥は 次の瞬間、他の全てと共に凍り付く事となる。
「――咲妃」
「……ひっ……?!」

 そう、咲妃は知らなかったのだ。
 此処が二年の、とある 教室の前で、
 それを知っていて麻利亜様があんな事をなさったなんて……。 

 パス 

112 :名無し物書き@推敲中?:03/12/20 11:29
 由香は青白い顔で咲妃を見つめていた。
 麻利亜に抱擁され、陶酔した表情で快楽に沈む咲妃の姿を……。
 去り行く麻利亜に切なげな声をあげて名残を惜しむ咲妃の姿を……。
 咲妃が自分の嬌態を恥じるようにして一呼吸吐いてからゆっくりと眸を上げる。
「――咲妃」
 由香は思わず呟いていた。
 初めてその姿を見たときにはちょうどよい暇潰しの玩具だと考えていた少女の名前。由香の醜態を目撃してあざけるような笑いを浮かべた憎むべき少女の名前。そして床に散らばった食料を獣のように這い蹲って食べていた怯える小動物のような少女の名前。
 その少女が麻利亜様と……、あの尊いお方の抱擁を受けて、媚るような喘ぎ声をだしていたのだ。
「……ひっ……?!」
 びくんと体を震えさせた咲妃の目が由香の姿を捉える。
 生暖かい液体が咲妃の白い脚を伝って静かにリノリウムの床に広がっていった。
 咲妃はそのままアンモニア臭の漂う液体の中に崩れこむようにして座り込む。
 由香は静かに咲妃の元に近寄ってゆっくりと先の頭を包み込むように抱きしめた。
「仕方ない子ね、こんなところでお漏らしをしてしまって。ちゃんと綺麗にしなきゃ駄目よ。スカートを脱いで、それで廊下を拭きなさい。今日は早退することにして、終わったら一緒に部屋にもどりましょう」
 いくつもの視線が無遠慮に向けられる中で、咲妃はガタガタと震える膝でなんとか立ち上がり、不器用にスカートのホックを探り始めた。

113 :名無し物書き@推敲中?:03/12/20 11:30
続きをお願いします。

114 :キエ「 ◆uUpznhPIvk :03/12/20 11:43
あえあえあえ

115 :名無し物書き@推敲中?:03/12/20 14:04
 楽しいことなのだと。由香は、思う。たとえば額を傷つけることも。服を奪うことも。
集団のなかで、今まさにスカートを脱がせようとしていることも。楽しいことなのだと
思い――それは恐怖に歪む顔が、弱いものの前に立つことで強者になれる気がするから。
 けれど。心のなかでは怒りの炎が燃え盛り、こんな簡単に自分の手のうちで踊る人形を
壊すか捨てるかしてしまいたくなる。こんなものはつまらない。味気ない。
 そう、心がバラバラになって狂うくらいで丁度いい。屈服も服従も意味を為さない。す
ぐに壊れる歯車の時計など、弄りようがないから。だから、弄って弄って、狂わせてみた
いのに。
「つまらない……子ね」
 由香は呟き、ぐずぐずと手を震わせる咲妃のスカートに手をかける――。
 きり、がり、ぶぎゃあららら。引き裂く。布が断ち切れる音、途端に上がる悲鳴。悲
鳴は咲妃のもの。ああ、面白い。赤子の唯一の防護手段は泣くことだというけれど。こ
うして、こちらの気分を害するとわかりながら行なうなんて――浅はかで、幼稚な抗議
を。
「ねえ、咲妃」
 クツリ。クツ、クツ。喉の粘膜が震える。ふぅっという溜息、由香は咲妃の耳元に口
紅を近づけると、優しく、慰めるような明るい声で囁いた。
「つまらない子は……捨てるわよ」
「 え?」
「だってそうでしょう? つまらない玩具の居場所は。
 ……、一つしかないじゃない?」
 腐った林檎がごとり、と落ちて。そう、彼女の頭が傾いだ。濡れた床に落ちた。
「すぐに従っては駄目。理不尽な私に、反抗しなさい。そして」
 その、異臭を放つ林檎を口に含むように――由香は咲妃の髪に接吻する。
「……殺されなさい」

 ココロのピンが抜けてころころと転がる。咲妃の意識が奈落へと沈む。
 由香はそこを先ほど引きちぎった咲妃のスカートで拭ってから、彼女を背中に抱え、騒
然とした廊下を歩き始めた。
 昼休みのチャイムが七回。ナザレのイエスの断末魔のように鳴り響く――。

116 :名無し物書き@推敲中?:03/12/20 14:09
なんとなくイメージテーマが思い浮かんだ。
咲妃:戦場にかける橋
由香様:エクソシスト
麻利亜:ゴッドファーザー
綾野:アンタッチャブル

どうでもいいか。では次の人へパス。

117 :201:03/12/20 16:39
>>115グッジョブ!! では、続き。

 寒い……。

 意識が舞い戻って 始めに、咲妃はそう感じた。
……でも、 ああ 何だか、落ち着くな……。
 そういう匂い。 自然のものの匂い。 
……。疲れたなぁ……。
 疲れと痛みを感知する機能は、回復してしまっていた。
 気を失っていた間とは言え、休む事が出来たのだから。
 そういえば、暗いな……。
 思って、そこでようやく目を開ける。
「………」
 夕方になっていた。
 それが、一目で判った。
 なぜなら、そこが空の下だったから。
 自然の匂いがするはずだ。そこは外なのだから。
 自然は咲妃の頭の下にも在るのだから。
    

118 :201:03/12/20 16:50
>>117
 
「……ゴミ」
 と、思った。
 例えば いらなくなってしまった お人形。
 スカートが無いのが解る。
……これじゃ、本当に捨てられた人形だ。 
「……」
 もう、体を起こす気も起きない。
 このまま こうしていたら…本当に 人形になってしまえそう……。
 雨が降って、風が吹いて、それでも何にも感じなくって、
 風化して、崩れていくのに 安心するんだ……。
「………」
……でも……、悲しい事に、咲妃は 人形ではなかった。
 だから、
 泣いている。
「……なんで……?」
 形も無い何かに問いかけて……。
「助けて……」
 遂に自分というものを手放す。「助けて」と求める事は、そういう事だ。
 受動であって、自発では無い事。
 その形は……。そう……。    

119 :201:03/12/20 16:57
>>118
 
「藤宮さん! 大丈夫?!」
―――『適合者』と同じ。
「……菫……さん……?」
 その惨めな姿を発見し、最初に救いの手を差し伸べたのは
「菫…さ……、たす…けて……」
 北川 菫。 『適合者』 だった。


120 :201:03/12/20 17:10

「落ち着き…ましたか?」

 そこは菫の部屋。
 菫の家は学園に近い為、彼女はそこから通っている。
 此の時の時刻は七時頃。 外はとうに暗い。
 夕刻、転入生の藤宮 咲妃が校舎裏で…それも、何とも惨めな姿をして倒れていた
のを見つけて、家まで連れてきたのだ。
「……うん」
 最初に訊ねた言葉の返事は、随分と間を置いて返って来た。
 その事から 藤宮さんの精神状態がどれ程のものかが 大まかに悟れる。
 この時……いや、夕刻に藤宮さんを発見して以来、菫は内心で神に感謝を捧げていた。
〈……ああ、〉気を抜くと零れてしまいそうになる至福の溜息。
 菫はこの時、何処までも幸せだった。       

121 :201:03/12/20 17:26
>>120
 そして確信するのだ。
―――堕としたわ。  と。
 菫は優しい声で、咲妃に話し掛ける。
「藤宮さ――いえ、咲妃さんで良いかな?
 咲妃さんも私の事を名前で呼んでくれていたものね?」
 こくん。
 咲妃は小さく頷いて返した。
「さて、それじゃあ咲妃さん。 何があったのか…教えていただけますわね?」
「…………」
 聞くと咲妃は 何故だか黙りこくってしまった。
……今でこそ お風呂に入れて、ちゃんとした服を着せてあげて、まともな格好に成っているけれど、
夕刻の発見時には 酷い姿をしていた。
 余程 酷い目にあったに違いなく、言うに忍びないと言う事なのかも知れない。
 でも、それではいけない。 菫の視点に於いて、咲妃と菫の間には壁が在ってはいけないのだ。
 なぜなら、咲妃はもう『適合者』なのだから。
 だから、適合者ではない部分の咲妃に トドメを刺す。
「助けて…上げるよ?」 と。 

122 :201:03/12/20 17:43
>>121
 
 その一言は、何処までも咲妃を打ち壊した。
 
 咲妃は堰を切ったように泣き出し、暫くして それが止むと、全てをはき出した。
 そして、その内容は 菫をこの上なく満足させた……。

 全てを聞いた後、菫は咲妃の肩を優しく抱き包んで言う。
「もう 苦しまなくていいのよ……」
「菫さん……でも……」
「解っているわ。 寮に戻れば、避けられないものね。
 だったら もう戻らなければ良いじゃないですか。
……この家に 居ても良いんですよ?」
「本当……?」
「ええ」
「……でも……そんなことしたら…迷惑かけて……」
「迷惑なんかじゃありませんよ。……それでもと言うのなら、せめて今日は泊まっていって下さい。
……こんな状態の貴女を、あんな方々の下へ帰すなんて残酷な事は出来ませんから」 

123 :201:03/12/20 17:59
>>122
 
 鎖で繋いででも此処に残ってもらっちゃいます、なんて冗談交じりに言う菫さんを見て
咲妃は遂に折れた。
「うん……それじゃあ、お願いします」
 咲妃がそう答えると、菫さんは 満足そうに笑んでくれた。

 * * * * *

 それから、菫さんのご家族に挨拶をして、夕食を御馳走になった。
 テーブルの上にあるのはエサではなくて、食事であることに 思わず咲妃は泣いてしまいそうになったが
皆を困らせてしまっては申し訳ないので 堪える。
 ご家族の方々はとても優しくて、すぐにも咲妃を迎え入れてくださった。
 咲妃も その雰囲気に懐柔されて 食事の終わる頃には すっかりと打ち解けていた。

  * * * * * 

 夜。 部屋は既に暗く、だが咲妃が居るのはベッドの上。
 それが酷く懐かしいと感じる事が悲しくて、咲妃は泣いた。
 今は一人きりだから。思う存分、安堵と共に泣いた。 

124 :201:03/12/20 18:12
>>123

かつて菫さんのお姉さまが使っていらっしゃったお部屋が空いていて、そこを借りているのだ。
……ありがとうございます……。
 部屋の出口の方に向かって そう呟くと、咲妃は目を閉じた。

 暖かい。
 柔らかい……。
 幸せ……。 

 身体を包んでくれる布団があるからこそ、闇もまた心地よく……。
 それでもまだ残る後遺症として、咲妃は身を縮め固めたまま。
 けれど、安らかに、眠りへと落ちて行った・・・。

 ・・・どうか、明日からは また普通の日々を過ごせますように・・。

 第一話 十月 月曜日 終わり。

125 :201:03/12/20 18:25
……ああ、長。 駄文ですまぬ。
 次の二話はがんばりましょう。

ところで、この一話。救われたような終わり方をしているけれど、
舞台裏は、真っ黒です。ええ、今頃菫さんはベッドの中で笑っているでしょう。
ここで、咲妃には一旦、「救われた」と思わせ、「信じる」べきものを与えて
置きたかったと言う事。
……当然、ぶっ壊します。……その時の咲妃ちゃんがどれだけ絶望する事やら。楽しみ。
 しかも、それまで逃げ続けてきたあの寮に戻らなくてはいけないなんて。
 菫たちの妨げもあって、咲妃に何も出来ずに居たお姉さまはどうするんでしょうね?
 それと、綾野の咲妃を見る目は まず、「つまらないもの」になって、
 『脱落者』になった後は……少しずつ良い関係に……。
 静さんは……その頃からの登場かな?  

126 :201:03/12/20 18:34
キャラリスト
 >>65プラス
 
 北川 菫……『適合者』 咲妃みたいな子に手を差し伸べて、自分に酔いしれるのが
       大好き。 だが、本人にそれを指摘すると 否定される。
 望月 綾野……『脱落者』 クールで、自由派。 
 赤山 静……脱落者で、現在ヒッキー。

127 :名無し物書き@推敲中?:03/12/20 18:43
>>124の続き

第二話 十月

 教壇では数学の教師が黒板になにやら数式を書き込んでいる。
 コッコッとチョークが黒板に当たる音はなにやら眠気を誘う音でもある。
 欠伸を堪えながら望月綾野は藤宮咲妃に視線を飛ばす。
 ここ数日、咲妃はいつも北川菫と一緒にいる。
 登下校も一緒のようだ。
――堕ちた……、のかな。
 それならそれで構わないとも思う。
 北川教の信者には興味はない。
 しかし綾野には咲妃のことが気になって仕方がない。
 咲妃にはどこか他の北川教信者とは違うところがある。
――藤宮さん……、時々凄く不安そうな目をしてる。
 そう、まるでかつての綾野自身のように。
 藤宮さんは、北川のことをどう思っているのだろう。
 かつての綾野が感じていたように、『お人形』にされてしまうことに対する不満はないのだろうか。
 咲妃の見せる不安そうな目はなんなのだろうか。
 綾野は咲妃に視線を向けたままで考え続けていた。
――私はどうしたいのだろうか……、私も北川と同じように藤宮さんを手に入れたいと思っているのだろうか。


すいません>>125を読んでなかったので、綾野の反応を多少変えてしまいましたが……。
続きをよろしくお願いします。

128 :201:03/12/20 18:47
  ……と、そんなわけで咲妃は暫く平穏な日常を送るわけだが……。
 来たる二話にて、それは崩れ去るのでした。滅茶苦茶に絶望させてやりましょう。

 咲妃のステータス。
  
 体力……万全に回復。
 精神状態……万全に回復。
 状態……額の傷も大夫良くなってきた。
     『適合者』の一人として『普通』の日々を送っている。
     他の人の助けもあって、由香とも会わずに済んでいる。
     結局、北川家にお世話になっている。
 ……だが!! 来たる第二話の 十月 月曜日〈一話から 丸二週間〉
 咲妃は『綻び』を見てしまうのである。
 そこから『適合者』というものの『実は恐ろしい事だ』という事実に気が付く。
〈自我の消失〉……その時思いに浮かんだのは、お姉さまと麻利亜様だった。
 確たる自我を持って、『生きている』お二人を 美しいと思い始める。
そして、麻利亜様の言葉が蘇る!!
 その時咲妃は……!!  ……どうなるのかは、書く人にお任せします。

129 :201:03/12/20 18:48
>>127、ごめん、踏んじゃった。

130 :201:03/12/20 18:54
>>127、いや、それでイイ!!
    綾野についてはそのまま行こう!!
 後は流れの参考として〈あくまで参考程度に〉>>128を活用してくれい。
 それじゃ、続き誰かよろしく。

131 :名無し物書き@推敲中?:03/12/20 21:02
>>127の続き

 ふいに咲妃の視線が綾野の視線と交わった。
「タスケテ」
 綾野には咲妃の唇がそう動いたように見えた。
(やはり、藤宮さんは私に助けを求めている……)
 咲妃にはどこか綾野自身と似たような雰囲気がある。
 同じような過去を持つ自分にだけは咲妃の気持ちがよく理解できる。
 だけどどうすれば咲妃を救えるのか、それが分からない。
「麻利亜さま……」
 思わず綾野は自分を菫の束縛から開放した女性の名前を呟いていた。
 確かに麻利亜の助力で自分は菫の鎖を断ち切ることができた。
 しかしそんな麻利亜にもどこか黒い打算のようなものを感じて綾野は麻利亜の元を去った。
(あの方は、柔和な笑顔の裏に恐ろしく酷薄な計算を隠している……、だけど、藤宮さんを北川の手から救うためには、やはりあの方の力を頼るしかない)
 麻利亜に会いに行くのは恐ろしかった。
 それに危険でもある。
 表面上はもう綾野には興味がないような様子だけれど、自分が会いに行けば、麻利亜は再び綾野を絡め取ろうとするのではないだろうか。
 自分に麻利亜の誘惑を跳ね除けるだけの力があるのだろうか。
 そこまで考えて、綾野はふッと唇をゆがめた。
 すでに咲妃を救うつもりになっている自分に気が付いて、なんだか可笑しかった。
 これほど他人のことを気にかけるのは初めてだ。
(不思議な娘……)


先をお願いします。

132 :201:03/12/20 21:40
>>131の続き。

 咲妃が菫の家にご厄介意になり始めて、既に二週間が過ぎていた。
 ともすれば、この十月も終わりの頃で テストなどのある憂鬱な時期だ。
 どうしよう? なんて クラスメイトとお話をしている自分が居る。
 日々は順調に流れていた。
 あれから幾度かお姉さま……、……由香様が訪ねてこられる事があったのだけれど、
その都度 みんなが守ってくれた。
 由香様がいらっしゃった所で、誰も取り次ごうとはしないし、無断で入って来ようものなら
大勢が咲妃を囲んでおしゃべりを始める為に、由香様は決して咲妃に近づけなかった。
 だから 咲妃は『適合者』達が心強い味方だと感じていたし、自らもその内の一人で居られる事が嬉しかった。
 だけれど その『適合者』の中にも幾つかの暗黙のルールが有って、その内にのひとつに
『望月綾野』とは関わってはいけないというものがあった。
 始めにそれを知った時には、あまりいい気がしなかったけれど……言われてみて考えれば
 彼女は時々咲妃の事をじっと見ていて……その目がどこか怖いので、関わらない方が良いのは
何かしらの理由が有っての事なんだろうなあ、と思うようになったものだから、咲妃も彼女の事は極力避けている。
……それに。
 ルールは乱してはいけない……。 

133 :201:03/12/20 22:09
>>132
 
 なぜなら、それは『他と違う事』だからであり、『普通』ではないからだ。
 つまり それは『孤立』であり、もしも咲妃が孤立してしまったなら……。
「・・・」
 咲妃は人知れず 身を震わせた。
……そんな 怖い事は考えたくない。
 守るものが無くなってしまうなんて。……それじゃあ、まるで いつかの夜みたいだ。
 身を包むものも無く、闇の中に転がって 怯えながら明けない夜を過ごす……。
……嫌だ。そんなの。……怖い。
 もう二度と、あんな所には戻りたくない。
「どうしました? 咲妃さん」
 咲妃が一人 もの思いに沈んでいると、菫さんがいつものように柔らかな声で話し掛けてくる。
 その声を聞いていると、咲妃は落ち着く事が出来た。
「……あ……。 菫さん……。
 んーん、ちょっと前の事を思い出していただけ……」
「そう……?
 ……あんなこと、さっさと忘れちゃって下さいね。その方が良いに決まっています」
「うん、ありがとう」
 菫さんは 優しい人で……一緒に居たい人。……だから、咲妃は『適合者』で有り続けなければならない。
……?  『有り続けなければならない』?
 ……へんなの。 それじゃあまるで……、『適合者』で居る事に反感が有るみたいじゃない……。 

134 :201:03/12/20 23:09
>>133
 昼休み。
 食事を済ませて 物思いにふけっていた麻利亜の所に、久しい客が訪れた。
 綾野である。
 綾野は かつて麻利亜が目を付けていた素材の『半分』だった。
もう半分の少女は赤山 静という名で、素材の消失してしまった部分だ。
 あの素材は二人で一つとなって初めて良きものと成り得たというのに、
芸術を解しない輩によって、真っ二つに壊されてしまった。
 その瞬間から その素材は魅力を失い、麻利亜にはもうどうでも良いものになっていた。
 それに、先に去ったのは綾野の方だったのだから。
……そして、その綾野が 今 麻利亜の所に来ている。
 実は、麻利亜にはその理由の察しが、それもほぼ明確に 付いていた。
「久しいわね、綾野」
「はい、お久しぶりです。 麻利亜様」
 綾野は あの頃と比べて 可愛げが無くなっていた。いえ、わざとそう振る舞っているようね……。
「それで? これだけ久しいというのに、何の用も無く来たと言うのでは無いのでしょうね」
「……では、率直に申し上げます。
 藤宮 咲妃の事について…お話があって来た次第です」 

135 :201:03/12/20 23:47
>>134 
 綾野の用事は 麻利亜の予想していた通りのもので、その内容に至るまでもが全て麻利亜の予想範疇内
に在るものであった。
 だから 話を聞き終えて麻利亜が持った感想は「そう、やっぱり」というものだった。
 綾野は更に、麻利亜に対して協力を求めてきた。
「……このまま時間が経過していくのは、麻利亜様のご都合に沿わないものかと」
「そう、それで 私にも動いて欲しいと言うのね?」
「はい」
「断るわ」
「……?! どうしてですか?!」
「だって、私が動く必要は何処にも無いし、この状況が私の都合に沿っていないわけではないもの」
 そう、全ては麻利亜の意のままだ。
 今、咲妃が『適合者』で、由香の下に居無いという事も。
 だから、麻利亜にとって今の咲妃の状況は何の問題にもならない。
 故に、麻利亜にとって、この会話は『無駄』であったし、これ以上続ける気も無い。
「用件はそれだけかしら?」
「麻利亜様……」
 尚 会話を続けようとする綾野に、麻利亜は冷たく微笑んだ。
「それだけのようね。
 私からの用は何もないから、もう私の前を消えなさい。
 そんなに何かをしたいのなら由香でも訊ねてみる事ね。
  この私が、あなたごときの為に動くとでも思ったの?
 ふふ……、大した思い上がりね。
 それに……、あなたへの興味は、とうの前に無くなっているわ。
 これ以上此処に居られると……」
 次の言葉を言うのが……引いてはその反応が、麻利亜にはたまらない快感だった。
だからこそ、今一時の芸術の為、麻利亜は何処までも冷たい声で言った。
「目障りだわ」……と。 

136 :201:03/12/21 00:14
>>135
「……っ……」
 期待通りの成果だった。
 今の綾野の表情は、とても可愛らしかった。
 深く傷付いた顔をしていた。 ふふ……、今にも泣き出しそう。
 綾野は一度 深く瞬きをして、「……そうですか……」と静かに返してきた。
 無理に感情を押し殺しているその声は震え掛かっていて、耳に楽しい。
「……。それでは、失礼いたします」
 その声のままで、綾野はそう言って 麻利亜を後にした。
 その背に麻利亜は追い打ちを掛ける。
「綾野、今だけは 可愛かったわよ。
 それじゃあ、『さようなら』」
「……っ…ぅ……」
 綾野は一つだけ殺しきれなかった嗚咽を漏らしてしまうと、走って教室を出ていった。

「……ふふ……」
 後に残された麻利亜は……
「ふふ……あはは……」
 その胸の高鳴る快楽に、身を震わせていた……。そして一人、居もしない綾野に言う。
「大丈夫よ。 咲妃ちゃんは『適合者』には成りきらない……いいえ、成り切れないわ」
 その為の防腐なんだもの。
 それに……もしも誰かが動くべきならば……。
「ねえ?由香……」
 あの娘が動くもの。
 私はまだ待つだけ。 咲妃ちゃんが……ううん、『咲妃ちゃんと由香』が、最高の素材へと成熟するまで。
……ふふ……、楽しみ……。  

137 :201:03/12/21 11:59
現在、>>136の続きを大量制作中。
    今日の四時までに公開〈後悔〉予定。
    ちょっとばかり、気長にウェイトしてて下さいな。 

138 :ねこねこ:03/12/21 12:00
>>137
 な、なんだってーー!?
 なんちゃって。 うあーー、楽しみだぞーー。

139 :201:03/12/21 14:47
 その日のお昼休みに、『それ』は起こりました。
―――ノア。……『脱落者の粛正』 
 対象は、望月 綾野さん。 彼女が何かの用事で席を発っている その間に。
 菫さんの招集の下 『適合者』の全員が集まって 行動を始めた。
 始め 咲妃にはその意味も理由も解らなかったので、菫さんに伺ったところ、先ずはその意味
が答えとして返ってきた。
「粛正を するんですよ。
 異分子とは常に全体に対して有害であり続けるものですから。
 ……それに、全体と違うのなら、全体の中に居る意味も必要も無いでしょう?」
 粛正……それはつまり、『排除する』と言う事。
 その内容は……『消してしまう事』
 確かに居るはずの望月さんを『存在していない者』として、書き換えてしまう事。
 先ず、机が取り払われ、持ち物は全て処分。
 その上で、『適合者』の全員が『望月 綾野』という存在を認識の外に置く。
「……でも……ここまでしなくても……」
 流石にこれには咲妃は反感を覚えた。
……そう、第一、望月さんが一体 何をしたというのだ。……彼女は何もしていない。
 だが、それは外から来た者の感性であって、『紫乃咲』の感性とは違ったものなのだ。
 『紫乃咲』の『適合者』達の間では、これが『普通』で『当たり前』の事なのである。
  戸惑う咲妃に、菫さんは諭した。
「『腐敗』とは、存在しているだけで他のものも『腐敗』させてしまいます。
 ですから、彼女の存在は それだけで私達全員にとっての有害なんですよ。
……それに……、そうですね、例えば、どうしても食べたい林檎があったとして、
それが腐っていたら 腐った部分は削ぎ落とすでしょう?
 それと何らの変わりもない事です。
 それに……消えるのは、たった一人。それも全員に対して有害な人だけじゃないですか。
 全体の秩序と平和から見れば些細な事です。
 そうでしょう? 人間は常にその道を選択し、その結果 今日も永らえているのですから……」
「……そんな……」
 おかしい。 それは確かに 言い返すべきも無い正論で、結局のところの人間の心理だった。
……けれど、咲妃には納得いかなかった。 そこには何の理論も言葉で表せる理由もなかったが、形のない感情としての理由があって……。

140 :201:03/12/21 14:49
 ともかく、やめさせるべきだと思った。
「……でも、こんな事をしたら 先生方が……」
 そう、学校には『管理者』が居るのだ。 こんな勝手が許されるはずが……。
「ああ、気にしなくてもいいですよ。『粛正』は、学校全体が認めている事ですから。
 前の粛正の時も、教員の皆様は協力してくださいました」
「な……っ……」
 おかしい、そんなの変だ、狂っている、尋常じゃない。
 なのに……、
―――この時初めて……咲妃は『適合者』を恐ろしいと思った。
 それまで微笑んでいるように見えたみんなの優しげな顔は……よくよく見れば能面のようで、
しかも、全部 同じ顔をしている。
 誰一人、これがおかしいとは思っていない。
 何故?   そう、『みんな』がそうしているから。
 自分では何も考えない。 ただ、何か大きなものの歯車の一つとしてそこに在るだけの………。
 それは つまり  『自我の喪失』
 そして、此処は自我を徹底的に淘汰する者の場。
 咲妃の中で、何かが綻び……崩れ始めていた。
 それは 例えば 救われた日の夜。 この身を暖かく包んでくれた布団……。

――――『つまらない子になっては駄目』――――
 不意に、あの日の言葉が蘇った。
「麻利亜様……」
 加護? いや、むしろ それは『呪い』。 だからこそ 咲妃はそれに従うのであった……。
 魅入られた。だから逆らえない。
 咲妃は麻利亜の望む素材で在り続けなければならず、今やっと咲妃にはその在るべき自分
の形が判った。
 『法』 『秩序』  神に愛される『適合者』達と、
 『無法』 『混沌』   悪魔に魅入られた『咲妃』
 そんなイメージが浮かんだこの時、既に『咲妃』と『適合者』は別々のものに成っていた。
「………」
 いつの間にか、教室に 咲妃の姿は無かった……。

141 :201:03/12/21 14:50
咲妃は廊下に出て、望月 綾野を捜していた。
 何が出来るわけでもない。 ただ、何もせずには居られなかったのだ。
 そう、例え……最も恐ろしい人に出会っても……。
「――咲妃」
 びくり、  心臓に冷たいものを感じて、咲妃は一瞬凍り付いた。
 だが、咲妃は自らその凍結を解く。
「……由香様……」
 恐怖に震えだしてしまいそうなのを こらえて、咲妃は真っ直ぐ、正面に由香様の姿を見据える。
 由香様はあの冷酷な笑みと共に、咲妃の行く手を 立ち塞いでいた。
「由香様……そこを通してください」
 震え掛かって居たかも知れないが、確かに はっきりと 咲妃はそう言った。
 言った自分ですら信じられなかったのだから、言われた由香様も 流石に驚いた顔をなさった。
 そして次には 何故だか満足げな笑みえと変わって行き……。
「いいわ、通してあげる」
 と、道を開けたのだ!
「え……っ?」
 咲妃は再び驚いた。 まさかこうもあっさりと道が開くとは思っていなかったから。
 不思議そうな顔をする咲妃に、由香様は答える。
「これは……そうね、ご褒美 かしら?」
「あっ……」
 そこで咲妃は思いだした。
―――すぐに従っては駄目。理不尽な私に、反抗しなさい。そして……――――
 そして気付く。
 今まさに、咲妃は自分の意志を明確に持って、反抗しているのだ。
 そして、それが由香様を楽しませているのだ……と。 
「はい。 それでは 失礼します」
 小さく頭を下げるだけして、咲妃は由香様の横を駆け抜けていった。

 その背に 由香様の冷たい歓喜を感じながら……。

142 :201:03/12/21 14:52
「望月さんっ!!」
 三年の教室の在る三階へと上る階段のところで、丁度そこを下ってくる望月さんを発見した。  
 望月さんの目元はまるで泣いた後のように、赤くなっていたが、今はそちらに関する興味を優先するべきではない。
「……藤宮さん……? どうしたの?」
 反応を返す彼女にはいつも以上に生気が感じられなかった。そこで一瞬、咲妃は戸惑ったが、すぐにも決断して、言う。
「望月さん、教室に戻っちゃ駄目!」
……とにかく、あの場所は危険すぎる。
 言うと、望月さんは ふっと冷めた笑みを浮かべた。
「……そう、遂に始まったんだ……。 『粛正』」
「……どしうて……?!」
 返ってきた言葉に、咲妃は驚愕を隠しきれず、咄嗟に聞き返していた。
 だって……まだ、その事は言っていない。
「何となくね、そういう気がしていたから。
 ……前の…静の時も、あんな空気だったし。それに、今貴女がここへ来たと言う事が、多分何よりの証拠。
……ところで、いいの? こんな所に来ていて。単独行動は『脱落』の一歩よ?」
「……、わかってる」
「そう、」
 望月さんは、止めていた足を再び動かし始めた。その背に咲妃は声を掛ける。
「行っちゃうの……?」
「ん、」
「どうして?」
「さあ? 『意地』なんじゃないかな。……静のぶんの……」
「……望月さん……」
 咲妃もまた、歩き出していた。 望月さんの横を。
「ねえ、咲妃」
 不意に彼女は咲妃を名前で呼んだ。
「もしもこのままあたしの横を歩くつもりなら……『綾野』って呼んで」
 横を歩く。  それは……『適合者』の意に反する事。  『脱落』すると言う事。
……今更……、咲妃は『適合者』には戻れない。  いや、……結局、咲妃は『適合者』に成り切れ無かった。
「うん、……綾野……」
 綾野は、微笑みもしなかったけれど、変わりに咲妃の手を握った。
「……よろしく、咲妃」

143 :201:03/12/21 14:53
教室へと戻る。

 誰もこの二人を見なかった。

 席は二つ 消えていた。

………ぎゅ、

 綾野の、咲妃の手を握る力が強くなる。 まるで勇気づけるみたいに。
解っては居たし、『適合者』の実体をも知ってしまっている。
……それでも尚……。 その事実は咲妃の心を深く斬りつけた。
 だって……これが現実だったとしても、確かに……幸せだった日々は存在していたのだから…。
 笑った事も、安らいだ事も、暖かかった事も……。 『ありがとう』って……言った事も……。  

 でも、それらは全部……
 全部……全部……全部…全部、全部全部全部全部全部全部全部全部全部……!
 
       錯覚に過ぎなかった……。


144 :201:03/12/21 14:59
 行き場も無く、入り口に佇んだまま二人は言葉を交わす……。

「ねえ……、もしも覚めない夢があったとして、その中に居続けられたら、幸せかな……?」
「そう……かもね。 
 でも、それじゃあ 生きている意味が無いだろ……?
 こうやって……確かに存在しているし…あたしと咲妃は違うもので、『適合者』でもない
……だから、あたし達にはそれぞれの名前が在るんだ……。それは、現実の証なんだよ……」
「……うん。 そうだね」
「ああ。
……ともあれ、これからは 大変そうだな……」
「……大丈夫だよ……きっと。 一人じゃなければ。」
「……だな? ん、それじゃあ がんばろうか。
 とりあえずは『ちゃんと卒業まで居残り続けてやる』って事で」
「うん。 がんばろっ」
  
 そう、思えば この時が始まりだったのである。
 ただ、 ゆめゆめ……それが光に満ちたものなどと思わぬべきだ。

……ともあれ、咲妃は『脱落』した。


145 :201:03/12/21 15:04
・・・はい、次は寮に帰るシーンから。〈まだ二話ですよー〉
 がんばって、この日を終わらせちゃってください。
 あと、「由香様」から「お姉さま」に戻す為のワンシーンなんかを希望。
……さて、この話でいきなり主要化した綾野ですが、当然、咲妃にとっての
心強い味方になるし、「いい感じ」に成っていきます……ですが……
 そんな つまらん展開は願い下げ。 
 このままハッピーなんて思っていたら大間違いよ? 咲妃。
 ぶっちゃけ、綾野は 死にます。頃されてしまいます。
 具体的に、中編の最終話辺りで。
 で、咲妃ちゃんは本格的にブッ壊れます。〈居ないはずの綾野の席に話し掛けたりとか〉
 だから 後半なんて『壊れ咲妃』だから大変。
 あとは、折角……いやいや、ここは後のお楽しみ。……ってことで、
 上記のようになるのかどうかは、毎度の事、書く人次第です。いじょ。
……これって、一番大変なの由香やんなぁ、最後のシーンに至までの関係に辿り着くのは
大変そうだ。 


146 :シーチキン:03/12/21 17:16
続きがーー!!
 予告通りに公開されているーー!!
 す・・すげえ出来だ!!
 名作か!? 名作なのかッッ!?

147 :ねこねこ:03/12/21 20:03
 続きが読みたーい。
 イカした名無しさん、書いてーー。

148 :ぽけらっぱ:03/12/21 20:49
そういえば、今日は201しか書いていないんじゃない?
他の人はどうしたんだろ・・・。
 まあ、相変わらず面白いからいいんだが・・・。

149 :名無し物書き@推敲中?:03/12/21 21:19
>>148
いや、更新予告があったんで……完了を待ってました。


150 :名無し物書き@推敲中?:03/12/21 21:21
>>144の続き。
「お姉さま……、長い間部屋を空けて申し訳ありませんでした」
 久しぶりに寮の部屋に帰った咲妃は開口一番に由香に対して謝罪した。
 由香は楽しそうな目つきで咲妃を見つめる。
「あら、ここのルールは忘れていないようね」
「――はい」
 咲妃の口調には初めてこの部屋に入った時のような痛々しいほどの気負いはなく、かといって怯える小動物のような卑屈さもない。
 そこにあるのは自分の意思で道を選択した者のみが持つ決意と――、揺るぎない自信。
 由香は咲妃の返答に成長の痕跡を感じ取り、その声音の響きを堪能した。
 咲妃の返答によって起こされた空気の揺らぎ、その最後の波動までもが静止するまで、じっくりと愉しむ。
 もはや咲妃に自分の醜態を見られたことに対する恥辱も、咲妃が麻利亜の抱擁を受けたことに対する嫉妬も、すっかりと由香の中から消え失せていた。
 ただただ咲妃の変化、まるで蛹が蝶にかわるような成長に対する、――興味だけがあった。

151 :名無し物書き@推敲中?:03/12/21 21:29
>>150続き。

「もう一つのルールも、覚えているのかしら?」
 由香はあくまで愉しそうに、それでいて少し意地の悪い響きを湛えるように細心の注意を払って咲妃に訊ねる。
「制服以外は全て処分して来ました」
 咲妃の返答に淀みはない。
 由香はいっそう嬉しくなって質問を重ねる。
「じゃあ今は――、制服の下には何も身に着けていないということね?」
「……そうです」
 咲妃の声色が微妙に色褪せた。
 途端に由香の背中に電撃のような悦びが走る。
(ああ! いいわ、いいわよ、咲妃。あなた、とても面白い子になったわね)
 由香は己の体を駆け抜けた衝撃的なまでの歓喜をあくまで隠しつつ、静かに言葉を継ぐ。
「明日も学校があるのでしょう。制服はクローゼットに仕舞っておきなさい」
 逡巡した咲妃がやがて決然として頭を上げる。
 そして咲妃は、……今回はあくまで自らの意思で、しっかりとした手つきでスカートのホックに手をかけた。
 由香との決別の日にガタガタと震えた膝はしっかりと大地を踏みしめ、その目の奥にはけして鋼の決意が鈍い光を放つ。

ここでパス。

152 :名無し物書き@推敲中?:03/12/21 21:31
すいません、ラスト一行ミス。
由香との決別の日にガタガタと震えた膝はしっかりと大地を踏みしめ、その目の奥にはけして傷つかぬ鋼の決意が鈍い光を放つ。

「傷つかぬ」が抜けてました。


153 :201:03/12/21 22:41
>>152お、続きだ。
 ……よかったよかった。サンクス。
  ……しっかし、『制服以外は全て処分して来ました』と
「制服の下には何も身に着けていないということね?」
ってことは……すっぽんぽんですかーー?!
……果たして、こんなんで貞操守りきれるのかな……。
 ……服の代わりの……奴隷衣装みたいなヤツぐらいは、着せてあげて良い?
 ほら、十月末だし。 女の子は腰を冷やしちゃいけないし。
 まだ十八禁シーン出すつもり無いし……。 ええい、着せちゃいます。
 だってこれはリレー小説だもん。 じゆー じゆー。

154 :201:03/12/21 23:02
>>152の続き。
 
 由香は満足していた。
 咲妃が帰ってきた事に。
 それも、ただ返ってきたのではなく 一回りだけ強くなって。
 前の 怯える雪ウサギも可愛らしくて好きだったが、今ひとつ、あれは手軽すぎた。
……そう。 これくらいでなくてはいけない。
 勿論、逆らわれる事が好きなわけではないし、咲妃が強いと言う事を望んでいるわけでもない。
 由香が望むのは、その『一回りだけ強くなった』咲妃を再び従属させる事だ。
 何事かを経て、強くなった人間を ばっきりと、真っ二つにへし折ってしまうのだ。
 それこそが由香の最大の快楽。
 今こうしてしっかりと立ち、気丈な顔をしている咲妃を、また堕して、ボロボロにして、
 震えてすすり泣く雪ウサギにしてしまうのだ。
そのしっかりとした視線が、今に 怯えた視線に変わって……。
 それを想像するだけで……ああ!! ゾクゾクする。
(最高よ……咲妃。 あなた、最高の玩具だわ!)  
……さあ、これからどうやって咲妃を調教してやろうかしら。
 黒い数字達が、由香の中で動き始める。
 由香は恍惚とした為息を吐いて、思わず心の内を口から出してしまった。
「咲妃……。愛しているわよ。・・・ボロボロに、壊してあげる」と。
 咲妃にとって幸いだったのは、その声が小さくて、聞こえていなかった事であるのは 言うべくも無い。 
 

155 :名無し物書き@推敲中?:03/12/21 23:05
>>153
すいません。
強くなった咲妃ちゃんに裸のまま床で寝る悲哀を味わって欲しくなって思わず……

156 :201:03/12/21 23:26
>>154

 咲妃が制服を脱ぎ終えると、その下を包み隠しているものは何もなく、一糸纏わぬ
あられもない姿に成った。
 流石にこれには抵抗があったが、努めて羞恥を押し殺した。
 こんな事にいちいち参っていたら 保たない。
 こんな事、そう、こんな事。
 咲妃は自分にそういい訊かせて 気丈を保たせようとした。 
……だか、そんな事で助かる程、お姉さまは甘くはなかった。
「あら、思った通り。 咲妃のは貧相な身体ね。……ふふ、似合っているわ」
 それは、どこまでも貶められた気分になる、嘲けた声。
 おそらく、咲妃ではない……もっと豊かな体つきをしている者でも、この声で言われてしまえば、
精神的な傷は深いだろう。それを、本当に凹凸の薄い身体をしている咲妃に言うのだ。
 咲妃本人が本より気にしていた事も手伝って、その一撃はあまりに強大で、いくら咲妃が
成長してきたとは言っても、これは痛すぎた。
「っ……」
 誰にも見せた事のない全裸への手酷い感想に 遂に咲妃の防御は崩れて、押さえていた羞恥が
堰を切って押し寄せてくる。
「……見……ないで…ください……」
 咲妃は胸と局部を手腕で覆い隠して、その場にへたり込んでしまった……。 

157 :201:03/12/21 23:32
>>155、なるほど、じゃあ、両方の意見を採り入れられるようにがんばって見よう。
    とりあえず今 裸コンプレックスだから、奴隷着をちらつかせて
「じゃあ、これは要らないわね?」
 みたいなふうに訊いて、
「……要り……ません……そんなの……」
っていわせて、でも結局、寝に入ってから……由香の視線に絶えられなくてとかで
「……くだ…さい……」
 とか、いわせちゃったり。 もう、たまらんね。

158 :201:03/12/21 23:51
>>156 閑話休題して、と。 本編。

 どくんっ!!
(ああ!!)
 強く打った胸の鼓動が あまりにも気持ちよすぎて出た快楽の悲鳴を 由香は必死になって
心内に留めた。
 急に弱々しくなってしまったその声!!
 必死に隠そうとしているそれこそが最も艶めかしいその姿!!
今にも……犯してしまいたい!!
……だが、必死になって由香はその衝動を抑え込んだ。
 まだだ。 まだいけない。
 もっともっと、この子は美味しくなる。
 その時まで……。
 『その時』の事を思い浮かばせて、それと現在を比較させ続ける事によって、衝動はようやく
大人しくなっていった。
 そして由香は更なる調教に出る。
 いいえ……更なる、ではないわ。今までのは、単なる前戯にすぎないのだもの。
さあ、調教を始めましょうか。
 由香は下腹部の疼きに一度だけ切ない溜息をした後、『それ』を取り出して、
俯いたまま座り込んでしまっている咲妃に声を掛けた。   

159 :201:03/12/22 00:19
>>158
 
「咲妃……」
 お姉さまに名を呼ばれて、咲妃は僅かに顔を上げた。
 お姉さまは勝ち誇った冷笑と共に 咲妃を見下ろしていて、その手には 見覚えのある
ものが在った。
「あ……っ」
 それは ここへ来た初日にお姉さまが「捨てた」とおっゃっていた咲妃の衣類の内の一つ、
ネグリジェだった。
……ただ、そのネグリジェは酷く薄汚れている。
「捨てたと伺いましたが……?」
 このまま何もしないままでは 前の二の舞だと思っていた咲妃は、此処で一旦そう切り返した。
「ふふ……」 
 だが、そんなひ弱な反撃などは 返ってお由香をより燃え上がらせるだけだった。
「ええ、『捨てた』わよ。 一度は。
 そう……これはね、ゴミ捨て場から拾ってきたゴミなの。
 奴隷のあなたには、ふさわしいでしょう?」
 余所宇田にせぬ事実を知らされて咲妃は愕然となった。
「そ……んな……」
 それを見て、由香は尚 嬉々とする。 
「ほら、ご覧なさい。
 汚れて! 臭くて! 醜くて!! しかも、ゴミとして捨てられた物!
 まさに『奴隷の纏』じゃない!!
 あははははは!」
      

160 :201:03/12/22 00:46
>>159
 
「ひど……い…」
 羞恥の上には 更に 恐怖と悲しみがのし掛かって、咲妃の頬を涙が伝った。
 そんな咲妃に向かって、お姉さまは『奴隷の纏』を着きだしてきた。
「ほら、恵んであげるわよ。
 着たいんでしょう? この服が!
 そんな恥ずかしい身体、何時までも晒していたくないものねえ?
 ほら、着なさい、奴隷! あなたは自ら望んで奴隷の象徴を身に纏うのよ!!」
 熱に浮かされた狂人のように叫ぶお姉さまは 咲妃の知っているお姉さまとは まるで
別人で、その狂喜が あまりにも恐ろしく 咲妃の目には映った。
 だが、咲妃はそこで堪えて見せた。
「嫌……です……!
 ……そんなものを着てしまうくらいなら……私は何も着ません……!!」
 必死に 必死に 勇気の全部を総動させて、咲妃は叫び返した。
「あ・・ふぅ・・」
 その直後、お姉さまのお顔が酷く艶めかしく歪んで、その口からは恍惚とした息を漏らしたのだった。
「ああ……良いわ……咲妃……」
「ひっ……?!」
 その瞳が咲妃の身体を舐めた時、咲妃の手腕は『身を隠す』ものから『身を守る』ものへと転じていた。
「そう、裸のままで居てくれるのね?」
 恐ろしい笑みを浮かべたまま、お姉さまがこちらへと歩み寄ってくる!
「い…嫌あっ……?! 来ないで! 来ないでください!!」
 咲妃は半狂乱になって叫ぶ。
 逃げようとするも、腰が抜けていて 思うように身動きが取れないのだ。 
   
 
 

161 :まり ◆evi0QWopW2 :03/12/22 00:54
大仰なタイトルだと思ったらエッチな話を書くところなのね。

162 :201:03/12/22 01:11
>>160
 
 そんな咲妃の様子にも構わないで、お姉さまは距離を狭めつつ、言葉を続ける。
「それじゃあ、この服は 要らないわね?」
 その瞳が 更に情欲の色を濃くしたのを見て、咲妃の自尊は消し飛んだ。
「ねえ……それじゃあ、ずっと見ていてあげる、あなたのその恥ずかしい身体を
 そういうわけだから、破いちゃうわね? これ」
「嫌っ…! 駄目です! やめてくださいっ!!」
「あら? どうして? 要らないんでしょう?」
「……い……りま…す」
「ふふ………」
 お姉さまは 残酷な笑みを浮かべたまま、ネグリジェを両手でパンと張る。
「駄目っ、駄目っ!! やめて! 要ります! 要りますから!!」
「あら……どうして要るの?
 着たくないんでしょう?
 『そんなものを着てしまうくらいなら……私は何も着ません』て、いったわよねえ?」
 ぱんっ 再びネグリジェが張られる。 脆くなってしまっているネグリジェは今にも
ビリリと音を立ててしまいそうだった。
「着ますっ!!  ……っ……着……たい…です……」
「ふふ……」
  ぱんっ!
「ああっ……!」
「着たいから? どうして欲しいの?」
「……ください…」
 ぱんっ 
「ひんっ……」
「違うでしょ? ちゃんとおっしゃい」  

163 :201:03/12/22 01:14
>>161よ、ちゃんと最初から読んだか?
   言って置くけど、まだ18禁シーンは一つも出していないぞ。
   そいつは最後の最後だけの話で これはあくまで真っ黒な百合モノだ!!
  

164 :201:03/12/22 01:33
>>162
「……恵んで……下さい……」
「そう。 恵んで欲しいの? この『奴隷の纏』を!!
 あなたは自らの意思で奴隷になるのね?!」
「……っ……それは……」
 ぱんっ、 ぱんっ! ぱんっ!! 
「あああっ?!
 なります!! 奴隷になりますから! もうやめてください!」
 咲妃は悲鳴のように叫んだ。
・・すっ
 そして、ようやく咲妃の前に奴隷の纏が差し出される。
「・・・!」
 咲妃は縋り付くようにしてその纏に手を伸ばした……が……、
「だーめ。 おあずけ」
 手に触れるか触れぬかのところで、それは引っ込められてしまった。
「ほら、ちゃんと言う事が在るでしょう?」
「もう……許してください……」
 遂に咲妃は泣き崩れた。
 ぱんっ!!
 それでも容赦なく、恐怖の音が立つ。
 咲妃は泣き伏せる事さえも許されず、お姉さまを満足させなければならなかった……。

165 :201:03/12/22 01:49
>>164

 静まった暗い部屋の中には、ベッドの上で安らかに寝息を立てるお姉さまと。
 固い床の上で声を殺して泣き続ける……奴隷の纏を身につけた咲妃の姿があった。
 そう…咲妃は屈服の証である『奴隷の纏』を身につけていた……。
 あの後……自分の口から出した言葉は、もう二度と思い出したくない。
 ただ その後でお姉さまは満足して 咲妃に奴隷の纏を渡したのだ。
「・・・・・」
 とにかく 今は 何も考えたくなかった………。
 
 久しく寝る床の上は、やはり固く
 ここ数日の間だけ優しかった闇は……再び咲妃を恐怖におびやかした。
 だから咲妃は……また 自らを抱きしめ、身を固く縮めて 震えながら
いつ明けるともしれない夜を送るのだ………。

 その間、咲妃は何度も綾野の事を思い浮かべては、その幻影に縋っていた……。

 第二話、十月 月曜日 終わり。

166 :201:03/12/22 01:57
第二話 終わりです。
 次は第三話で、前編もいよいよ架橋です。
 えーと、今回の最後で 随分と咲妃ちゃんが打ちのめされてしまいましたが、
大丈夫。 咲妃ちゃんはちょっとばかりタフになっています。
 朝起きると、結構回復しています。
……あと、名無し殿、すまぬ、どうにも文章力の乏しい自分で、すっぽんぽんで
お休みと奴隷服でお休みを両立して書けなんだ・・。
 此処は一発、バーンとォ(古っ)ネグリジェ萌えに切り替えちゃってください。笑。

 

167 :201:03/12/22 02:11
咲妃ちんのすてーたす。
 
  体力……頭痛。(泣きすぎ、服の心地悪さ、寝不足……特にこれ)
  精神状態……錯乱からブルーまで大回復。タフだ!……慣れてしまっただけか?
        だが、由香に対する恐怖心は更に大幅増量。  
  状態……額の傷……治りかけ。
      不眠症……毎夜の闇の所為。その内、倒れます。具体的に言うと、中編の途中で。
    で、その時、由香と咲妃が急接近して「姉様」になります。
    っていっても、まだまだ後のお話なのですよ。
    目下の所は第三話。 眠いから構想作ってないので書く人におまかせしちゃいます。
 それでは、咲妃の貞操はちゃんと守って(今回は危なかった・・・)
 バーンとォ、次のお話、よろしくお願いしまーす。    

168 :489 ◆29h8ahs60Q :03/12/22 02:14
キモイYO!!。・゜(ノД`)゜・。

169 :名無し物書き@推敲中?:03/12/22 02:39
>>168
そんなこと言うなよー。俺はかなり楽しんでるぞ。
201氏を始めとした作家陣よ、頑張って下さい。

俺も参加できたらな…

170 :201:03/12/22 14:17
>>169
自由参加だよ。
 どうぞ、じゃんじゃん書いちゃってくださいな。


171 :シーチキン:03/12/22 14:18
>>168
 なら、見るなよ。 いちいちそんな事を書き込むな。
 ここは楽しむ人の為の場所だ。  

172 :名無し物書き@推敲中?:03/12/22 15:42
>>165続き

第三話 十月

「ああ、私……、恥ずかしい……」
 月明かりの中で裸身を晒した綾野に麻利亜がゆっくりと近付く。
「ふふ、可愛いわよ――、綾野」
 麻利亜に『可愛い』と言われた途端、カッと体が火照り下腹部が熱くなる。
 綾野は焦れて太ももを摺り合わせた。
 ―ー麻利亜さま……、綾野はもう我慢できません。お願いです……綾野の方を向いて下さい。無視……しないで!
 綾野のすぐ前に立った麻利亜は左手で綾野の肩を抱き寄せると、静かにその右手を綾野の股間のふっくらとした茂みにあてた。
「ア……ッ」
 綾野の喉から幽かな悲鳴が漏れる。
 綾野は懇願するような目で麻利亜を見つめる。
 しかし、麻利亜の指は動かない。
 麻利亜は酷薄な笑みを薄らとその口端に浮かべる。
 やがて耐えきれなくなった綾野が懇願する。
「お願いします。麻利亜さま……、麻利亜さまの指を……綾野の中に麻利亜さまの指を入れて下さい」
 麻利亜は意地の悪い笑顔を浮かべ、答える。
「あら、綾乃。あなたは私よりも自由を選んだのではなかったかしら。それとも私の『玩具』になる覚悟ができたのかしらね」


173 :名無し物書き@推敲中?:03/12/22 15:42
>>172続き

 子宮が 麻利亜の指を欲していた。
 ――いらない……、もう何もいらない。自由な意志も、人としての尊厳も、何もいらない。綾野はただ麻利亜さまに褒めていただきたかっただけなんです、初めから綾野は麻利亜さまの……。
「……玩具です、綾野は麻利亜さまの玩具です。……自由に弄んで下さい」
 麻利亜の指が茂みの奥に隠れた襞に軽く触れる。
「っ……ァ」
 雷に撃たれたような快感に綾野は体を震わせた。
「咲妃は? 咲妃のことはどうするつもり?」
 耳もとに、ねっとりとした熱い吐息がかかる。
「差しあげます。綾野のものはみんな麻利亜さまに差しあげます! だから……っ」
 指を、麻利亜さまの指を綾野の中に入れて下さいっ!
「咲妃はあなたを頼っているのよ! 咲妃を見捨ててもいいの?」
「あんな娘はどうだっていいんです! 綾野は、綾野は麻利亜さまに……、麻利亜さまの玩具になれるのでしたら、何もいりませんっ!!」


174 :名無し物書き@推敲中?:03/12/22 15:43
>>173続き



 綾野は布団をはね除けるようにして飛び起きた。
 汗で、体がぐっしょりと濡れている。
 喉がカラカラに乾いていた。
――そうだ……、昨日私たちは『粛正』されたんだ。私と咲妃の二人。たった二人だけの仲間なのに……。
「……麻利亜さま」
 ――わたしは、麻利亜さまに褒められたかっただけなのだろうか? ただ可愛いと褒めてもらいたかっただけなのだろうか? そのために、……咲妃を巻き込んだ。
 綾野は自らの体を抱き締めるようにして手を肩にまわして、――ガタガタと震え始めた。


続きはお願いします。

175 :名無し物書き@推敲中?:03/12/22 16:12
気になっていたが、ここはこのリレー小説だけ?
それだと(俺含める)読み手には少し物足りない感じがするが。

176 :201:03/12/22 18:09
>>175 いんや、元々はね、黒百合な作品は何処にある? 情報もとむ。ってスレだったのだわ。
    リンクとかばんばん貼り付けていこう、ってふうにね。
    ところが、黒百合ってのは作品数自体が少ないもだから殆どあつまんなかったわけ。
    じゃあ、無いなら作ろうや。 ってんで、現在リレーでやっているのさ。
    まあ、創作板だしね、ここは。 

177 :201:03/12/22 18:33
>>174の続き。

 やれ 寝覚めと言うやつは 情緒が不安定極まりないもので、今更ガラにもなく震えたりしてしまったが。
 そうする事 一、二分して綾野よりも遅れて起きた 益体無い目覚まし時計が鳴ったので、
その音で綾野の意識は一気に焦点を得る。
 それから振り返ってみれば、なんだって あんな夢ごときに震えていたのかがよく解らない。
「……それにしても」
 はあ、 呆れたため息が出る。
(何て夢を見てんだか……あたしは……)
 原因があるとしたら、昨日麻利亜様に会った事だろう。
……そりゃあ、確かに泣かされもした。
 けれど あれはその場に麻利亜様が居たからであって彼女の迫力が成した業なわけで……。
 実際、綾野は麻利亜の下に自分が居ない事自体には さしたるものを感じない。
……ってか、誰だってあの方にああいう雰囲気出されたら泣くっての……。
そう、例えば 麻利亜様を敵視している北川とかでも。
 しかし また……。
 綾野は 自分のショーツが濡れている事に気が付いた。……夢の所為だ。
 そんなのに 嫌気を感じながら、その一方で、流石は麻利亜様の呪いだ……。などと毒づく。
「……気持ち悪」
 

178 :201:03/12/22 18:53
 着替えをしながら、綾野は夢の事を思いだしていた。
 『あんな娘はどうだっていいんです』……だって。
(ごめんよお、咲妃。 ってか、……いきなりこんなんでどうするよ、あたしは)
 まったく。 初日から幸先の悪い事だ。
……しっかり、しなきゃな。
 一度深呼吸をして 綾野は気を引き締め直す。
(……そうだ。あたしはもう二度と失敗しない……)
……静の時のように……。
「静……」
 今更になって、麻利亜や学園がらみの事で綾野の気分を沈ませる過去のものが
有るとすれば それは『粛正』の果てに壊されてしまった仲間……友人の赤山 静の事だ。
 過去に 綾野は『失敗』したのだ。
 自分の不注意で、静を守りきる事が出来なかった。
 気付いた時にはもう遅くて……静は全てに恐怖の念を抱いて、部屋から出てこなくなってしまった。
 当初は 綾野の事すら恐れて部屋の戸を開けてすらもらえなかったのだが、今現在では部屋から連れ出す
事は無理としても、会って話をする事ぐらいは出来るまでになっていた。
 
 綾野は近い内に また 静に会いに行こうと思う。
 久々に外の空気を吸わせてやりたい。と思うのは毎度の事として、
 あとは、咲妃の事を話しておきたかったのだ。それに、いつかは
咲妃と会わせても見たいと思っている。     

179 :201:03/12/22 19:02
「……っくしっ!」
 いきなりくしゃみが出た。
 うう……寒っ。
 それはその筈。 物思うところ 随分と深くあったものらしく、着替えの手が止まっていた。
「しっかりしろ、綾野」
 ありきたりだか、綾野は そうやって自分を叱咤し、着替えを再開した。

 パス。 よろしく頼みますです。

180 :201:03/12/22 19:03
それと、綾野は『死ぬ』人なので(まだまだだけど)
 スポット参戦キャラ並に強いです。 なんで、もう麻利亜に堕ちたりはしません。
 ヒーローです。 でも死にます。 せいぜいその際のショック度が上がるように
 活躍させてやりましょうぜ。  

181 :201:03/12/23 10:12
予告。 現在前編の最終話である、第4話を作成中。
    三話が終わり次第スペシャル板でお届けしますので、がんばって続きを書いちゃってください。
    ええと、出来れば次の条件下でお願いします。
    綾野は気丈。
    静はまだ出てこない。  
    咲妃の貞操は守る。
    あんまり変化をもたらさないで、なんていうか、『日常』って感じで。
    出来れば、で良いです、はい。                

182 :201:03/12/23 23:09
前編の最終話である、第4話 完成しました。
 第三話が終わり次第一挙に公開しちゃいます。・・・良ければ、お楽しみにしてください。

183 :ぽけらっぱ:03/12/23 23:12
 何を言うかっ、謙遜すんな、お楽しみだぞっ。
 でも、まずは第三話だよね。
 最近続き来ないよな。   

184 :201:03/12/23 23:36
>>179の続き。

「……確か、ここで良かったよな」
 昨日の内に二人で決めた集合場所。
 滅多に人の寄りつかない校舎裏で、綾野は咲妃が来るのを待っていた。
……まあ、まだ学校が始まるまでは時間がだいぶある。気長に待つとしよう。
……と、思ったところ。
「……綾…野……?」
 何処か自信なげな声が背後からする。
 え……と、多分 咲妃の声だ。
「咲妃?」
 名を呼びながら振り返ると、そこにはやはり咲妃が居て、どこかほっとした顔をしていた。
「……よかった。 ちゃんと、綾野だ」
「はは……そりゃあ、中途半端にあたしだったら怖いわな」
「そう言う意味じゃないけど。………うん、確かに怖いよ」
 まったくだ。なんて暫く笑い会う。……ああ、久しぶりだな。こうやって誰かと笑うのは。
「ところで……、おはよ。 咲妃」
「あ、うん。 おはよう、綾野」
……うん? そう言えば、おはようも久々か……。
 どうも 気付かない内にあたしはこれまで 随分と暗い学園生活を送っていたらいい。
 でもまあ……いいか。 これからは、咲妃が居るんだ。
「それじゃあ、行こっか」
「うん」 
   
 二人は手を繋いで 校舎へと歩いていった。
 
 迂闊にも、その時 綾野は気付いていなかった……。
 『今日も』咲妃の頬には涙の跡が有った事に。
 実は綾野は 寮での咲妃の扱われ方については何も知らされていなかったのである。 

185 :201:03/12/23 23:39
 上の201は間違いなく本人であります。 はい。
 ついさっき 別スレにいってきた後遺症でsageはっちゃいましたが。
 作風で解ると思うけど……。ちょっとしたミスであります。見逃して。 

186 :シーチキン:03/12/23 23:42
 わっはっは、おドジさんめ。
 ・・・うーん、読者の目から言えば、本物だと思う。
 たしかに201の文だ。
 ……っていうか、やっと続きがでたよ。 よかったよかった。

187 :ねこねこ:03/12/24 02:29
ヤッパリ イイ!!
 ここサイコーー!!  面白い。
 早く続き来ないかな。
 わくわく

188 :名無し物書き@携帯:03/12/24 06:46
>>184の続き

由香は薄笑いを浮かべながら、廊下を歩いていた。
目的が無く、ではない。たまたま出会った教師に雑用を頼まれた帰りだった。
勝手に薄笑いが表情に浮かぶ。それは、咲妃の教室の近くを通るから。

授業の合間の休み時間。
普段は昼休みに教室を訪れるのだが、咲妃に会う前に取り巻き(?)の生徒らに阻まれてしまい、会うことが出来ない。
そうとわかっていても、咲妃を見てみたいのだ。

…何故?
…分からない。
…気にかける事など、無いと言うのに。

…大きな音が響き、それで由香の歩みが止まった。
咲妃の教室から聞こえたのに気付くと、再び足を動かし始め、そして小走りになった。

…何故?
…分からない。

とにかく、他の生徒を押しのけるようにして、咲妃の教室に向かった。

189 :名無し物書き@携帯:03/12/24 06:48
こんなのでいいのか…不安。
スレ汚し駄文スマソ。

190 :201:03/12/24 09:08
>>189 いやいや、ご苦労様です。 文の善し悪しは人それぞれなわけで
    これがいいという人もちゃんと居ますよ、はい。
    ともかく、盛り上げてくれて感謝っ。 
    

191 :シーチキン:03/12/24 09:10
やっと続きが来た。 >>189は新人か?
 まあ、読者の視点として意見を言えば、違和感なく進んでいるので
 いいんじゃないか、と思う。     

192 :201:03/12/24 09:46
>>188 続き。

 結局のところ、教室に着いても由香にはその理由が判らなかった。
 単に……そう……期待していただけなのかもしれない。
 噂に聞くところによると、咲妃は『脱落』したのだと言うから、今の大きな音の故はほぼ
間違いなく 咲妃に関係のある事だろう。
 音は 始まってしばらくの間 ガタンガタンと騒々しく続いていたが、事は沈着したらしく、
今はしんとしている。 同時に教室の喧噪もないと言う事は、まだ事は続いているのだろうか……。

 ことあったのが幸いしてか、教室の生徒達は 室内のある一点に目を集中させていた為、由香は難なく
教室に入る事が出来た。……そう、咲妃が『脱落』した後だというのに、何故か今朝も邪魔立てが入った。
おそらくは 徹底して断絶を計っている為だろう。
 そう言えば 今朝に限って取り巻き達は 咲妃には話を掛けていなかった。
 ただその周囲に分厚い人の壁を張り巡らせて外部とその内を遮断し……しかも、その内に閉じこめられた身としては
大層な圧力を感じるものだろう。
 それはともかくとして、今。
 教室内で 咲妃の姿を探すのは簡単な事だった。
 単に 誰か一人の視線を辿れば良いのだから。
 
 かくして その先ではやはり 事が起こっていた。
 音の原因と見られるものとしては、倒れた机。
 そして現在の張りつめた静寂の故として、担任であろう男性教師と、それに向かい合う
咲妃ともう一人、今朝にも咲妃の隣に見かけた少女が居た。
 一者と二者は黙して睨み合い、その周囲は好奇の目を浴びせている。


193 :201:03/12/24 10:09
「・・・・・・」
 不意に少女が何かを言った。表情からして、敵対だろう。
「・・・・!」
 それに返して 教員が怒鳴る。 取り巻きの少数が、小さく悲鳴を上げた。
「・・・・・、・・・・!」
 すると今度は咲妃が教員に向かって切り返していったのだ!
 どくん、  由香の心臓が跳ねる。 それ程に、咲妃の表情は良かった。
 きっ と張りつめて・・・あんなに、怯えていた雪ウサギが、ハイエナを相手に負けじと切り返している!
 その姿の! なんとそそる事か!
 来て良かったと 由香は喜んだ。 あの・・あの咲妃が・・・。
……そして今夜もまた、恐怖に怯えて許しを請うてくるのだ!
 こんなに すばらしい事があるだろうか。
「そう……それで良いのよ 咲妃。 そんな塵屑を相手に頭を垂れては駄目。
 あなたは、私とお姉さまだけにしか媚びてはならないのだから。
 安い奴隷なんかになるんじゃ無いわよ。気高く在りなさい。
 それでこそ私の奴隷としての価値なのだから」
 気高いからこそ、それを屈服させるのが楽しいのだ。   
「ふふ……。藻掻きなさい、咲妃。 必死に 必死に。
 全ては ひとえに……私の為に」
 由香は満ち足りた声でそう呟くと、教室を後にした。
 そして 喜びを噛み締めると共に、本気で思考を巡らせる。
 ハイエナにすら噛みつこうとしたあの咲妃を、どうやって完全な屈服に持っていこうか。
……実は その事に関しては 由香は若干の焦りを抱いていた。
 もう、あまり時間がない。と。
 そしてその焦りは 気付かぬ内に調教の加減程度を若干、狂わせてしまっていた。   

194 :201:03/12/24 10:12
パスであります。
 注意書きとして、最後の方の、時間が無いというのは
 次の第4話への複線なので触れないでおいて下さいませ。
……では、壊さない程度にブラックかシリアスにお願いします。 

195 :ねこねこ:03/12/24 14:25
来たっ、続きだにゃ、相変わらずいい感じにゃ! 

196 :名無し物書き@携帯:03/12/24 15:06
>>191
カキコ自体は何回か。参加は始めて。
でもやっぱり201氏には負けるなぁ。
当方、推理小説専門なので。黒百合は始めて…。

>>201
最高です。

たまにしか参加できませんが、その時はよろしこ。

197 :201:03/12/24 17:45
>>196
恐縮です。まったくもって。

198 :名無し物書き@推敲中?:03/12/24 20:57
(―∀―@)ヒトリモノサンジョー!
 せっかくのイブなのでキリスト敦関係のネタから一つ……。
 コメディアだかいう話が元ネタどす。

・・・

 昔の事柄であると、申し上げましょう。
 遠い遠い国のお話であるとも、申し上げさせていただきます。このお話は、だから本当のことなのか、嘘の
ことなのかも分かりません。

 ある女の人がいました、彼女は暗黒の森のなかに。迷い込んでしまいました。それは木々の森ではなく、た
だ暗いものたちが空を、土を覆い隠しています。まるで森のように、暗黒が混沌の牢獄を作り出しているので
した。そしてそこにいる女の人は、自分から望んでその暗黒の中に入ったわけではなくて、眠りから覚めたと
きに、自分がそのような、とてもとても恐ろしいところにいることを知ったのです。

199 :名無し物書き@推敲中?:03/12/24 21:00
 女の人はとても困惑して暗黒の逃げ道を探します。けれど暗黒の先にも、後にも、光はまるで見当たらず、
ただ一層深い闇が広がっているだけ。手を伸ばしても、深い闇のなかを虚しい爪で掻くだけ。声を張り上げて
助けを求めては見たけれど、それに応えるものは何もない、そんな暗闇のなかで女の人は寂しさと恐怖に、段
々と心が冷えていきました。どうして自分がそんなところにいるのかも分からず。女の人は、気が狂いそうな
闇のなかを、やがてすこしづつ歩き始めます。どうしてそんなことができるのか。先に何が待っているともし
れないのに――いいえ、けれど先に何かがあるのなら、このままじっとしていることなんて出来ません。女の
人はとてもとても、寂しい思いに捕らわれていたのです。
 自分が歩いているところは斜面のようだ、とその女の人は思います。身体は傾いて、踏み出した足は上がっ
て、後退してみた脚は下がります。先の脚は後ろの足よりも短い。急な斜面ではないけれど、これは坂道だと
女の人は思いました。そしてこの坂道を登っていけば、きっとこの暗闇を見渡せるような高いところへ出るの
ではないかと、期待して山を登っていきました。けれどそれは、彼女にとってはとても難題なことだったのです。
 はじめに彼女の前に立ちはだかったのは黒い豹でした。その豹は、彼女が通ろうとすることを邪魔して、な
お進もうとする彼女の手のひらを食べてしまいました。手首の先からがその豹に食べられてしまった女の人は
悲しいのと痛いので涙を流します。ただ、むしゃむしゃぽりぽりと豹が食べている間に、彼女は豹が見えなく
なるほど先に進めることができました。その後、黒い豹は追いかけてきませんでした。

200 :名無し物書き@推敲中?:03/12/24 21:01
 けれどなおも彼女が先に進むと、再び恐ろしい獣が立ちはだかりました。それは大岩のような大きな身体の
たてがみを炎のように燃え上がらせる、怖いライオンです。そのライオンは逃げるいとまもなく襲い掛かると、
彼女の綺麗なお腹にむしゃぶりつき、ひきちぎって、食べてしまいます。おへその穴がとても大きくなってし
まったみたいでした。真っ暗闇のなかで泣きながら、まだ食べている間に、ライオンの先へと歩いていきます。
 三番目に――これが最後なのですが――彼女の前に立ちはだかった獣は、鋭い眼光の美しい牝狼です。この
狼は彼女を食べようとはしませんが、代わりに進もうとするその道に立ちはだって、けして先に行かせようと
はしません。飛び越えることも、下を潜ることもできませんでした。手のひらで押しのけようにも、その小さ
な手は先ほど豹に食べられてしまったばかりです。仕方なく彼女が脇に逸れると牝狼も彼女についてきます。
 とうとう困り果てた彼女に、牝狼は囁きました。それは人間の言葉で、こう話したのです。
「この先に行きたいのなら、あんたのその綺麗な脚をあたいに食べさせてよ。そうしたら通してあげる。それ
以外は、何を貰っても嬉しくない」
 女の人は戸惑いました。先ほどまでは無理やりだったけれど、今度は自分のほうから差し出さなくてはなら
ないのです。けれど先に行きたい彼女は、その言葉に頷き、牝狼に自分の脚を差し出しました。たちまちそれ
は牝狼の口のなかに収まって、跡形もないほど砕かれてから大きなお腹のなかに飲み込まれました。
 さて、牝狼は道を開けました。そこで彼女が先に進もうとします、けれどその場で転んでしまい、そして立
ち上がることさえ出来なくなってしまいました。何故って、脚は今食べられてしまったばかりだし、はいばっ
て歩こうにも、手のひらがないのですから。逆さにされた亀のように、女の人は虚しくそこで手足をバタバタ
とさせました。けれどそれは無駄な徒労です。そんな女の人の様子にクスクスと牝狼は微笑み、鋭い瞳を穏や
かに細めて、笑いながら言います。

201 :名無し物書き@推敲中?:03/12/24 21:02

「馬鹿だね。脚がなくなったら、歩けなくなるのに。通れるわけないじゃない」

 牝狼はこうなることを知っていて、女の人に脚を求めたのです。それに気づき女の人はこれ以上ないほど大
粒の涙をこぼして泣いたけれど、もう脚は牝狼の口のなかに入ってしまっていました。そして泣き疲れた彼女
の身体を、牝狼は端から食べはじめます。逃げることもできません。手首から心臓まで。心臓から、足の先ま
で。首から上だけを残して、とうとう女の人の身体は牝狼に食べられてしまいました。
 首から赤い液体をポタポタと滴らせる女の人に笑いかけて。口元から、その液体と同じ水を滴らせる牝狼は、
首を自分の背中に乗せると、坂道を下り始めました。そしてその途中にいるライオンをあっという間に殺すと
腹を割いて、女の人のお腹を取り出します。それを食べてしまいました。さらに牝狼は坂道を下っていって、
途中にいた豹を見つけると、これも噛み殺して、黒い体毛のなかから手のひらを見つけ出すと、食べてしまい
ました。
 背中の上で女の人は、自分の身体のぜんぶがこの牝狼に食べられていくのを見ていました。今、自分の四肢
は全部この牝狼の身体のなかです。牝狼は背中の上の女の人の首に微笑みます。
「その首もあたいに食べさせてくれるのなら、頂上まで運んであげるよ」
 女の人は迷います。けれどこのままここでこの牝狼に捨てられてしまうというのも、何だかとても怖いこと
のような気がするのです。自分のすべてが食べられてしまうのは明らかに恐ろしいことなのだけれど。そうや
って迷った結果、やっと女の人は牝狼の提案に頷きました。
 牝狼は、心底嬉しそうに笑いました。ぱぁっとそこだけ光が放たれたような満面の笑顔です。
「それじゃあ、いこう」
 とことこと、背中に女の人の首を乗せたまま牝狼は歩きはじめます。この坂道の上を目指して。女の人は、
この先の暗闇を見つめながら、牝狼の足取りに合わせて首と髪の毛を上下に揺らしていました。

202 :名無し物書き@推敲中?:03/12/24 21:10
とりあえず終了〜。
元ネタはやおーい(清純)な香りのするお話だから、それほど違和感ないかも
しれんのう。気まぐれに書いてはみたが、ひょっとしたら続くかも?

203 :201:03/12/24 21:14
>>198 名無しのサンタさん、ありがとう。
    美味しくいただかせてもらいました。 ジングルベル!

204 :201:03/12/24 22:41
>>193以降、更新がないので、>>194によし、まかせろ! と空しく自答して
 熱烈に、続きを書きます。

205 :201:03/12/24 23:14
>>193

……つまり、席が無くなっていたわけだ。と、それは昨日の話。
 そんなわけで、昨日はあのまま帰ったのだけれど、今日は…こうして学校に来た以上、
授業の開始から終わりまで 延々と しかもそれを六校時分 立っているなんて、そんな体力は
何処にもないので、片づけられた分の机を再び引っ張り出して来る事にした。
 まあ、いくら『粛正』のお題目があったところで、連中も綾野達の机を
窓から投げ捨てたりなんかはしていないだろう。
 あれで、良い子ちゃん気取っている連中だから、表だった破壊活動はしないはずだ。
 破壊されていないと言う事は、つまりどこかにあるわけで、それは探してみれば案外
簡単に見つかるものだった。
 机は丁寧に二脚きっちりと並べられて、多目的室……通称『物置き』に置いてあった。

 だが、クラスの頭……北川 菫 も それなりに頭の回る奴だったらしく、
綾野達が机を抱えて戻ってくる頃には、昨日からさっきまで有った空席のスペースが、
別の席で埋められていた。
 いや、面々の位置を確認するに、どうやらご苦労な事にも 席替えまで行っていたようだ。
 しかも、二人が戻ってくるまでという 短い時間の間に。
 恐るべき統率だ……。と、呆れながらに思う。
くだらない事にはいくらでも団結出来るらしい。『適格者』とやらは。
 まあ……確かに、こう出られると 机を持ってきたところで それを置く場所が無い。
「……どうしよ……?」
 特に不安がる様子も無く、綾野の隣で咲妃が首をひねる。 
「そうだな……」
……なんて余裕を持っていられるのも、やはり綾野には咲妃、咲妃には綾野、と、支えてくれるものが
あるからなんだろうと思う。
「困ったね」
「うーん。……どうしようか」 

206 :201:03/12/24 23:47
>>205

 北川が見たら さぞ御立腹するであろう程に、二人は適格者の意図を外れて、のんびりとした空気を
漂わせていた。……幸い(?)、当の北川は こっちを見ていない。
……というか、こちらの存在を徹底無視しているのだから、誰一人こっちを見ていない。
  ということは。  ・・・いやいや。 やめておこう。
 今、一瞬 とんでもなくヨコシマな考えが浮かんだのだが、それをやると咲妃から激しいツッコミを
被りそうなので、忘れる事にした。
 いや しかし、この全員無視という状況は 上手く活用出来るかもしれない。
 そう、例えば・・・。
「じゃ、移動まで自由な、完全自由席って事にしようか」
「・・・?」
 綾野の突発な発言に 咲妃は小首を傾げる。
「……まあ 説明するとだ、つまるところ 連中は基本的にこっちを無視していて、少なくとも
『居ない』筈のあたし達には声を掛けない。……けれど、そいつをちょっとばっかり揺すってやると
集団の悪いところが出て『声を掛けない』は『声を掛けられない』に代わるわけだ。
 そして、『声を掛けない』のはルール。 当然、これを乱そうなんて事は連中には出来ないだろう。
 なにせ、ルールを乱せばその後が怖いからな。……そんな理由で『皆』がルールを『乱せない』
 そして、連中の一人一人はこう思う。
『皆がルールに従っている以上、自分だけがそれを離れてはいけない』ってね。
 後はそのままの乗りで『声を掛けられない』に代わっても、がんじがらめになっていて、
動きが取れないんだ。
 そう、つまり、あたし達のこの状況は、裏を返せば むちゃくちゃ自由って事なわけだ」
 

207 :201:03/12/25 00:04
「ああ……! それじゃあ」
 咲妃もようやく合点がいったようで納得を顔と声に表す。
「そ。 好きなところに席を置いて座って良いって事。
 当然 相手は居ないはずのあたし達を咎めたりなんかは出来ないし、したのならそれこそ
反撃の口実にも成って、相手方が折角作り上げた『無視』という、反撃不能な壁を壊す事が出来るわけ」
「綾野って……頭良いんだね……」
 む……意外な顔をされてしまった。
「テストの点はさんざんだがな」
 しょうがないので、おどける。 すると咲妃は無邪気に笑ってくれた。
「さ、それじゃあテキトウに席を置くとしますか」
「うん。
 ……えと、それじゃあ……折角だから、後ろの席でのんびりしようよ」
「オーケイ。じゃあ、やっぱ窓側だろ。 あそこはいいぞー」
「隣同士に座ろうね」
「だな」

 そんな感じで、二人は和気藹々と教室へ入り、お目当ての場所に席を据えると
座って おしゃべりを始めた。
 当然、連中は こちらを向く事すら出来ない。
 ただ恨めしげに、その念気だけが空しく二人のもとへと向けられ続けていた。
 無論 二人は それと知りながら、気にもとめない。
 この場局は、完全に二人の勝利だった。

……だが、程なくして そこに援軍が投入された。
  つまり、それがこの教員である。
――――今、蹴り倒された机の側で、綾野と咲妃は男性教員を相手に対峙していた……。


パス。  

208 :名無し物書き@携帯:03/12/25 01:09
>>207の続き

綾野と咲妃、そして教員。それぞれが言い合っている時、静かな声が響いた。

「何の騒ぎですか?」

見ると、教室の入口には凛とした表情の女性がいた。

咲妃はその時に始めて教室の入口に由香が立っているのに気付いた。
しかし由香は咲妃ではなく、その女性を、まるで睨みつけているかの様に見ている。

「もう、授業は始まっているのですよ?」

少しずつ歩み寄る女性。生徒は割れた海の様に道を開け、女性は三人の横に立った。

「先生」

男性教師は女性に怯えているようだった。
その時、綾野が呟いた。

「香住先生…」

209 :名無し物書き@携帯:03/12/25 01:13
あぁ〜すまん。
新キャラ出してしまった。

教師ってことでひとつ。
しかも教師の中でも恐い存在の。


201氏、ごめんなさい。

210 :201:03/12/25 16:50
んー オーケイオーケイ、そんなのも たまには良い。では本日も続きますか。

211 :201:03/12/25 17:03
・・・と、書こうとしたところで気が付いたんだが、>>193では由香は既に去っているんだよな。
で、由香が来てから去るまでの間には香住先生は出てきていないわけで・・・。
んん・・・? ストーリー矛盾現象か?
『咲妃はその時に始めて教室の入口に由香が立っているのに気付いた。
しかし由香は咲妃ではなく、その女性を、まるで睨みつけているかの様に見ている』
を『咲妃はその時に始めて教室の入口にお姉さまがいらっしゃるのに気が付いた。
しかしお姉さまは咲妃が気付いたその時には教室を出て行かれるところだった。』
 に換えていこう。・・良いかな?
 由香と香住先生の敵対関係はまた後に出すとして。
……いやね、もってこいの状況があるのよ、もうちょい、1、2話後で。
 それじゃ、そんな感じで矛盾も修正したし、続き行きますか。 
 



212 :201:03/12/25 17:33
>>208
 香住は綾野を一瞥すると、男性教員の方に向き直った。
「うっ………」
 香住を真正面にして教員は明らかにたじろいだ。
「葉山(はやま)先生」
 香住が薄ら笑いを浮かべた顔で指すと、葉山教員はごくりと喉を鳴らした。
 その顔には脂汗すら浮かんでいる。
「な、なんでしょうか? 澪月先生」
 葉山教員は努めて声と顔を平静に保って聞き返す。つまり、大人のくだらないプライドだ。
「あなたの授業、とうに終わっていてよ?」
 時計は既に 二校時目の時間を回り始めている。
 この時 香住はわざと葉山教員に逃げ道を作った。
 そうする事によって最も簡単に事が済むのだからそうした。
……もっとも、必要があれば 葉山程度の屑は完膚無きまでにたたき壊せるのだけれど。
 香住は実はめんどくさがり屋なので、そこまでしない。
「さあ、ここからは私の授業時間なのですから 出てお行きなさい」
 こうも無下に言われて従っては 葉山教員の面子も潰れる事容赦ない。
 生徒達にまで馬鹿にされてしまうという被害妄想に駆られて 葉山教員は一旦周囲を睨み回すと、
わざとらしい咳払いをした。 
「……そのようで。 それじゃあ私は戻るとしますよ」
 それだけをせいぜい嫌みったらしい口調で遠吠えて、葉山教員は香住に背を向け、聞こえるように
舌打ちをすると、早足に出ていった。
 その足が震えていたのに気が付いたのは、おそらくは香住と綾野の二人だけだろう。    

213 :201:03/12/25 18:06
……つまり、香住には学園の方針など知った事では無いのだ。
 教員の内で、望月と藤宮を淘汰するように言われていようとも、彼女を動かすのは
常に彼女の価値基準のみであった。
 人 誰しもがそうであるように、美しいものが好きで 醜いものは嫌い。
特に香住は常人よりも徹底して醜いものが嫌いであった。
 そして、美しいと感じるものは とことんに好く。
 それは 彼女が女子校である此処に居る理由の一つでもある。
 では そこで、つい今し方の話になる。
 机を蹴り飛ばし、その上 か弱い少女を相手に罵倒を浴びせている 肥えた教員と
 いきなり 暴力に訴えて力を示されたにもかかわらず、実は震える足を必死に堪えて 賞賛無き相手に
立ち向かう二人の可愛らしい少女。……しかも、その手は互いを勇気づけるようにして、密かに、
でも固く、繋がれている。 そのどちらに 愛でるべくは在るのか。 愚問だ。
「だいじょうぶ?」
 香住はにこりと優しく笑むと、藤宮ちゃんと望月ちゃん 二人の頭を『先生』の位置から撫でた。
「あ……っ」
 返事を返そうとして、その美しい顔を前に言葉を詰まらせてしまった藤宮ちゃん。
「大丈夫です。 有難うございました」
 代わりに望月ちゃんがしっかりと二人分の返事をくれる。
 その顔は、こちらに対する好感ととっても良いだろう。
 その横で 藤宮ちゃんが必死にコクコクと頷いている。 
……うん。どうやら、私は良い拾いものをしたらしい。
葉山教員には嘲笑を以て感謝するとしよう。
「さあ、それでは授業を始めましょう。
 望月ちゃん、藤宮ちゃん、席についてね」
 

214 :201:03/12/25 18:25
>>213
 葉山先生の真似ではないけど……。
 菫は内心で舌打ちをした。
 全く以て、気にくわない展開だ。 しかも、その原因が澪月教員なのだ!
……それどころか……葉山先生の一時の攻撃ミスは、咲妃達に とんでもない味方を
作ってくださり『やがった』。
 特定の生徒に『ちゃん』付けして呼ぶのは澪月教員のお気に入りに指定された証拠だった。
 当然、菫は澪月教員を嫌悪している。 彼女が教員になって、今でも此処に存在しているのを
何かの間違いだと信じて未だ疑わないくらいである。
 このままでは、菫の計画に 多大な支障をきたす。
……まったく、望月が咲妃さんの側に居着いただけでも充分に厄介だというのに……。
 実を言うと菫は まだ咲妃を諦めては居なかった。
 ただ、今の状態の咲妃では 手元に留めて置くには余るので、もう少し『削って』しまおう
と考えていたのだ。
 ところが今に至って、咲妃は削れるどころか、より元気付いているではないか。
 支え。 そう、支えがある所為なのだ。
……忌々しい……!
 ぎちり、  菫は人知れず歯を噛み締め鳴らしていた。 

215 :201:03/12/25 18:39
パス。 香住先生、こんなんで良い?
 ……えーと、久々に登場した菫さんですが、彼女はまだ悔しがっているだけで
個人的な行動は まだまだ、ずーーっと先(具体的に中編の最後まで)しません。
 彼女の権威は中盤からその終わりに掛けて失墜して行きます。
 そうなった時、彼女はトンデモナイ行動に………!!
 と、その先は読んでからのお楽しみ。
……ですんで、今は彼女を放って置いてやって下さい。書く人よ。
 差し当たって、次は……いきなり、(その日の日中の事をちゃちゃっと書き流して)
帰ってからのお話に。
 さあ、今夜も咲妃ちゃんを痛々しく苛めよう。(ノット性的)(ノット超重傷)
……そうだな、テーブルの足に縛り付けて 手首を噛んでいく(最後の方で血が出る)
 ってので、どう? 次の由香さま(書く人)?
 この話終わったら、スペシャル板で前編最終話の一挙公開です。
 がんばって!


216 :名無し物書き@携帯:03/12/25 18:39
>>201
あーごめんなさい。
その部分に関しては201氏の言うとおり。反省します。凡ミスだぁ。

突然の追加キャラを絡めても違和感が無い…201氏は天才ですか?

スレ汚しスマソ。しばらくロムラーになりまつ。

217 :201:03/12/25 18:49
>>216、ドントマインド! 気にしない! 前進在るのみだよ。
    お互い、がんばろ。 それに、自分はアレだ、「唯手ノ熟セル耳(のみ)」
……ちょっとばっかし、文の経験が在るだけだから。「売油翁」と同じ事さね。
     

218 :ねこねこ:03/12/25 18:51
ってことは、やっぱりプロだったのか!
にゃんと!!・・・どうりで面白いわけだ。

219 :201:03/12/25 18:57
 滅相もない。 まだまだ、プロめざしの卵だよ。
 ヒヨッコですら無いんだから。
 年齢も若いし、人生経験も少ない。 
 卵から孵るにはまだまだ栄養(経験)が必要だね。
そんなわけで此処で修行しているんだけど……いいね。感想とか、他の人の書き方とか、
いろんなのに触れる事が出来るから。 

220 :名無し物書き@推敲中?:03/12/25 18:57
http://gamble2.2ch.net/test/read.cgi/keiba/1071881592/

221 :201:03/12/25 19:05
……あ、>>213に誤字が。 賞賛無き相手? ……勝算の間違いです。
……まだまだ青いね。じぶん。

222 :201:03/12/25 23:50
 今は眠いので書けない。
 そんなわけで、次 目が覚めたら トンデモナイものを行きます。
 咲妃ちゃん完全に絶叫もの。 由香に対しての絶対的恐怖心(これ、次の話に必要なフラグ)
……では。 また明日。 余談。 どっかで由香をお姉さまから直した際に、
『お由香』という、江戸ーな名前にしてしまっているミスポイントが……。
 探さないで……。

223 :201:03/12/26 09:30
>>214

 以降のその日は わりかし順調に過ぎていったと思う。
 とは言え、それはやはり綾野のおかげであったり、突如現れた澪月先生のおかげであったりで、
おそらく咲妃一人で有れば何も出来ずに、ただ押し潰され続けていた事だろう。
 確かに、澪月先生を除く教員一同は二人に対して辛く当たってくるけれど、先の一件で勇み付いた
二人は、その教員共を巻き返して追い返す事すら出来るようになっていた。
……要は、『空気』である。 あれを操ればいいのだ。
 麻利亜様や、澪月先生の持つあの空気を模倣して。
……それは、まだまだ稚拙な程度だし、あのお二人の足下にも及ばないけれど……。
それでも、方向性は同じものなので、日頃からあの空気に敗北している教員達には効果は大きいというのだから、
やはり此処でも あの御二方の、何やら加護のような呪いが生きていらっしゃると言う事だろう。
 それに……何より、一人では無いのだ。
 ひょっとしたら これからの日々もこんな感じで過ぎていってくれるのかな……。
 なんて、先のみならず綾野までもが やや楽観的な希望を見いだすのであった。

 でも咲妃は知らなかった。 この後……そう、守ってくれる人の居ない寮で、
どんなに恐ろしい目に遭うのか。
 無論、お姉さまのご様子が 今朝から少しいつもと違っていた事にも、咲妃は気付いていない。

224 :201:03/12/26 20:31
>>223
 夕刻
 まるで、佇む寮が 咲妃を圧倒しているかのようだ。
 少なくとも、咲妃にはそう感じられた。
 と言うのも、取り分けて今日は寮に戻るのが嫌だったからだ。
―――今朝の事。  結局 昨晩は眠る事が出来なかった為、咲妃は起きたままで居た。
 そして、昨晩の一件で咲妃がお姉さまに対して抱いた 恐怖感は尋常なものでは無く、
その事実は最近の不眠症と連結して、随分と咲妃の判断を鈍らせていた。
 その後――つまり今――に、何が待っているのかも考えずに、咲妃はお姉さまの目覚めを待たずして
学校へ逃げ出したのだった。
 そして待っていたのが、増長された恐怖という ツケ。
「……どう……しよう……」
 学校でもそんな事を呟いたのを思い出す。
 その時とは、酷い違いだ……。
「……戻れないよ……」
 怖い。 咲妃の頭の中には、昨夜の あの恐ろしい笑みを浮かべるお姉さまの姿があった。
 朝に逃げた分が 忘れ去られているはずが無い。
 戻ったら最後。 殺されてしまう……。

「……助けて……綾野……」
 お姉さまと咲妃の寮部屋の戸に背を持たれたまま、咲妃は弱々しく 綾野の名を呟いた。
 だが、そんな小さな声が ずっと遠くの家の中にいる綾野に届くわけがない。
「………」
 結局、咲妃はその戸を開ける事が出来ないまま、再び 寮を後にした・・・。      

225 :201:03/12/26 20:55
>>224

 同じような建物の建ち並ぶ住宅街を独り 歩きながら、咲妃は何となく、幼い頃の事を
思い出していた。  誰にでも一度は経験のある事だ。
 子供の頃――なんだったかな……とにかく、失敗をして それを隠す為に嘘を付いた事がある。
 嘘を付いて、親をだませた時は ほっとした。
 でも……その後で嘘がばれてしまうその瞬間……。 そう言えば、とても怖かったなあ………。
「…………」
 それが 今に似て居るだなんて、決して思えない。
 そうではなくて、ただ、あの頃はまだ幸せの中にいたのだと言う事を思っていたのだ……。
 あんなものが 怖いだなんて 思う事ができていたのだから……きっと、幸せだったに違いないのだ。
 でも  今は………。

 何時しか 空は暗くなっていた。
 空気は こうこうと冷え、確実に咲妃の体力を奪っていた。
 ふと、咲妃は考える。 どうして歩いているのかと。 自分は一体、何を探しているのかと。
 答えは無い。 なぜなら、もとより行く当てのない彷徨いなのだから。
……行く宛のない。   ……なんだ……そうだったんだ。
 そして咲妃は気付いた。
「……結局……」
 そう、結局 寮を離れようとしたところで……行く宛が無いのだ。だから。
「私は……あの方から…逃げる事なんて、できないんだ……」
 そう。 翼など、とっくに もぎ捨てられてしまったのだから。
 奴隷に翼なんて似つかわしくないわ。 と・・・。
「・・・」
 咲妃は 操り人形のような頼りない足取りで 寮に向かって歩き出した。
 おそらくは、その心もまた操り人形のようで………。

226 :201:03/12/26 21:41
「……只今、戻りました……」
 今にも消え入りそうな咲妃の声に対して、迎えたお姉さまの様子は何故だか上機嫌な
ご様子だった。
「あら。 お帰りなさい。 今日は遅いのね」
「もうしわけありません。……以後気をつけます」
「ふふ、別にそんな必要は無いわ。
「・・・?」
「ねえ、咲妃。 今日はね、私 とても機嫌が良いの。
 どうしてだか、判る?」
「……いいえ……。 判りません・・」
「そう。 あのね。 今日のディナーは私の好物なのよ。 だから機嫌が良いの」
「そう…なんですか……」
 咲妃は困惑していた。
 どうして お姉さまが咲妃にこんな事を言うのかが、判らなかったからだ。
 機嫌が良いというのは解る。 だが それをどうして咲妃に言うのか。
 これまでの経験から考えても、何かがあるように思えてならない。
 第一、このお姉さまが 夕食の献立だけでこんなになるような御方ではない事なんて、
咲妃はこれまでに何度と無く思い知らされている。
……だが、決してそれらの疑問に対する解は導き出されない。
 咲妃の思考力はここの所、並の人間以下になってしまっている上、ご機嫌とは言え、
お姉さまを目の前にする恐怖が思考を鈍らせているのだから。
 不意にお姉さまは ソファから腰を上げた。
「さあ、それではディナーにしましょう。
 咲妃、着替えていらっしゃい」
「……はい。すぐに参ります……」
 答えると咲妃はすぐにクロゼットへと向かった。
 それと同時にお姉さまはダイニングルームへと行かれた。 
 
 今のお姉さまの言葉に またしても違和感を感じた咲妃であったが、やはり咲妃は
何もつかみ得なかった。
……そう、お姉さまは普段は夕食の事を『ディナー』なんて言わない事とか……。
 もしも その鍵に気が付いていたのなら、咲妃は逃げる事ができたのかもしれないのに……。

227 :201:03/12/26 23:19
>>226
 今日になって、奴隷の纏はいよいよカビの廻りも満ちてきたのか、その肌心地は は虫類の肌のようで、
それを纏う咲妃の気力は一気に奪い捨てられていった。
 しかし、それに俯いている時間は無い。 すぐにと自分で言ったからには すぐに行かねばならない。
もっとも、言わずともそうだが。
 
 咲妃がダイニングへ着くと、お姉さまは既に食卓についていらっしゃった。
……ただ……そこには いくら血の巡りの悪い咲妃にでも一目で判る違和があった。
 食卓の上には、何も用意されていないのである。……なれば当然、床の上にも咲妃の餌は無い。
 お姉さまの食事が用意されていない辺りを見ると、別に咲妃の餌を抜きにしたと言う事では無いようだし……。
「……いかがなさいましたか?」
 咲妃が恐る恐る訊ねると、お姉さまは相変わらず上機嫌のご様子で返してきた。
「ええ、 夕食がね、来るのを待っていたのよ」
「・・・・」  ゾクリ。 その瞬間、咲妃の背に悪寒が走った。
 もっとも、今の咲妃に その理由は計れないが……。
 とにかく……、かつて無い 恐怖を 感じ、そしてまた、更なる恐怖を予感した……。

228 :201:03/12/26 23:58
>>227
 ギラリ と、 それが鈍く光ったのだ。
 同時に、お姉さまのお顔は……あの恐ろしい笑みに変わっていた。
「・・・・!」
 ひっ……と、声を上げる事すらできなかった。
 だって……お姉さまの手には……。
「それでは、いただきましょうか」
 包丁が握られているのだから………。
「嫌ああああっ!!」
 叫び声が出せたのと同時に、咲妃に掛かっていた一時の金縛りは解けて、途端に 咲妃は
玄関へ向かって走り出した。
・・・その後ろを、お姉さまは笑んだまま ゆっくりと歩いて追ってくる。
 その理由を知るのは ほんの少し後。

「……そんな……」
―――そう、外へは 出られなくなっていた。
 ドアにはチェーンが掛けられて、しかもそこへ更に別の鎖が掛けてあり、それには南京錠が
掛けられていて、少なくとも咲妃には解錠不能な状況だった。
 愕然としている合間にも、お姉さまは玄関通路へ通じる居間の辺りまで来ていた。
 これ以上考えている余裕もなく、パニックを起こしかけている咲妃は危険を省みず、
咄嗟に居間へ引き返した。
 お姉さまがこの玄関通路まで来てからでは手遅れなのだ。
 咲妃が居間に出た時のお姉さまとの距離は、将にソファ一つ越しであった。
 辛うじて 包丁を突き出されても当たらない程度の距離だ……。
 しかし、もう早 生存本能に任せて行動している咲妃の行動は早かった。
 お姉さまと向き合ったのは ほんの一瞬の事で、次の瞬間には 寝室へと向かって走り出していた。

    

229 :201:03/12/27 00:23
バタンっ!
 咲妃は寝室に入ると同時に、強くドアを閉めた。
 そして 数秒後にはこの戸の向こうまで来てしまうであろうお姉さまの影に怯えて震える手を
どうにか動かして、鍵を掛ける。
 幸いか、それとも不幸にも か、此処には鍵が付いているのだ。
 ドン!   
 強く戸を叩く音がして、咲妃は ひっ と悲鳴を上げてすくみ上がった。
 いくら 鍵が掛かっているからと言っても……この時の咲妃には、この木製の戸が頼りなげに
思えてならなかった……。
 どっ どっ どっ どっ どっ どっ・・・・
 外界の音が捉えられなくなる程に、咲妃の耳は自らの心臓の音に占められていた。
 そして 頭の中は真っ白で、何も考えられなかった……。
 だから いつの間にか 戸を叩く音が止んでいたのにも気が付かない。
……そしてまた、別の場所から音がしているのにも……。
(……そうだ!)
 咲妃は咄嗟に思い至って、近くにあった棚をドアの前に置く事を思案した。
 棚は重く、咲妃の細腕で動かすのには 全力を以てせねばならず……やはりその間にも、
咲妃は外界を近くする事ができなくなっていた。
……だから、寝室に冷たい風が吹き込んで来ている事にも…気付かなかった……。

 そう、咲妃が必死の思いで棚をドアの前に移動させて、ようやっとの安堵の息を吐いた直後だった。
「ご苦労様」
「・・・・!!?」
咲妃の身体が、ビクンと痙攣のように 跳ねた。
――― 有り得ない声がして……。
「つかまえた」
 気付けば……咲妃の肩が捕まれていた。
 咲妃は表情を凍り付かせたまま 振り返る。そして……。
「ああ……」 
 絶望の声を上げた……。
 勝ち誇った笑みを浮かべるお姉さまの肩越しには……開いた窓からの風に揺れる
カーテンが見えていた……。

230 :201:03/12/27 01:13
 ダイニングには もはや 奴隷の纏さえ身につける事を許されない哀れな姿の咲妃と、
それを楽しげに見つめている由香の姿があった。
 咲妃の手は後ろに回されて食卓の足に縛り付けられているので、咲妃の抵抗はその全てを
封じられていた。
「ふふ……咲妃…、美味しそう。 最高のディナーよ?」
 艶めかしく、自分の指をぺろりと舐める由香の手には もう包丁は無い。  
 つまり、『調理は終わった』と言う事なのだ。
 恐怖という調味料をたっぷりとしみこませた 雪ウサギの生け捕りは……素晴らしいディナーに違いない。
 否、断言して、素晴らしい。
「それじゃ咲妃、いただきます」
 はやる気持ちをそのままに、由香はすぐにも咲妃の白い柔肌へと歯を突き立てた。
「い゛あ゛っ・・・?!」
 咲妃は 由香の期待通りの苦鳴を上げた。
 由香が最初に歯を立てたのは咲妃の腕。
……それも、由香の『歯を立てる』とは 決して相手を性的に追いつめる甘噛みとは違う。
 例えて言うのなら、野生の獣の肉食の光景。 そう、此処は食事の場なのだ。
 本当に咲妃を喰らっているのだ。 深く噛みついて……ザリッと音がして……。
 ぶちっ・・
 皮膚が破けて、そこから血が出てくる。   
 その肉の柔らかさが、血の味が、由香を酔わせていった……。
「咲妃……美味しいわ」
「う゛・・あ゛・・・」
 咲妃は既に気をおかしくしていた。
 それでも由香は構わない。  別に崩壊したわけではないもの。
「残さずに 食べてあげる」
 耳元で囁いた由香の言葉は呪いそのものだった。
 ようやく 気をおかしくする事ができた咲妃を 圧倒的な恐怖を以てして、再びこの現実に
引き戻してしまったもだから。
「咲妃、……くらい尽くしてあげる」

 その夜  寮の一室には悲鳴が轟き続け……。
 やがてそれは 童女のような無垢な笑い声に変わっていた……。 

231 :201:03/12/27 01:36
 灯りの消えた寝室には、ベッドの上から見下ろす お姉さまと、
 壊れた人形が、床の上に一体。
 人形の全身は アザと傷だらけ。 身体の至る所から血が滲み出している。
 人形は その身に何も纏っていなかった。 賢明だ。 
 この身体に奴隷の纏などを触れさせておこうものなら、傷口という傷口の全てから
カビや凶悪な細菌を体内に取り入れてしまうのだから、それでは 朝を待たずして 本当の
人形になってしまうだろう。
「咲妃、咲妃、寒いでしょう?」
 お姉さまは残酷に笑んだまま、嬉々とした声で咲妃に問う。
……何度壊された事か、それでも今現在の咲妃には 瀕死の自我が生きていた。
「窓、開けるわね?」
 お姉さまがそう言ったところで、初めて咲妃は反応を返す。
「そんな……死んでしまいます……」
 でも、その声にもう 抑揚さえもなく、ただ 機械的に呟いているようにしか聞こえない。
 それが 気にくわなかったらしく、お姉さまは 無情に 窓を開けてしまった。
 痛い……!
 冷たいよりも咲妃に感じたのがそれだった。
「あ゛あ゛! あ゛あ゛!!   あ゛あ゛!!  あ゛あ゛!!」
 咲妃は人間の理性を欠いた悲鳴を上げてのたうち回り出す。
「ふふ……、ふふふ・・、あははは……」
 その姿を見ながらお姉さまは笑い続け……。

 やがて咲妃は 動かなくなった。

  十月  前編  第3話  終わり。 

232 :201:03/12/27 01:41
………咲妃ちゃん、死んじゃったのかな?
  その答えは(まあ、判ると思うけど)次の話で明かされます。
  さて、いよいよ次は前編の最終話です。
  既に制作が終わっているので、朝起きたら一挙に公開します。
  スペシャル板です。 
  乞う(『乞う』は、物乞いの『乞』)ご期待。

233 :201:03/12/27 01:50
前編  鬼畜
中編  白     から  一気に転落。
後編  真っ黒   から    秘密

 が、おおまかな構成。
 中編の白ハッピーさえもダークの材料にしてしまうので、実際咲妃ちゃん
最後まで自殺しなかったのが不思議です。 普通 自殺してます。
 でも、そこはまあ……お話の中だから。 

234 :201:03/12/27 09:21
前編 最終話 十月 末 金曜日

 結局、咲妃は死ぬ事すら許されなかったのだから、もしも此処が地獄だよと
言われたら、咲妃は普通に納得していたかもしれない。

 早い朝に、仮眠のような 小一時間程度の浅い眠りから目が覚めると、
意識が朦朧としていた・・・。
「・・・・」
 その事について、咲妃は些かの疑問も感じなかった。
 むしろ、やっぱり・・・などと思ったくらいである。
 現実、咲妃の送っている生活は人間の為の方法ではなく、犬畜生のそれに近い
形だった。
 洗う事の許されない ゴミの服を身につける事を強要され、床の上に置かれたものを
食し、夜は明け方まで眠りを得ず、しかもこの晩秋に毛布の一枚も与えられずに 固い床の上に
転がって一夜を過ごし・・・これで肉体の健康が保たれる道理も無く、
極めつけ、学園では・・・まだ 綾野という支えが有るから良いものの、寮に戻れば
お姉さまの存在に怯え続けなければならない。・・・何時発狂してもおかしく無いというのに、
『調教』のなんたるかを心得ていらっしゃるお姉さまは、決して咲妃を発狂の境地へとは
逃がさない。 いつも、その境界線で手を止めてしまうのだ。
 いっそ 発狂させて欲しい・・・とも、その境界線の上に立った時には思いもするが、
そうなった時に一人取り残されてしまう綾野の事を思えば、自発の面から言っても、
咲妃は発狂に逃げる事が許されていなかった。
 そんな状況の日々が続いているのである。
 発狂にまでは至らずとも 咲妃は着実に気を病んでいた。
・・・だから、『今更』 なのである。
 意識が朦朧としている事などは むしろ当然で、今だ 朝が来れば目が覚めると言う事の
方が幾分も不思議なのである。
 咲妃は、自分の生命の灯火が消えかかっている事に気が付いていた・・・。
 生命の灯火は、意識を照らす。
 そしてそれが朦朧としている今、咲妃は確実に死へと向かっているのだ・・・。

235 :201:03/12/27 09:22
 『すぐに従っては駄目。理不尽な私に、反抗しなさい。 そして・・・―――殺されなさい』
 お姉さまのおっしゃった、いつかの言葉が蘇る。
 咲妃はお姉さまには逆らえない。 特に、この奴隷の纏を身につけている時は。
・・・もし、境界線の上に立たされた時に お姉さまが『死になさい』とおっしゃったのなら、
咲妃は頷いてしまうかもしれない。
・・・もう早、咲妃の灯火は肉体的にも精神的にも、そこまでに消えかかっていた。


 幾時かを経て。 七時頃。
 その時 咲妃は床に這い蹲って餌を食べていた。
 本当は、もう数日前から食欲がなかったのだけれど、食べなければ それはお姉さまへの
反抗に値してしまう。・・・ああ、でも反抗しなさいとも言われていたのだったっけ・・・。
 とてもではないが、今の咲妃にそんな気力は無いし、この上栄養さえもとらなければ、
本当に死んでしまう。
 死んでしまっては 殺される事も出来ないし、第一、お姉さまからしても興醒めだろう。
 それがどんなに恐ろしい事か・・・。
 そんな事になってしまっては、咲妃はお姉さまに殺されてしまう。
・・・あれ・・・? 変なの・・・。 殺される為に生きるのに、死んでしまう事を、ましてその後に
殺されるなんて有り得ない事が怖いなんて・・・。
 でも、咲妃には容易に想像の出来る光景だった。
 咲妃が死んだとして、その後の死後の世界にお姉さまは平然と咲妃を追い掛けてくる。
 そして、これ以上死ねないはずの咲妃を それでも殺すのだ。 
 あの恐ろしい冷笑を 美しく咲かせたまま・・・。
「咲妃」
 不意にお姉さまが声を掛けきた。
「はい」
 咲妃はすぐに食べるのを中断して返答する。
 するとお姉さまは 席を立って、咲妃のもとへといらっしゃる。
「・・・っ」
 咲妃は恐れおののいて その場を後ずさろうとするが、「食事中に席を立つのではないわ」
との咎めが入ったので、それ以上逃げる事が出来なくなってしまった。


236 :201:03/12/27 09:25
 そして、ただ怯えるしか出来ない雪ウサギに、お姉さまは手を伸ばす。
「ひっ・・・」
 なにか そそうをしてしまったのだろうか?  雪ウサギは必死になって考える。
 けれど、思考が朦朧としている所為か 答えが出てこない。
 かくして、震える雪ウサギへと伸びた手は その額の傷の上にそっと添えられた。
「あ・・・・」
 そのひんやりとして 柔らかな手は、雪ウサギに、一体何があったのかと考えさせる前に、
ただ一つ、気持ちいいと感じさせた。・・・それもその筈。
「・・・熱が、あるわね」
 至って冷然とした声で お姉さまは結果を口にした。
「・・・・?」
 咲妃は混乱した。 無論、熱がある事に関してでは無い。
・・・お姉さまが・・・。
 お姉さまが、咲妃の熱を計ったのだ。
 お姉さまがこのことに関してどう思っているのかはともかく、咲妃からしてみれば
これは 有り得ないと言う見解の範疇内の出来事だった。
 つまり、咲妃はこの一瞬、嬉しいと感じたのである。
 いい加減、頭がおかしくなってしまった所為なのかもしれないが、咲妃にはそれがひどく優しい
ものに感じられた。 例えそれが、冷笑の材料でしかない事が解っていても。
 お姉さまは 呆れた溜息をついて、冷たい声で「まったく・・・情けない子ね」と言い捨てる。
「お姉さま・・・」
 それでも咲妃が何処か喜びに似たものを含んだ声でお姉さまを呼ぶと、
その頬に平手が飛んできた。


237 :201:03/12/27 09:25
 バシンッ!
「あうっ・・・」
 だが、意識の朦朧としている咲妃には その痛みすらも朦朧としてしか感じられず、
その反応も、お姉さまからしてみれば大層つまらないものだった。
「・・・まるで 壊れた玩具ね。 そんな反応じゃ、楽しくないわ」
 唯一、その言葉だけが咲妃に明確な痛みを与えるに至った。
 お姉さまは一つ溜息をついて、咲妃に命令をする。
「いいこと? 今日はここで休んで、私が戻ってくるまでに直しておきなさい。
 このままでは 興醒めも良い所よ?」
 これ程までに蓄積された結果の症状が、高々一日そこらの休憩で回復する道理もない。
 だから、疲労する権利さえも与えないと言うこの命令は鬼畜そのものだった。
 にもかかわらず、咲妃にはそれが優しいお言葉に聞こえていて・・・顔をほころばせていた
所を見ると、いよいよ、来るところまで来てしまっているようだった。・・・幻覚症状である。
 ・・・だが、幻覚というものは時折、何よりも真実を見抜いて居るともいうが・・・果たして・・・。
 お姉さまはこれ以上殴る気もなくされてしまったご様子で、咲妃に背を向けるとテーブルへと
戻っていった。
 『食事中に席を立つのではないわ』などとお姉さまがおっしゃっていた事など、
その時の咲妃は忘れていた。・・・お姉さまは、持論を曲げる御方ではないのに・・・。


238 :201:03/12/27 09:26
餌を食べ終わった時、既にお姉さまは寝室へと戻って 着替えをなさっているところだった。
「・・・がっこう・・・いかなきゃ・・・」
 咲妃は綾野の姿を思い浮かべて、漠然と そう呟いた。


 お姉さまが玄関で靴を履いて 一旦振り返ると、何故かそこには制服姿の咲妃が居た。
「咲妃・・・」
 何を考えているの。  しかりつけるような目でお姉さまが咲妃を睨むと、
咲妃は焦点の定まらない目をしたまま、ぼんやりとした口調で
「……がっこう……いかなきゃ……、綾野……ひとりなの…大変だから……」
 とだけ答えてきた。
「・・・・」
 お姉さまは今一度、今度ははっきりと叱りつけて咲妃を戻らせようとも思ったが、
そうしたところで、どうせまた同じ事を呟きながら出てきてしまう事が想像出来たので
やむなく、了承した。
「・・・勝手になさい!!」
 ただし、その気は穏やかであるはずもなかったが……。
 それは果たして、咲妃が命令に従わなかったからか……或いは……。


239 :201:03/12/27 09:27
 ふと気が付けば、咲妃はいつもの 校舎裏口に佇んでいた。
(・・・あれ・・・?)
 ここまで歩いてきた時の記憶が無い。
「・・・咲妃」
 そして 目の前にはいつの間にか綾野が居て、とても心配そうな顔をしていた。
「わ・・、綾野・・・いつからここにいたの………?」
 咲妃が驚いてみせると、綾野はいよいよ苦悩の溜息をついた。
「咲妃……あんた、ほんとにヤバイよ。 記憶が飛んでいるじゃないか。
 いつからってね……たった今挨拶し合ったばっかりだよ。 咲妃も返事を返してきていた」
「そう……なんだ……」
「こんなになってまで……どうして来たの。 ちゃんと家で休んでなきゃ駄目じゃない」
「うん……ごめんね。 でも……一人だったら…綾野、危ないから……」
「馬鹿……!」
「……ごめんなさい」
「謝んなくていい。 ……なんだよ、じゃあ これってあたしの所為じゃないか」
「……ちがうよ。私が来たかっただけ……」
「とにかく、保健室行くよ。 少し休んで、もう少し回復したら帰るんだ」
「……でも、それじゃあ綾野が……」
 渋る咲妃の手を綾野は強引に引っ張って歩き出す。
「いいから行くのっ!!」
 綾野が怒鳴りつけると、咲妃は大人しく従った。
「……綾野…怖いよ……」
 まるで 小さな子供のような反応を返す咲妃を見て、綾野は改めて事の重大さを察したのだった。

240 :201:03/12/27 09:45
「―――と言うわけで、この子を暫く休ませて欲しいんだけど」
 綾野がそう言うと、呆れかえった溜息と共に
「居るのよねえ、そうやって授業サボりたがる子」
 などという巫山戯た返事が返ってきた。
          保健室
 入った時に こちらに向けられた養護教員の目で、大体の想像は付いていた。
 そして想像の通りの反応が返ってきた。 
……おそらく、既に二人が『脱落者』であるという情報が 教員内にも知れ渡っているのだろう。
 綾野は ぎりり と歯を噛み締めた。
 こんな顔をしている子を見れば、一目で重病だと気付くだろうに!!
「……熱を計りもしないで決断を下すとは、随分と怠惰なもんですね」
 怒りを抑えて言い返すと、保険医はつまらなそうな顔をして 乱暴に咲妃の額に手を当てた。
 それからすぐに放して、馬鹿にしたような口調で返してくる。
「確かに熱は有るけれど、大したものじゃないでしょ? 
 ちょっと大げさなんじゃないの? どうせ今日はもう週末なんだから、一日ぐらい保つでしょう?」
・・・大したことないだって?!  馬鹿な?! 
   ゆうに三十九度近くは有るぞ?! 尋常じゃないんだ!!  それを・・・!
「てめぇそれでも教員か!!」
 次の瞬間、綾野は狼が敵に食らい付くような勢いで 保険医の胸ぐらを掴み上げてその背後に
ある壁に叩き押しつけた。
「あら……こんな事をしても良いのかしら……?」
 若干の恐怖の色を隠しながらも、そいつは勝ち誇った顔をしている。
そうだ、こいつには今ここで何をする力が無くとも、後で社会的に二人を破滅させる力は有るのだ。
「外道が・・・!!」
 綾野の中で、血の色をした衝動が咆吼を上げたその時だった、

241 :201:03/12/27 09:46
―――ガラッ・・・

「!?」
 その空間へ 立ち入る者があった。
「少し、休ませてもらえないかしら?」 
 なんの理由も述べず、平然と、 しかも当然のように休もうとしているその人は・・・。
「・・・麻利亜…様……」
 最初にその名前を口にしたのは、なんと保険医だった。
 そんな保険医に向かい、その殺伐とした状況などまるで眼中にない様子で麻利亜様は
「いいわね? 夕子」と確認を取る。
「は……はいっ!」
 保険医は身を硬直させたまま うわずった声で返事を返した。
「そう、」
 それだけを返すと麻利亜様は咲妃の方を向いて……にっこりと微笑んだ。
「それじゃあ、休みましょうか。 咲妃ちゃん」
 それを聞いた保険医は急に慌て出す。
「あ、あのっ!」
 そして声を掛け・・・
「ひっ・・・」
 次には悲鳴を上げた。
 二度目に向けられた保険医への麻利亜様の目は・・・恐ろしく冷たいものだった。
「あら・・・あなた、まだ居たの?」
 麻利亜様のその冷笑は、何時いかなる時に於いても 切れぬものの無い刃で……。
「出てお行きなさい。 邪魔よ」
「ぅ・・っ・・・」
 保険医は涙ぐんだ目を麻利亜様に訴えて、そのまま走って保健室を出ていった。
「さて……と、」
 麻利亜様は再び咲妃に向かう。  綾野については、全く以てその存在を無視していた。
 麻利亜様は咲妃を緩やかに抱擁したが、その時 気を失っているのか、咲妃は
なんの反応も返さない。
 こうやっていて、腕の中から伝わってくる異常な熱に付け加えて・・・どうやら、思っていたよりも
咲妃はずっと深刻な状況にあるらしい。

242 :201:03/12/27 09:46
「あ・・・、麻利亜様・・・・」
 どうしたものかと考えていると、その頃になってようやく咲妃の意識が回復した。
 その様子は…まるで切れかけの電池が点いたり消えたりしているように思えて、危なっかしい。
「……それじゃあ、麻利亜様……咲妃を、よろしくお願いします」
 綾野はこの場を麻利亜様に任せる事にした。
 そう長くない間だが、一時でも麻利亜のもとに居た事のある綾野には解っていた。
 大丈夫、少なくとも今はこの方を信用出来る。
 綾野は知っている。 麻利亜様は、普段こそ 恐ろしい御方だが、
自分の愛でるものに対しては本当に、聖母にも劣らぬ程にマリア様だと言う事を。
・・・それに・・。 今の一件でも思い知らされたように、この場は 綾野では咲妃を守りきれない。
・・・悔しかった。 結局、どうあがいたところで この御方には敵わない。
 本当は、そこに付け加えて 二人を見ていたくなかった事もある。
 どちらか片方では無く、どちらも・・・。
 二人を背にした綾野に咲妃の声が掛かる。
「綾野・・・」
 不安げ・・・いや、心配してくれているんだ・・・。
 綾野は優しい声で・・・それでも振り返らずに「大丈夫だよ」と答えた。
 麻利亜様は何も言わなかった。 だが、その背をじっと見つめていた。
 愛でる対象以外に向ける事の無かった、優しげな瞳で・・・。


243 :201:03/12/27 10:02
綾野が保健室を出ていくと、麻利亜様は咲妃を抱きかかえたまま、一番奥のベッドへと移動した。
 靴を脱いでベッド奥の壁に背を持たせて座り、それから腕を広げて「おいでなさい」と佇む咲妃に
声を掛けた。
「・・・・・」
 咲妃はまるで自分の判断など無い様子で、こくりと虚ろに頷き、言われたままに麻利亜様の腕へと身を預けた。
 麻利亜様は正面から咲妃を抱擁する形になっていて、そのまま自分の胸に咲妃の頭を抱いた。
・・・・傷だらけ。 ボロボロの雪ウサギ・・・。
 麻利亜様の顔に、残酷な笑みは浮かばない。
 その裏返しのように、麻利亜様の顔は慈愛に満ちていた。
「・・・・・」
 咲妃は心地よさげに目を細めるが、眠りはしない。
 気配でその事を察して、麻利亜様は咲妃に
「さあ、疲れたでしょう? ゆっくりとお休みなさい」と子守唄い、咲妃の身をゆっくりとベッドの上に横たえてやる。
「・・・はい」
 咲妃は感情のない声で答えて、それに従った。
 故に・・・。
 ドサッ・・・・
 咲妃はベッドを降りて、床の上に崩れた・・・。
「・・・お休み・・なさいませ・・・・」
 リノリウムの固いが冷たい床は・・・心地よかった・・・。
 咲妃はいつものように 身を固め縮めて目を閉じた・・・。
「・・咲妃・・・ちゃん・・・?」 
 麻利亜様の目には、咲妃のその姿が 全てを拒絶しているように見えた。
「咲妃ちゃん、起きなさい。 まだ休んでは駄目よ」
 しっかりとした声音で命じたそれは、決して鬼畜なものではない。
 そんな事は関係無しに、咲妃はただ命ぜられるがまま……辛さを隠しきれない表情で、
身を起こした。

244 :201:03/12/27 10:03
 麻利亜様は再び腕を広げて咲妃を迎える。
「おいでなさい」
 今度は何処か厳しい口調。
「はい・・・」
 咲妃はただ機械的に頷いて、休息すら許されない身体を動かした。
 ドサッ・・・
 途中、身体が動かなくなって、麻利亜様の胸に 思い切り倒れ込んでしまう。
「・・・もうしわけ・・ありません・・・」
「そんな事はどうだって良いわ。 それよりも 命令よ。 あなたはこのまま眠りなさい」
「・・・でも・・・・、ベッドの上は・・だめです・・・」
・・・なるほど、由香がそう調教したのか。
 確かにそれはそれで良くもあるが、今この場では少しの良さも感じられない。
 ただ痛々しいだけだ。
「いいこと? 私は由香の『お姉さま』なの。
 その私が言うのだから、その前にはあの子の命令なんて意味を成さないのよ。
 解ったら、大人しく命令に従いなさい」
「・・・・。 はい・・・」
 麻利亜様が再び胸の内に咲妃を抱え込むと、今度は 咲妃は しくしくと泣き出してしまった。
 震えながら………。 怯えきった声で言うのだ。
「ごめんなさい……麻利亜様………許してください………もう怒らないでください………」
「・・・・咲妃ちゃん・・」
 これには 流石に麻利亜の表情が曇った。 
 これじゃあ、発狂しているのと何らの変わりも無いじゃない……。

245 :201:03/12/27 10:03
 やがて、咲妃の泣き声が止まる。
「・・・?!」 
 一瞬、麻利亜には咲妃が死んでしまったのではないのかと思われた。
 だが
「すぅ・・・」
 小さな寝息を聞いて、それが「まだ生きています・・」と告げていた。
 麻利亜は短く安堵の溜息をついて、それから咲妃の頭を何度も何度もなで続けた。

 この時の咲妃は、麻利亜にとって素材では無く、一人の『妹』だった。
……不思議なものだと思う。
 これ程までに 苛めたら楽しい子は居無いというのに、また同時に、これ程までに
愛でていたい子も居ない。 後者については、今知り得た事だけれど・・・。
 麻利亜の中で、咲妃という素材が形作る芸術の成れ果ての姿が、少しずつ変化を始めていた…。


246 :201:03/12/27 10:14
 午後。  ……目覚めると、部屋の中が紅かった。
「―――咲妃!」
 咲妃は 綾野によって揺り起こされた。
「・・・・」
 目が先に開いて・・・それから徐々に意識が回復していく……。
「……綾野……?」
 その時、既にこの場に 麻利亜様のお姿は無かった。
 変わりに綾野が居て、ベッドの側から心配そうな顔をしている。
「大丈夫……? うなされていたよ……」
「……え…? あ…うん……大丈夫……」
「そう。 所で…もう 動ける?」
「……どうしたの?」 
 綾野は何だか急いでいるようだった。
 咲妃が訊ねると 綾野は深刻な顔をして答えた。
「……そろそろ 保険医が戻ってくる」
「……あ……」 
 それが何を意味しているのかは 咲妃にも解った。
「それじゃあ…急がないと……」
 咲妃はゆっくりと……これでも本人からしてみれば出来るだけ急いで ベッドから降りて…
「……っ……?!」
 その直後、午前中にでさえ感じる事の無かった程の異常な熱を感じて、
咲妃は崩れそうになった。
「大丈夫……?!」 
 崩れ落ちる瞬間に 綾野が支えてくれなければ、咲妃は間違いなく崩れていただろう。
「……ありがと……綾野……。 大丈夫……」
「おぶっていこうか……?」
「んーん、……歩けるよ……」
「じゃあ、せめてつかまって」
「……だいじょう」「つかまりなさい!!」
「……はい」
 一歩 歩き出した時、咲妃は再び倒れそうになった。
 結局、以降の歩みは 咲妃のほぼ全体重を綾野が支えながら歩く事となった。

247 :201:03/12/27 10:14
 そんな調子でも、どうにかやって 二人は寮まで歩いてくる事ができた。
 咲妃は既に息を荒くしていたが、それでも外気に熱が多少冷まされた為か、フラフラとだが、
自分で歩けるようになっていた。
「……ありがと……綾野」
 寮の敷地に入るところで、咲妃は礼を言って 綾野から離れた。
「咲妃……。 部屋の中まで送るよ」
 綾野がそう申し出ると、咲妃は首を横に振るった。
「……駄目だよ。 ……ここから先は……綾野…入っちゃ駄目……」
 それは 今の咲妃に出来る綾野への最大の気遣いであった。
 ここから先は、危険なのだ。
「咲妃……」
 それでも引くのを躊躇う綾野を咲妃はもう一つ押した。
「……お願い。 また月曜日には元気になって会いに行くから……」
「……本当に? 約束する?」
「…うん。  約束……」
「……わかったよ。 それじゃあ……」
「「うん。 ありがとう……。 またね……。」
「……ああ、また」
 そして、咲妃は一人で歩き始めた。 
 綾野もまた少し歩いて……それから立ち止まり、寮の方を振り返った。
「……咲妃。 『またね』って、言ったからな……」
 そう ひとりごち、綾野は再び歩き出した………。


248 :201:03/12/27 10:31
 部屋に お姉さまの姿は無かった。
 どこかへお出かけしていらっしゃるのだろうか。 
 ともかく、咲妃にとっては幸いだった。
 ・・・これなら、少し休む事が出来る。
……ああでも、その前に……
「着替えなきゃ……」
 奴隷の纏に着替えなくてはならない。
 それから、お掃除をして……食器を洗って………。
 休むのは……それから……。……じゃないと…またお仕置きをされてしまう……。
 今 そんな事になったら……死んでしまう。 そうしたら…綾野のお約束……
 目が…霞んでいるけれと……大丈夫…だよね……?
「うん…だいじょうぶ……」
 制服を脱ぐと外気が肌をなで回し、そのひやりとした心地が 少しだけ気持ちよかった。
 けれどそのままで居ると、目眩がして 平衡感覚が危うくなってきたので、咲妃は奴隷の纏を
着始めた。
 奴隷の纏は湿気と汚れを含んでいるせいか、酷く重々しく、しかもはっきりしない思考の代わりに、
敏感になってしまった五感がその臭気や肌心地の悪さを訴え出す。
「……大丈夫……」
 咲妃はうわごとのように呟いて 掃除機を取りに、寝室へと歩き出した。 

249 :201:03/12/27 10:31
 とっ、  とっ、  とっ、  とっ、
 足音は一つ一つが異様に重く、その間隔も長かった。
「だいじょうぶ・・・」
 とっ、    とっ、    とっ、
「・・・・・・」
 とっ、           とっ、       とっ、
「・・・つらいな・・」
 とっ、             とっ、
「・・・・・・・」
   とっ・・・

 そう言えば、歩く音は 何かの音に似ていた
 ・・・たしか・・麻利亜様の胸の中で聞いていた・・・生きている音・・・。
   ・・・・しん、
 歩く音が、止まった。
「・・・とまっ・・ちゃった・・・」
 咲妃の瞳から、涙がこぼれて 落ちる。
「・・・ごめんなさい・・・」
 誰にともなく 謝って・・・
      ドサ・・・
 咲妃は 倒れた。
 意識が消えていく中で・・・咲妃は ある種の 心地よさを感じていた・・・。

250 :201:03/12/27 10:41
・・・・あったかいなあ・・。
 それは、熱が出ているのだから 当たり前と言えば そこまでなのだけれど。
 でも、それは もっと心地の良い暖かさ。 それに、柔らかい。
・・・例えば、雲の上・・・?
 そう・・・お空に浮かんでいる、ふわふわな雲の上。
  あんな所に寝そべったら、あったかくて、気持ちいいだろうなあ・・・。
なんて、小さな頃に思った事がある。
 咲妃はまた身を固く縮めて居たようだった。
(……もう 必要ないのに……)
 まだ、当分治ってくれそうもないかな……。
あはは・・・。

 バタン

 遠くの方で、戸の閉まる音がした。
 天国の扉……?
 
 いや それは・・・。

「・・・・・・あ」

 現実への扉  だった。  
 だから、生命を司る神なんていうのは、どんなにも無慈悲だ……。
 どうせならもう……目覚めなければ 良かったのに・・・。
・・・? あれ? でも・・・まだ、気持ちいい・・・。

251 :201:03/12/27 10:44
 咲妃は目を開けた。
「――――?!」
 その直後、声にならない悲鳴を上げる。
 咲妃は、とんでもない所に居た。
「あ・・・、あ・・・・っ?!」
 そこは、 お姉さまのベッドの上。
 確か、倒れる前には寝室を目指していて・・・それじゃあ、咲妃は 恐れ多くも お姉さまのベッドの上に倒れ込んでしまっていたというのか!  しかも、こんな汚らわしい姿で!
・・・それどころか、咲妃はまだ 掃除も 食器洗いも、何一つ済ませていない!
 そして、今し方の 戸の音は・・・お姉さまが帰ってきたと言う事・・・・。
 何を考えるよりも早く、恐怖が咲妃にベッドから降りろと命令していた。
・・・この上こんな恐れ多い事をしている場面を見られてしまった時には、・・・死よりも恐ろしい結末が待っているに違いないのだ。 
 なのに・・・
「あ・・・あ・・!?」
 身体が、動かない。
 まるで、人形になってしまったかのように ぴくりとさえも・・・。
 そうしている内にも、お姉さまの足音が近づいてきて・・・。
「いや・・・、だめ・・・!!」
 人形は、ただがたがたと震え、恐怖に涙を流すことしか出来ず・・・・。

 ぎぃ・・・  と、   部屋の戸が開いた。

 そして、お姉さまが そのお姿を現した。

252 :201:03/12/27 10:45
「ひ・・・あ・・・。 いや・・・、ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・・、
 ゆるし・・ゆるしてください・・・・・ゆるし・・・て・・・」
 怯える咲妃に、お姉さまはゆっくりと近寄ってくる。
「咲妃・・・」
「ひっ・・・?! ごめ・・なさ・・・・っ・・・」
 その瞬間、咲妃は終わりを確信した。 待つのは肉体の死か、或いは自我の崩壊か・・・。
 その手が咲妃に向かって伸び・・・今度こそは、額などに行くはずもなく、真っ直ぐ、首へ・・・。
「・・・・・」
「・・・・・」
  二者は沈黙し、そして・・・・
「・・・少しは 熱も下がったみたいね」
 と、お姉さまは おっしゃった。
「――――え・・?」
 咲妃は思わず間抜けな声で聞き返してしまった。
 よくよく、感覚を辿れば 咲妃の首に触れているのは、掌ではなく、手の甲。
 いくら何でも手の甲で 絞め殺すなんて事は出来ない。
 だが、その直後に お姉さまがベッドへと身を乗り出してきたので、再び恐怖が全てを覆う。
「嫌っ・・! 殺さないで・・・!」
「・・・は?」
 また、抜けた声。  今度はお姉さまの方から上がった。
 そのまま暫く、時は停滞して・・・。
 やがて、お姉さまは盛大な溜息をついた。
「何を言っているのよ、咲妃。 当たり前でしょう!
 私をなんだと思っているの?
・・・これでも 一応あなたと同じように赤い血の流れている人間なのよ?
 それとも、・・・本気で殺されるって思った? ・・・ふふ、ばかねえ。
 流石にこんな状況の咲妃をどうこうなんてしないわよ」
 いいながら、お姉さまは咲妃の隣に俯きに寝そべり、肘を立てて少し上体を持ち上げた体制を取って、そこから仰向けになっているまま動けない咲妃の顔を見下ろした。
 その顔は・・・初めて見た・・・優しく微笑んでくださる、お姉さまのお顔・・・。

253 :201:03/12/27 10:46
「ほら見なさい。 だから今朝は休むようにと言ったのに」
 なんて言いながら、優しい手つきが 咲妃の髪をなで始める。
「・・・・お姉さま・・・」
 そのままお姉さまがおっしゃるには、咲妃がベッドの上にいるのは実はお姉さまが
ここまで運んでくださったからで、しかも、咲妃の身着は奴隷の纏ではなく、お姉さまのシルク製の
寝間着に替わっていた。
 そして・・・。
 ぎゅっ・・・・。
「きゃあっ・・・」
 咲妃は急に お姉さまに抱きすくめられた。
「あのっ・・・! おねえ・・さま・・・?」
 混乱し掛かった咲妃が、可愛い声と上目遣いで お姉さまを伺う。
 お姉さまは穏やかなお声で、お話を続けた。
「ねえ、咲妃。 もう夜だって、気付いていた?」
 気付いていなかった。 でも、言われてから知ると、確かに夜。
「今日は、このままお眠りさい。 その方が私も暖かくて良いわ」
 優しい声をかけ続けられる内に 咲妃は、それまで蒼白だった自分の顔に赤みがさしていくのを感じていた。
「はい・・・」
 その暖かさに、顔をほころばせて、咲妃は頷いた。

254 :201:03/12/27 10:50
 灯りは消えて。
 部屋は暗くなる。
 咲妃はこれまでとは違った意味で なかなか寝付けなかったし、お姉さまも まだ起きていた。
「咲妃、まだ起きている?」
「はい、お姉さま」
「そう。
 ねえ・・・、もう、十月も終わりね」
「はい。 今日が最後の日です・・・けど、あの・・・それがなにか・・・?」
「ええ。 咲妃。 今日でね・・・『調教』は終わりなのよ」
「――――え・・・?」
「お姉さまとの約束でね・・・。 十月中に転入生を奴隷にするって。
 咲妃は知っているかしら? あの御方は、素材を求めていらっしゃるの。
 お姉さまの御心を唯一満たす事の出来る芸術の・・・その為の素材を。
 それが、主従を結んだわたしとあなた。
・・・わたしは、お姉さまの御心を満たして差し上げたかった。 
だから、転入生が来ると聞いた時に言ったのよ。 『私がお姉さまの御心を満たして差し上げます』 って。 一笑に伏されてしまったわ。 『あなたに何が出来るの?』って。だから・・・」
「素材を・・・?  ・・・・それで、私にあんな事をなさったんですね・・・」
 咲妃は、不思議と怒りも何も感じなかった。
「ええ。 でも・・・・。  無理だったみたいね・・・。
 結局、こうして倒れてしまうまで苦しませて・・・、それだけ。
 お姉さまは、簡単に私を奴隷にしてしまえたのに・・・、私にはやっぱり出来なかったわ」
「・・・・お姉さま・・・」
「ねえ、咲妃。  答えを聞かせて欲しいの。
 強要もしないし、調教も今日限りで終わり。
 それでも・・・」
 咲妃は、お姉さまのそのお声が張りつめていらっしゃる事に気が付いた。


255 :201:03/12/27 10:51
「咲妃。  私の奴隷になって」
「・・・・・・・」
 咲妃は 小さく息をのんだ。  
 どきん、と 心臓が心地よく鳴った。
 奴隷になって。
・・・まるで、愛を告げる告白のように・・・その言葉は響いて・・・。
 咲妃には何だか・・・その『奴隷』というものが、とても素敵なものに感じられた。
 いつかの夜は、恐怖と嫌悪にまみれて誓わされたその契約が・・・。
 今、こんなにも・・・。
「っ・・・・」
 咲妃は、何故だか泣いていた。 その理由は自分でも解らないけれど。
「咲妃・・」
 お姉さまの声が、帰ってこない返事の為に 不安げな色をしていた。
 咲妃は、声が震えてしまわないように 一度深呼吸をして、それから 答えた。
「はい」  と。
 そして自らも、がんばって体を動かして、お姉さまに抱きついて・・・。
「私は・・・お姉さまの奴隷になります・・・」
 誓いをたてた。


256 :201:03/12/27 11:03
「咲妃・・・」
 お姉さまのお声が、ほころんだ。 
 それだけで咲妃は嬉しくなれて・・・。
「姉さま・・・っ」
 咲妃は寄り強く、姉さまに抱きついた。
 姉さまは、そんな咲妃の頭をなで続ける。

「ごめんなさいね。 こんなに成るまで苦しめてしまって」
「いいえ・・・もう、いいんです。 
 それに・・・謝っちゃ、だめです。  姉さまは・・・咲妃のご主人様なんですから・・・」
「咲妃・・・。  
 ええ。そうね。
 咲妃。  ・・・これから・・・よろしくね」
「はい。 よろしくお願いします。 姉さま」

 この時咲妃は 初めて姉さまに出会ってから、今までに有った事の数々を思い出していた。
・・・本当に、死んでしまいたいくらいの 辛い日々だった。
  自分が生きているのか、死んでいるのか すらも解らなくなってしまうような事もあった。
 でも、今だから思える。
 良かった・・・って。    死なないで。   壊れないで。

・・・・生きていて・・・。 

 咲妃は 幸せに包まれて目を閉じる。
 いつも怯えていたはずの明日を、早く来ないかな、なんて想いながら。
  
 二人はそのまま互いが眠りに落ちるまで、 穏やかに、 語り続けていた・・・・。

257 :201:03/12/27 11:31
前編   最終話   十月末 金曜日   終わり。 

 はい、遂に前編終わりました。
 え? ダークじゃなくなったって? 大丈夫、まだまだ序の口だから。
 ダークって言っても、その中にはいろいろと種類があって、
 前編は『鬼畜ダーク』なのさ。
 次の中編は『真っ逆さまダーク』です。
 幸せにするだけして置いて・・・・。 ってやつ。
 そんなわけで、しばらくは白百合な展開になります。
 ダークよりは幾分か書きやすいと思うので、次々と書いちゃってください。
題材の参考としては・・静がヒッキーから復帰できるようにがんばったりとか、
 まだ 恐怖の抜けきっていない咲妃をがんばって安心させるとか
〈まだ、ふとした拍子にびくっとなったりする。咄嗟に警戒したりとか〉
 他にも、香住先生とか、・・まあ、色っ々有るわけですよ。
 そんなわけで、今暫くは 清純な白百合もので、よろしく書いてやってくださいな。
 自由参加だから、腕に自信のある人は、どうぞどうぞ。

258 :ねこねこ:03/12/27 23:32
すごかったよ。 名作だよ。
でも、なかなか続きが来ないにゃー。ザンネソ。
腕に自信の・・っていう人がいないのでは?
てゆーか、201さんが書き出してあげればイイんじゃないかにゃ。
じゃないと どう書き出してイイのかがわからんのにゃんですかね?

259 :シーチキン:03/12/27 23:33
激しく名作。 中編はよ見せれ。

260 :201:03/12/27 23:37
……ああ、言い忘れてた。 
 中編からは由香さんは『お姉さま』
      じゃなくて『姉さま』 になったからその辺をよろしく。
 後の布石ですよ。  
 では、誰かもし良ければ続きをお願いしますです。
 

261 :シーチキン:03/12/28 17:20
誰かこれでゲーム作れ。 やりたい。 需要。

262 :名無し物書き@推敲中?:03/12/28 23:15
 鬼畜百合
 新しいやつ
 どうせ誰も世万だろうから無茶なものを

 題名は『鎖薬』

263 :名無し物書き@推敲中?:03/12/28 23:16
『鎖薬』

 氏神命の目は、地下室の四方を照らす炎よりも、暗く冷たい。
 少女の面影を色濃く残したまま、身体の線を浮き立たせる黒革
の衣装に己を封印した、その出で立ちは美しく、歴史が語られる
以前、神への反逆を目論んだ天使の姿を思わせた。世界がどれほ
ど変わっても、永遠の姿を留めるだろう、そんな魔力を宿した瞳
の先に、虜囚となった少女が横たわっていた。


264 :名無し物書き@推敲中?:03/12/28 23:18
『鎖薬』

 地下室の天井から垂れ下がる鎖は、少女の首輪に繋がっている。
中世ヨーロッパの城館を移築した建物には、様々な仕掛けが施さ
れていたのだが、ここは領主の部屋の、秘密の隠し扉からしか入
ることのできない拷問室であった。この城館の元の所有者は、領
地に住む年頃の女性を拐かしては、ここで血生臭い饗宴を行って
いたのだという。

265 :名無し物書き@推敲中?:03/12/28 23:19
『鎖薬』

 拷問室の名に相応しく、地下室には様々な責め具が用意されて
いた。乙女の血と涙と汗を吸い込んだ器具は、領主の椅子に座る
氏神命と共に、裸の少女を視姦している。まだ性別の差が出てい
ない身体つきの少女、その短い髪、細い手足、そして首輪と革の
拘束具。

266 :鎖薬:03/12/28 23:20
 俯せのまま青ざめた顔を石畳に当てて、荒い呼吸に骨の浮き出
た背中が上下している。
 首輪の少女、一色皐月は氏神命によって処女を奪われたばかり
だった。
 氏神命は、自らの股間からそそり立つ、歪な人工の男性器を左
手で弄んでいた。突起が無数に突き出たそれは、女性器を破壊す
るために機能する悪魔の責め具だった。氏神命は左手に付着した
破瓜の血を、満足そうに嘗める。

267 :鎖薬:03/12/28 23:21
「どう? 女になった気持ちは。痛かったでしょう、でも、すぐ
に慣れるわ」
 氏神命は一色皐月の側に近寄ると、背中を優しく撫でた。
「だって、これから毎日犯すのだから」
「あ、あああ……」
 一色皐月は処女喪失の痛みで、未だ意識を混濁させたままだっ
たが、氏神命の言葉に運命を呪う嘆きの声が漏れた。正気を失っ
た瞳は絶望で大きく見開かれていたものの、氏神命は意に介して
いなかった。彼女は、これまで何人もの少女を毒牙にかけ、例外
なく未熟な蕾を割り開くのと同時に、快感をも引きずり出してき
たのだから。

268 :鎖薬:03/12/28 23:22
 今、強引に一色皐月を犯したのは、少女に自らの身分と、これ
からの日常がこれまでの日常とは違うということを、肌で覚えさ
せるためだった。
「あなたは、今日から私のペット。私の可愛い少女ペットになる
のよ」
 氏神命の耳打ちに、一色皐月は力無く項垂れた。
 太陽から見放された境遇に折り合いをつけるかのように。

269 :鎖薬:03/12/28 23:23
 一色皐月は死ぬ運命だった。
 実業家だった父が多額の借金を抱えて、家族旅行と称して県境
の森へ訪れたのが三日前。父と母と腹違いの弟は、広大な森のど
こかで死体となって、一ヶ月後に消防団が発見することになる。
一色皐月は彼らからはぐれてしまい、一人森を彷徨ううちに、氏
神命の城館に辿り着いたのだ。

270 :鎖薬:03/12/28 23:24
「可哀想に、捨てられたのね」
 館の主人、氏神命は寒さに震える皐月を招き入れた。熱い浴槽
と食事で幼い少女をもてなすと、彼女から森を彷徨っていた事情
をそれとなく聞き出した。ここから国道までは10kmも歩かね
ばならず、さらに、城館へは一本の舗装されていない道があるだ
けだった。だから、一家心中の死体の中で、皐月だけが欠けてい
たとしても誰も不思議には思わないだろう。

271 :鎖薬:03/12/28 23:25
「あなた、名前は?」
「ボク、ボクは……一色、皐月」
「そう、良い名前ね。可哀想な子猫。あなたは死んでしまったの
よ」
 と、氏神命は囁いた。
「死んだ人間は、人間じゃない。だから、何をしても構わない」
 彼女は一色皐月を優しく、有無を言わせず押し倒すと、その唇
を奪った。
 死を宣告された少女は、生きながらに肩を震わせ、しかし抵抗
する術を持たなかった。


272 :名無し物書き@推敲中?:03/12/28 23:26
百合ってなんなんですか?SMレズでよいのですか。

273 :鎖薬:03/12/28 23:29
 氏神命は呼び鈴を鳴らすと、メイドの一人に命じて一色皐月を
地下室に幽閉するよう指示した。無惨に処女を散らされ、血が滴
ったまま横たわる少女を見て、メイドは悲しげな表情を浮かべた
が、氏神命の命令は絶対だった。彼女は一色皐月の身体を背負う
と、地下室へと続く階段を下りていった。
 心地よい振動が、少女の意識を引き戻す。
「あ、うん……、お母さん……」
「私はお母さんではありません」


274 :鎖薬:03/12/28 23:30
 メイドは言った。彼女もまだ、幼さが残る年齢だった。メイド
少女は一色皐月の身に起こることを知っているのだろう。俯いて
、感情の揺れに耐えているようだった。
「お母さんじゃ……ないの?」
「私は命様のお側に仕える宮園花梨と申します」
「花梨……さん? ボク、皐月」
 メイド少女、宮園花梨は地下室の重い扉を開けた。城館の地下
には魔女裁判でしようされた拷問器具や責め具が置かれた調教室
がある。今まで何人もの女性の血を吸った部屋は、新たな生け贄
の登場に喜び震えているかに見えた。

275 :鎖薬:03/12/28 23:31
「ここが、今日からあなたの生活の場になります」
 花梨は皐月を背中から降ろすと、椅子に座らせた。裸の少女の
股を開かせて、出血の具合を確認すると、すっと舌を這わせた。
「ひゃん!」
「我慢してください」
 皐月の股間から滴る血を嘗め取る。もぞもぞと身体を動かす皐
月の手を掴み、ゆっくりと優しく舌を動かす。皐月は身体の奥深
くに届く感覚に背中を仰け反らせた。今まで感じたことのない温
かさ。
 口がパクパクと開閉する。
「ああ、くすぐったいよ」
「まだ、気持ちよくなるまでは時間がかかるかもしれないけれど
……早く慣れて……」
「う、ううん……」

276 :鎖薬:03/12/28 23:33
 花梨は股間から顔を上げると、感情の希薄な眼差しを皐月に向
けた。
「あなたのご家族は死にました」
「え……?」
「そして、あなたも生まれ変わります。私と同じように、少女ペ
ットとして」
 花梨は自らのスカートをたくし上げた。革ベルトで固定された
ディルドーが、彼女の性器に埋没している。彼女も、初潮を迎え
て間もない年齢なのだ。花梨の膣が飲み込んでいる人工の男性器
は、恐ろしげな造形が施された責め具だった。
 そして、後ろを向く。メイド少女の肛門からは、尻尾状のプラ
グが垂れていた。
「なに、それ……」

277 :鎖薬:03/12/28 23:34
「ペットはこうして尻尾を生やさなければなりません。そして、
御主人様に自分の身体の全てを捧げるのです」
 暗闇に揺らめく蝋燭の炎に、花梨の瞳は鈍く沈んでいるような
色調を保っていた。皐月は不意に我に返り、周囲を見渡した。石
の壁に囲まれた部屋に窓はなく、黒を基調とした調度品の数々。
自分が今までいた世界とは全く別の場所に投げ捨てられたことを
、皐月は知った。

278 : ◆xAG4.Wd6wQ :03/12/28 23:34
http://www.j-n.co.jp/cgi-bin/product_detail.cgi?code=4-408-60252-3

279 :鎖薬:03/12/28 23:34
 花梨はスカートを降ろすと、少女を見詰めた。
 少女ペットの世界に墜ちたばかりの少女を。
「今日はもう休んでください。明日から、もう休むことはないで
すから」
 花梨は呟くように言うと、部屋を後にした。
 蝋燭の上で揺らめく炎を見上げ、皐月は花梨の姿を思い出し身
体を震わせた。
 泪が落ちる。
 世界の底に落下した雫は、皐月という少女が流す、最後の一滴。
 闇に吸い込まれ、もはや何も、ない。


280 :名無し物書き@推敲中?:03/12/29 07:35
>>262さん
お邪魔にならないようROMっていますが、いつも楽しみに拝見しています。
他の書き手さんもみなさん、これからも頑張ってください。

281 :シーチキン:03/12/29 15:50
 所で、>>262は新顔だな。
 話も全く別物か。 まーいいんじゃない?
 ああ、所で 中編は? いつ出てくるんだ? 
 っていうか、201氏はいづこに?
 年末だからか?   

282 :201:03/12/29 17:17
んー、最近忙しいのだ。
 こっちのが一段落したら中編行こうと思うんで、よろしく。
……このスレって、何人ぐらいが見てるんだろう。
 楽しんでくれてると良いんだけど。  

283 :鎖薬:03/12/29 22:29
 地下拷問室へ皐月を運ぶのを花梨に命令したのは、氏神命の気
紛れだった。少女ペットとして調教された花梨が、皐月にどのよ
うな態度をとるのか知りたいという気持ちもあったし、花梨なら
皐月に適切な対応をするだろうという期待もあった。
「今、戻りました」
 花梨の丁寧な言葉に、氏神命は満足げな微笑みを浮かべ、足を
組む。
 エナメルのハイヒールが誘うように上下した。花梨は下唇を噛
むと、メイド服を脱ぎ捨て、命の足に口づけをする。

284 :鎖薬:03/12/29 22:30
「皐月ちゃんの様子は?」
「は、はい。まだ自分の境遇を理解していないようでした……」
「可哀想と思う?」
「……彼女は、まだ若すぎます」
 ハイヒールに舌を這わせ、花梨が呟く。氏神命は花梨のことが
好きだったが、それはあくまで少女ペットに対する感情だ。
 彼女は傍らの円卓に置かれたリモコンを手に取った。 
目盛りを上げると同時に、花梨の身体が痙攣する。膣に挿入さ
れたバイブレーターが激しく振動しだしたのだ。顔を赤らめ、無
理矢理引き出される快感に耐えながら、それでも花梨は氏神命の
足を嘗めることを止めようとしない。
「花梨、あなたは少女ペットになって何年になる?」
「は、はい。5年です。な、(自主規制)才のときに命様に拾っ
ていただきました」

285 :鎖薬:03/12/29 22:32
「それで?」
 徐々に目盛りを上げていく。凶悪な造形のバイブレーターは、
子宮口を貫き、彼女の子宮の奥深くに到達しているのだ。氏神命
の手管によって調教されつくした身体は、あらゆる拷問、責め苦
を受け入れるようになっていた。
「あ、はい、今は、とても幸せです……」
「そうね。ペットとしていっぱい可愛がってあげたもの」
 氏神命の手が花梨の尻尾に伸びる。彼女の肛門に奥深く挿入さ
れたそれは、空気によって膨らむ仕掛けによって排泄の自由を奪
っていた。少女ペットの、少女ペットたる証。彼女の肛門は快楽
器官としての調教と、ペットであることを意識させるトレーニン
グによって、今では一週間に一度の浣腸責めによってでしか排便
できない身体に改造されていた。


286 :鎖薬:03/12/29 22:33
 指先が、直径4センチほどの尻尾をくわえたアナルを撫でる。
「あ、ああ……」
 それだけで、花梨の身体は喜びに打ち震えた。
「すっかり身体の一部になったわね」
「は、はい。ああ……尻尾が気持ちいいです……」
 媚びるように命を見詰める花梨。少女ペットの肛門に尻尾状の
ディルドーを挿入するのは、自分が人以下の存在であることを認
識させ、また、主人がいなければ生きていけないということを実
感させるためである。氏神命は年端もいかない宮園花梨の身体を
嬲り、次に心を犯した。少女の皮膚の中に愛玩動物としての欲情
が渦巻く、それが今の花梨だった。


287 :鎖薬:03/12/29 22:33
 命は、小動物のように身体を震わせる花梨に問い掛けた。
「皐月は、あなたのように幸せになれるかしら?」
「うう……、命様なら、あの娘を導けます……」
「そう、そうね」
 官能に打ち震える花梨を尻目に、館の主は調教道具を用意しは
じめた。少女ペットの両手に手錠を掛け、巻き上げ機で天井から
爪先が届くか届かないかの高さに吊す。命は花梨のふくらみかけ
た乳房を撫でると、ピアスで飾られた乳首を舌先で転がす。
「可愛いわ」
 命は微笑み、尻尾を固定してある皮のベルトを解いた。続けて
、花梨の直腸内を封じているゴムバルーンの空気を抜く。革のベ
ルトは尻尾の固定のため、バルーンは液漏れの防止を目的として
いる。だが、空気が抜けても肛門に挿入されている尻尾は5セン
チ弱の太さがあるのだ。四肢を強ばらせている花梨の眼は、洗面
器に消毒液を注ぐ氏神命に集中していた。

288 :鎖薬:03/12/29 22:34
「トイレの時間よ」
 花梨の頬が赤らむ。
「皐月に見せてあげてもよかったのだけれど、刺激が強いでしょ
うから」
「あ、ありがとうございます」
「これからは一緒にトイレするようになるもの。早いか、遅いか
の違いよ」
 皐月もこれから肛門を封印され、地獄のような便意の波に苦し
むことになる。花梨は項垂れた。それは皐月の身体が自然排泄と
いう機能を忘れ、少女ペットとしての境遇に慣れ親しみ、浣腸を
待ち焦がれるようになるまで続くのだから。
 花梨のように。
 氏神命は浣腸器を花梨の肛門に差し込むと、ゆっくりと薬液を
注入していった。


289 :鎖薬:03/12/29 22:34
「は、はあああ……」
 空気が抜けるような、官能の吐息。
「どれくらい欲しい?」
「お腹、一杯になるくらい欲しいです……」
「500ccくらい?」
「え……?」
 直腸内に流れ込む薬液よりも、命が口にした数量に戸惑う。
500ccは十分に大量浣腸といえる量であるが、日常的な浣腸
責めではその何倍ものグリセリン溶液が直腸から大腸へと流し込
まれるのだ。内臓を灼かれる苦しみに悶え、または排泄時の快感
に啼く。
「お前は何リットルも入れられるのが好きだものね」
「いえ、そんな……う、うう……」
 花梨の咽が鳴る。


290 :鎖薬:03/12/29 22:35
「安心しなさい。これは一回目だから」
 両目を潤ませ、少女ペットが腸内に満ちていく薬液に耐えてい
る。氏神命は確かに「一回目」と言った。彼女は花梨の悶える姿
を見ながら、バケツを用意すると、ワゴンに載せられた調教道具
を物色しはじめた。
 少女の白い肌に汗が浮かび上がる。
「み、命様……」
 排泄の許可を得ようと、花梨がバケツを両手に服従の姿勢を取
る。
「楽になりたい?」
「は、はい」
「それじゃあ、そこに出しなさい」
 優しい眼差しで、氏神命が花梨の頭を抱いた。その瞬間、バケ
ツに跨った彼女の肛門から薬液が溢れ出す。


291 :鎖薬:03/12/29 22:36
「ああああ!」花梨の瞳孔が大きく開いた。「あ、あ、ああ! 
命様、出る、出ます。一週間分のうんち、お尻の穴から!! 
はあああ、気持ちいい……」
「すっかり変態さんになったわね」
 顔に手を這わす主人を見上げ、排泄中の少女ペットは何度も
頷いた。
「はい、はい! 花梨は命様の忠実な奴隷です! 変態奴隷……
いいえ、浣腸奴隷です。だから、だから……あああ、うんち、凄
い、凄いよ、うんちで気持ちよくなるんですっ!」
「うんちをするのが気持ちいいの?」
「は、はい……。とっても……気持ちいい、いい、ああああ、腰
が無くなってしまいそうです……、あっ、また、まだ出る! 止
まらない、止まらないですぅ! 嫌、嫌ぁ、ひゃ、あ、あああ、
あああああああああ!!」
 絶叫するごとに、肛門から便が吐き出され、バケツに落ちてい
く。ぶるぶると震える花梨は命の腕に体重を預けて、排泄の快楽
に身を委ねているようだった。

292 :鎖薬:03/12/29 22:36
 恍惚とした表情の花梨を撫で、命が耳を噛む。
「うん……」
「じゃあ、二回目をしましょうね」
「はい……花梨の、花梨のお尻の穴を綺麗にしてください……」
理性の消えた眼で、少女ペットは懇願した。「お願い……します。
お腹が綺麗になるまで……何度も、何度も……浣腸、お浣腸して
ほしいです」
「じゃあ、今度は1リットルよ」
 一度目の倍の数量に、花梨は息を飲んだ。期待と、被虐心から。
彼女の目の前で、氏神命は牛乳を大量浣腸用のイルリガートルへ
と注いでいった。花梨は自分の腹が歪に膨らむ様を想像した。鳥
肌が立つ。肛門から流れ込む冷たい液体に、苦しみ、そして解放
され、恥辱と安寧に満ちた瞬間をまた主人に曝すのだ。
 これからどうなるのだろう?
 でも、考える必要はない。アナル栓が肛門にねじ込まれ、そこ
から伸びたチューブがイルリガートルのタンクに繋がったとき、
宮園花梨は自分の思考を全て停止して、少女ペットの悦びにだけ
身体を震わせた。


293 :名無し物書き@推敲中?:03/12/29 22:53
なんでもいいが、「大人の時間」との違いはわきまえときや。

294 :シーチキン:03/12/29 23:10
>>293 まったくだ!  これはもう黒百合ではない。
これでは>>272の言うところの、SMレズだ!!
鎖薬氏よ貴様はまず、黒百合のなんたるかを知れい!
 第一、百合で排便ネタを出すな! それはニュアンス的にレズの範疇だ!
 てゆうか、頼む! 
 201氏、早く戻ってきてくれ!!このままでは……。 ぐふ・・・っ・・。  

295 :201:03/12/29 23:17
 わーー! どうした!? 傷は浅いぞシーチキン!!
……あー、はい、忙しくても、ちょくちょく見には来ているんですよ、はい。
 うーん……たしかに、鎖薬氏の話が自分のニガテな方向性に……。
シーチキン氏の主張は正論だと思うよ。百合とレズって、きっと微妙な線引きが
有るんだと思う。それこそ、ニュアンス程度のレベルに於いて。
……でも、そんなに手痛く言わなくても……。
 そろそろ、のんびりできそうだから ぼちぼち書き始めるとするよ。
 それじゃ、よろしく。  もし良ければ、おまたせ、かな?……だといいな。 

296 :201:03/12/29 23:20
……ええと、始めても良いかな?
 良いって言ってくれたら始めようと思います。

297 :ねこねこ:03/12/30 00:37
え? 始まるの?
 やった!  早く早く!
 楽しみにしてたにゃ!  良い 良い
 何遍でも言うから 始めて!

298 :201:03/12/30 00:38
  中編  十一月  月曜日   序話

 間に合わなかったんだ……。
 あたしに罪が無いのは 知っている。
 でも……あれは きっと、あたしの罪。 あたしがそう思うのだから、確かに罪は在る。
 
 かしゃん、  だったか・・・  よく思い出せないけれど、 確か そんな音を立てて壊れたんだ。
――― ガラスの人形と   静の心が・・・。
 本当に……壊れたみたいになって…、もう その瞳にはあたしの姿すら 映してくれなかった。
 彼女の親が引き取りに来るまで…… ふたつの人形は、崩れたまま/座り込んだまま、動かなくなっていた……。
かしゃん、  だったか・・・  よく思い出せないけれど、 確か そんな音を立てて壊れたんだ。
 あの日、静があたしに『好き』だと言ってくれた事……。

 その日から 静は学校に来なくなってしまった。
 あたしは 独りになってしまった。
 何度も 静に会いに行った。 けれど、静は会ってもくれなかった。
 『好き』だと言ってくれた静。 ……顔を見る事も……できなかった。
……あたしは、そんな自分が不甲斐なくて仕方がなかった。
 だからもう、あいつらに正面切って対抗するのは やめた。
……こんな奴は、そういう姿が似合うのだと思ったから。……或いは、麻利亜様の下に居る内に、
あたしにも もののあるべき形を見いだす事ができるようになっていたのだろうか。
 そんなもの、要らないんだ。 
 そんなものを あの人から得るくらいなら、もっと別の……静を守ってやれただけの何かが
欲しかった。
それが、夏の話だ。
……確か、日の光よりも、むしろその強さの為に より濃い影が在ったのを覚えている。
 雨はそんなに降らなかった。 むしろ 燦然と照っていたのは、奴等の信じる『神』の皮肉か……。

299 :201:03/12/30 00:38
 陽炎に歪んだ空気が 徐々に はっきりと輪郭を得ていっても、静は絶対に部屋を出てきて
くれなかった。
 ただ そう。 少しだけ、進展が有った。
「帰って」
 それが、二ヶ月ぶりに聞いた 静の声だった。
 その時あたしは嬉しいと感じた。同時に傷ついたけれど……。
 この頃から親しくなり始めていた彼女の両親から聞いた話によれば、静はあたしが来ている時
を例外としては、必要が有れば 部屋を出てくる事もあるのだそうだ。
……ただし、誰とも口をきかず、しかも日の光には決して当たろうとしないらしい。
 『外』の象徴であるとは言え、窓越しにも関わらず、日の光にすら 彼女は怯えるというのだ……。 あたしは いつだったか、……少なくとも二ヶ月以上前のいつかの日に あのガラスの人形に
ついて 聞いた事がある。
「大切なものだよ」「どうして?」  その後は……そう、確か…「この子は『わたし』だから」
 その時の意味は今に至っても よく解らないが、少なくとも あの言葉がそのままの事実であった事
を知っている……。
 
 その日から、静はあたしが来ると ドア越しにだけれど 口をきいてくれるようになった。
「元気にしてた?」「……帰って」
「おはよ、起きてる?」「……もう来ないで」
「今日の調子はどう?」「………、…………」
「静、今日さ……」「……やめて」
「……ねえ、迷惑、かな?」「……うん」
「静……」「迷惑だって……言った。 もう来ないでって、言った」
「・・・・」「……綾野、居るんでしょう? 早く帰って。居ない振りをしても わたしは出ていかないから」
「どうして 判ったの?」「どんな動物にだって……怖いものは、判るわ」
「静、また来たよ」「……どうして?」
「……さあ……。実を言うと、もう よく解らない」「……そう……なんだ」
「静、ほら……外はもう秋だよ」「やめて! 外の話はしないで!」
「……ごめん」「……うん…いいよ……」

 そうやって 少しずつ話をしている内に、秋は深くなっていた。

300 :201:03/12/30 00:39
 理由は未だに判らないれど……。 あたしは四ヶ月ぶりに静の顔を見た。
 姿は何処も変わっていないようで 安堵を得たが、それはただ、その部分が壊れていなかっただけの話で、壊れたものは 何も治っていなかった。 
 顔を見て、あたし達の間にはもう『好き』は無いんだな……と、
 ああ、そうだったのか……。
 多分、彼女の目から見れば違うけれど……少なくとも あたしの目から見たなら……。
 あのガラスの人形は、大切なものだったんだ……。あたし達の『好き』でもあったのだから……。

 あたし達は、友達に戻った。
 無理を言って一度だけ連れ出した外……庭の、土の中にガラスの人形を埋葬した……。   
 もう二度と 取り戻せない『好き』と共に……。   

 晩秋
 あたしは咲妃という娘に出会う……。

   中編  十一月  月曜日   序話     おわり


301 :201:03/12/30 00:44
はーー、久々に書いたので 腕が落ちていないか心配です。
 構成に だいぶ『やっつけ』な部分があるような気がして……。
 ほんと、二、三日書かないだけで腕が落ちちゃうなんて、楽器じゃ無いんだから……。
 まだまだ未熟な証拠かな?
 ともあれ、まあこんな感じで中編は始まりました。
 書き手の方々、またよろしくお願いしますです。 では。

302 :シーチキン:03/12/30 01:09
おおおお! これだ! これこそが百合だ! 
 >>293>>272、わかったか?!
 どうやら、随分前の予告の通りに 前編とは違った空気を流すつもりで居るらしいな!
 俺にはそう思えるぞ! 新鮮だ! さあ続け!


303 :シーチキン:03/12/30 01:21
それにしても、もっと読んでいたい。
 もっと長く書いて欲しかった。
 

304 :201:03/12/30 01:25
ごめん。 でもこれ『序話』だから、短いんだ。
 下手すれば、第一話の中に取り込まれていたかもしれないものだから。
 ともあれ、次はいよいよ第一話。 視点は変わって咲妃ちゃんから。
 書き方も三人称に戻します。 時間は序話と同じ 十一月  月曜日 から。
では、また明日。……あした?

305 :201:03/12/30 18:58
中編  十一月  月曜日   一話

 目を覚ますと、咲妃はまた身を縮め固めたまま眠っていた。
 だから、早く目が覚めて良かったと思う。
 こんな姿を見られたら、姉さまはまた居たたまれないお顔をされてしまうから。
……ああ それにしても……。
「…気持ちいい……」
 目覚め立てのぼんやりした意識の狭間……その時 きっとベッドの中は現実の夢。
 咲妃はうっとりと溜息をついて、もう一度目を閉じる。
 ずっと 寝不足が続いていた為か、この土日の間も 随分と眠ったけれど、それでも寝足りない。
「咲妃」
「……ひっ?!」
 再び寝息を立て始めた咲妃の耳元に姉さまの声がして、咲妃は びくんと身を震わせた。
 その大きな震えの中心は心臓であり、理由は……恐怖。
 勿論、冷静に考えの巡る状況であったならば 震えるどころか、咲妃は恐怖自体を感じる事が無いだろう。
 つまり、咄嗟の事だった。
 無意識のレベルに於いての話では、姉さまは『恐怖』の対象のままなのだ。
 ああ、それにしても……。 また……やっちゃった……。
「……おはよう、咲妃。 もう朝よ」
 お声に、少し勢いが欠ける。
 いつもの、しゃん、とした響きが見られない。
 あの日以来……少なくとも、この土日の間は 姉さまは とてもお優しかった。
……例えば、今まで恐ろしいと感じてきた部分を、そのまま優しさに置き換えたような。
 
 人には反面鏡と言うものが在って、例えば 姉さまが咲妃に対して優しくなったものもその例。
 一般に、「優しい人程、反転した時には より恐ろしいものだ」などと言われるのと同じ事。
 つまり、何かの際に反転した時、人は本の長部の分だけ、その反対側にも同じだけの長さの部分が存在していると言う事だ。 だから、事象としては決して不思議な事ではないが……そんな事、
麻利亜様や、澪月先生ならばともかく、咲妃が知っているはずもない。
 ただ 咲妃は目に映る限りの事に対して 受けたままに感じる事だけしかできないから……。
「おはようございます、姉さま」
 自分がしてしまった 粗相の分、だからせめて咲妃は明るく返事を返す。
 すると 姉さまは まだ少しお困りの顔のまま それでも口元をほころばせてくれた。

306 :201:03/12/30 18:59
着替えをしながら、咲妃は今日が昨日の次の日である事に 安堵する。
 まだ……後遺症は幾つもあるけれど、中でも最も咲妃を恐怖させるのは この事なんだろうと思う。
 ある日 目が覚めると そこは固い床の上で……。 なんて言う、事。
 だって、今日という日が夢で無いなんて言う保証は何処にも無いのだもの。
 ひょっとしたら、今は夢現の心地よい微睡みにすぎないののかもしれないって。
「・・・・」
 咲妃は自分の腕に歯を立てた。 傷口をえぐるようにして、痛いように、痛いように、痛くある事を願って。
「……いた……」
 そう、これは 姉さまにつけられた傷。  ……たしか、包丁を持って追い掛けられたときの。
 血が出ていて  ちゃんと、痛い。
「………」
 ほっ……   と、咲妃は安堵の息を付いた。   


307 :201:03/12/30 19:06
 パス。
 咲妃と姉さまは「まだ」くっつけないで、
 「いい感じ」のままにしておいてやってください。
 相変わらず、そのまんまの走り書きみたいな作りをしている。
……いや、実際 構想なんて ぼんやりとしか考えていないから、
 気の向くままにその場その場でノリ書きやって居るんだけどさ。
 流石に、構想やっている程の時間は無いし。
……とまあ、今回はそんな感じで、続きをよろしくです。 

308 :ねこねこ:03/12/30 19:07
 ほっ……。なんて、
 やった。ちゃんと続いている!

309 :名無し物書き@推敲中?:04/01/06 07:28
もうずっと人大杉…。…しくしく…

310 :名無し物書き@推敲中?:04/01/06 07:31
もうずっと人大杉…。…しくしく…

311 :百合リンガー:04/01/07 14:22
ちょっと毛色の違う、ソフト黒百合を書きます。
ありえたかもしれない、由香と咲紀。
思いつきなんでいっぱつモノです。



312 :百合リンガー:04/01/07 14:33
私はなぜ逃げ出さないのだろう?
ふと、そう思った。
あの人達は異常だ…。女子校や男子校には共学にはない[色]がある、とう話は理解できる。でもここしばらく私の身に起こっているや、見聞きした事はそんなレベルの話じゃない。[イジメ]なんていう単純なものでもない。
この学園は…狂っている。閉じやすい学校という世界で、教師も生徒も、黒いシステムに囚われてしまってる。



313 :百合リンガー:04/01/07 14:44
逃げ出せばいいじゃないか!お母さんとお父さんに事情を話せばかならず助けてくれる!こんな…こんな恐ろしいところ…!!
学園の記憶に身を震わせながら、額の傷にそっと触れる…。
そう…逃げ出せばいいんだ…。
なのに私は、まだこの部屋で、机に向かって明日の授業の予習をしている…。
となりにはお姉様の机が並べられているけれど、そのお姿はない。今は浴室にいっているはずだ。

314 :名無し物書き@推敲中?:04/01/07 15:03
後少しすれば、お姉様がお戻りになる…。
その想像は、私の心に波風をたてる。
怖い、逃げ出したい!『咲紀』
自分の名前を呼ばれるのがあんなに恐いなんて…!お姉様がなぜ私の名を呼ぶのか!何をするつもりで私を呼ぶのか!
「…っ…いやっ…!」
体の中にざわめきがあふれて、呻き声になって逃げ出していく。
胸を押さえながら、机の上に額を押し当てる。
「はあっ…はあっ…」恐怖の波が過ぎ去るまで私は息を荒くして、ただひたすらに耐える。
「…耐えなきゃいけないなんて…そんな事決められてないよね」
こんな所…いるべきじゃない…。



315 :シャイニング・百合ンガー:04/01/07 15:27
ならなぜ、私はこの部屋にいるの?
なぜ、明日の学園生活の準備をしているの?…それは、私がある事に気付いたからだ。
『学校を変えればいい』という事に気付いてから、少し精神的な余裕をもつ事ができた。私には「家族」という拠り所がちゃんと残されていたんだ。
今までより幾分余裕を持ってお姉様の折檻に向き合う事ができるようになって、その時、私は気付いた。
確かにお姉様は、あの人は…心が歪んでいる。
だけどその歪みは、揺らぎの無い歪みだ。
狂っているのとは、違う。
[揺らぎの無い歪み]醜く歪んで見えるけど、本当は、一歩ひいて大きく見れば、整っている…。
それが意味するのは、その歪みは人工的なモノで何かに、誰かに発生させられたモノだという事だ…。


316 :爆熱ゴット百合リンガー:04/01/07 15:48
私は思う。
もしかしたら、あの人も私と同じような苦しみを味わったんじゃないのだろうか?だから、あのように歪んでしまって…。
あの人が私のように弱いとは思えないけど、あの人のお姉様は、あの麻利亜様…。あの方こそ、本当にそこしれない恐怖をまとっている…。
まあ、すべて私の現実逃避からくる妄想かもしれないけれど、とにかく、私は初めて自分からあの人に興味を持った。
だから私はいまだにこの部屋にいる。
あの人がどうだろうと関係ない。さっさとこの世界から去ればいい…そうも思うけれど、[逃げ場がある]というちょっと卑怯かもしれない気楽さが、私の好奇心のポテンシャルを押し上げて、その結果微かに恐怖心に勝っていたのだ。



317 :シャイニング・百合リンガー・ソード:04/01/07 16:22
トン…トン…トン…
廊下を歩く足音が近づいてくる。
たぶんあの人だ。微妙な足音の違いでわかる。
体が強張り、神経が耳に集中する。机はドアの反対側の壁にあるので、近づく音に対して背を向けていなければならないのが恐い。
落ち着け、落ち着け…。
私はあの人の、お姉様の本質を知りたい。
倒錯した心をもとに戻す事ができるなら、治してあげたい。
もっと私に優しくしてほしい…!
お姉様は、たしかにこの学園での私のお姉様…!
キィ…バタンッ!
真後ろのドアが開いて、足音が室内に侵入し、再びドアが閉められた。不自然にならないように振り向くと、寝間着を着て、湿った髪にタオルを当てているお姉様がこちらに近づいてくる所だった。
「…おかえりなさい」記憶が恐怖心を呼び起こすが、それに負けまいと踏ん張る。


318 :百合ガンダム:04/01/07 16:52
「明日の予習かしら?」
「はい」
「一段落したらあなたも湯浴みへいってらっしゃい。奴隷の咲紀には贅沢だけど、臭くされては私まで堪らないものね」
「…はい」
冗談気なく本気で交わされるその異常な会話はなんの違和感もなく行われ、お姉様はベットに腰をかける。
「成績も落してはダメよ。奴隷の失態は主人である私の評価を落すのだから」
「…はい」
お姉様は立場の差が絶対である事を常に言葉の節々にちらつかせる。
「あの…お姉様」
「なに?」
「お…教えていただきたい事が…。その、え、英訳で分からない所があって…」
今までの私は、絶対にこんな積極的な事をしない。震えようとする唇を制御するの事に、気力をふり絞らなければならなかった。
お姉様も違和感を感じたらしく、一寸、言葉を確認するように私を見つめる。
「…まあ、いいでしょう。で、どこなの」
「あ、ありがとうございます…」
お姉様が私の隣りにきて机の教科書をのぞきこむ。
近づいたお姉様にピリリと警戒する私の意識に、上品な石鹸の香りが漂ってくるのが分かった。


319 :百合リンガーZ:04/01/07 17:14
お姉様から漂う良い香りに気を奪われながら、質問をする。
…うん。お姉様って、こういうもののはずでしょ…?
匂いが、お姉様を優しく見せてくれた。
「『その者は神罪によって楽園から永遠に追放された』…文節のくぎりを間違えているから、分からないのよ」「は、はい…。気をつけます…」
「他は?」
「あ、大丈夫、です」「そう…じゃあ」
「え…っ!?」
優しい幻影にぼーっとしていた私は、急に飛んで来たその平手打ちに体のバランスを崩し、椅子から転げ落ちてしまった。
「これから私に勉強を教わる時は、必ず罰を受けなさい。わかったわね?」
私が椅子から落ちた事などまったく気にせず、お姉様はむしろ誇らしげにそう言った。


320 :グレート百合リンガー:04/01/07 17:39
「…いやです…」
「何…?」
「お、お姉様に叩かれるなんて、嫌です…」言葉は弱々しいけれど、はっきりとした反抗の意思表示。
床に腰をつけたままの私は、お姉様に踏みつけられるんじゃないかと思った。
けれど、以外な事にお姉様は私を踏み付けもしなかったし乱暴な言葉もたたき付けはしなかった。
「…咲紀、立ちなさい」
「…」
うつむいてギュッと瞳を閉じていた私は、恐る恐る、だけどしっかりとお姉様の瞳を見返しながら、ゆっくりと立ち上がる。
二人の距離は椅子を挟んで一メートルほど。ふいにお姉様が一歩近付いてきて、私は思わずあとずさった。…あとずさろうとした。
突然、お姉様が右手で私の肩を掴む。
「っ…!」
「咲紀…?今日はどうしたの?随分と…」
舐めるな口調でそう言いながら、お姉様は恐怖で固まっている私に顔を近づける。
「ごめんな…!…っ!」
謝っちゃいけない…!私はこの人の妹になりたいのだ!もしかしたら、私と同じ苦しみを味わったかもしれないこの人の…!


321 :Z百合リンガー:04/01/07 18:08
「咲紀…今日は随分と…可愛いじゃない」
倒錯したその言葉は、たんなる罵倒よりもよっぽど効果的に私の背筋をなでまわした。
この人おかしい…!
今更な考えに自分でもあきれたが、しかし、お姉様へのいささか妄想的な同情心にヒビが入った感じがして、足が震えだした。
そして私が戦慄している間に互いの顔が異常に接近していた。
「あ…」
「黙りなさい!」
「…っ!」
瞬間、お姉様と私の顔がぶつかったと思った。
お姉様は、私の下唇に噛みついたのだ。 「痛っ!」
深く噛んだわけじゃない。ほんの少しの表皮だけを器用はぎ取っただけだ。
それでも血はでる。
私は反射的に距離を取ろうとするけど、右手を肩に、そしていつの間にか左手を頭の後ろに回されていてはそうそう離れられるものじゃない。
いったん離れた顔が再び近づき、お姉様は私の下唇を今度は唇で噛みつくようにして重ねた。
涙でぼやける視界中、目の前のお姉様の表情は理解できないほど恍惚に満ちていて、負けちゃいけない、と踏ん張る私の心は今にも砕け散りそうになっていた…。

322 :ZZ百合リンガー:04/01/07 18:15
人のいない間に大量レス〜。
さて一休み…。
携帯でうちこむのはだるいなあ…。

323 :復活(?)の201:04/01/07 19:26
未だ病床の上。 熱の妨げに、碌な文章の書けない今日この頃。
 折節の移り変わりは、健康に要注意。・・・。
 しかしながら、なんだか、有難い事にssが出ているじゃないの。
 こいつは 俄然やる気が出たね。
 久方ぶりに 再開しようかな。……腕落ちしていないか不安だが……。

324 :201:04/01/07 20:25
 ダイニングに出ると 咲妃は『意識して』床を見ないようにし、変わりに食卓を見た。
 姉さまのお食事と、その向かい側に 咲妃の『食事』。もう、餌じゃない。
 そんな当然の事が未だに嬉しいなんて・・・咲妃はそこにこそ溜息をついてしまう。
 案外、咲妃は奥底の部分で『奴隷』色に染まってしまっていたのかもしれない。
・・・でも、がんばって治していけばいいよね?
 そう、 ゆっくり、 ゆっくり行こう。
 きっと まだまだ時間があってくれるはずだから。
「あ・・・」
 席に着いたその時  そういえば、と、咲妃はふと ある事に気が付く。
 これって結構重要な事かもしれない。・・・特に、奴隷としては。
 お食事・・・作っているのは姉さまなんだ。
それを・・・奴隷の咲妃がただ食べるだけ・・・、って、これは構造的に絶対在っちゃいけない状況だ。
「どうしたの?咲妃。 嫌いな物でも入っていたのかしら?」
「い、いえ・・・、その・・・」
 話の機在った所で、咲妃は今思っていた事を姉さまに話した。
 すると 何故か姉さまはお笑いになる。
「え・・?あの・・・」
 混乱し始める咲妃に 姉さまは「良いのよ、その辺は」とおっしゃる。
「どうして・・・でしょうか?」
 奴隷の手の触れた物なんて口にしたくは無いもの。分をわきまえなさい、出しゃばれば良いというものでもないのよ。
 なんて、・・・少し前なら平然とこんな言葉が返ってきただろう為に、一瞬、咲妃はそう言われたような気がした。
 けど、実際は かなりのギャップ付きのお答えが返ってきたのだ。
「・・・趣味なのよ。 料理」
「ふえっ?」
 照れ隠しか、敢えてつまらなそうに答えた姉さまに 咲妃はただただ間抜けな返しをするばかり。
姉さまは「やっぱり・・・」とでも言いたげに短く溜息をつくと、「ほら、変な顔しないの」と咲妃を咎めて
再び食事の手を動かし始めた。

325 :201:04/01/07 20:32
・・・てな感じで どうでしょうか。
 かなりまったりしているけれど・・・まあ、その辺は大丈夫。
 ちゃんと微笑みの代償は存在しているから。
・・この中編は咲妃にしてみれば白百合な話で、黒百合な部分は
 失墜していく菫さんと、あとは過去の疵痕ってことで静・・と綾野の話かな?
 ちょっとばっかり 咲妃からは視点が外れるかもしれない。
 ああ、でも相変わらず学園側は敵だから。そんな感じで、よろしく。 

326 :シーチキン:04/01/07 20:34
 おお! ついに復活したか!201氏! よくぞ戻ってきた。

327 :ねこねこ:04/01/07 20:36
ようやく年が明けたって感じだにゃー。
これでこそ ハッピーニューイヤーだにゃ。

328 :201:04/01/07 20:39
注意書き、>>324>>306の続きでありますです。はい。

329 :百合リンガー:04/01/07 23:05
201氏が帰ってきた今、はたして続ける意味があんかのかイマイチ微妙ですが、わたくしこと百合リンガーも先のイッパツネタな二人をとりあえずくぎりがつくまで書かせていただきませう。
お許しを…


330 :201:04/01/07 23:20
頼みましたぞ。百合リンガー氏。続ける意味は二十分にある。
 こっちのやる気が増加するから。
 沙汰無しじゃあやる気無くすもんね。今までみたいな感じで・・。
 一時期死にスレ化した時はもうやめようかと・・。

331 :百合リンガー:04/01/08 01:23
まあ、こっちが勝手にたれながしてるんだから、書かせてくれるスレがあるってだけでもそれなりに嬉しかったり…。
ところで201氏の『201』ってどういう意味でしょう?匂い?シーチキン氏とねこねこ氏も、いったい何者なんだろう?
良きスレ支援者さん達…

332 :百合リンガーV:04/01/08 01:27
でもまあ、文章作るのは疲れるし、話を寝かせる時間も必要だろうから2、3週間レス無しってのもしかたないんじゃない?
マターリいこうよ。
マターリ…


333 :201:04/01/08 07:51
なぜ201かって?
それは、このスレの起こる切っ掛けとなったスレで201番だったから。
特定の名前を持つのもめんどくさいんでそのまま201。
あとは・・そうだな、彼らともその頃からの縁かな。
毎度毎度助かってますよ。とくに、荒らし襲来の時とかは。 

334 :201:04/01/08 08:42
>>324
「あの・・・私はこの辺で」
 登校路。 姉さまの隣・・・の少しばかり後ろを歩いていた咲妃は 学園近くのT路地でそう言って道を分かつ。
 姉さまは「そう」とだけ返して、そのままお一人で道を進んで行かれた。
 咲妃は少しの間だけ姉さまの後ろ姿を見送り、それから歩き出す。

「咲妃っ・・・!」
 気のはやりか、随分と早い時間からここに来ていた綾野は 咲妃の姿を見つけるなりに思わず抱きしめていた。
「綾野・・・」
 突然の事に咲妃は驚いて身をすくめていたが、前の金曜日の事を思い出して 納得した。
「もう体は大丈夫なの?」
 そう、この前に綾野と居た金曜日には・・・今にも死んでしまいそうな状態だったっけ。
 実際、まだ熱は残っているけれど、それでも あの日から見たらかなりの体調良好だ。
「うん。 ありがとう」
 この時 綾野は一瞬、また咲妃が無理をしようとしているのではないかと疑ったが、
それは本当に一瞬の疑いでしかなかったから、直後には晴れていた。
 何故って、咲妃の顔を見れば判る。・・・こんなに 穏やかじゃないか。
「・・・心配したよね」 「した」 
「ごめんなさい」 「いいよ」
「そんな事よりもさ、咲妃、ちゃんと言う事があるだろ?」
「あ・・・・!    うん、・・・おはよう、綾野」
「そうそう。  おはよ、咲妃」
 思えば 共に並んで歩くと決めた日から、二人はこの逢瀬と「おはよう」を ずっとずっと続けてきたのだ。
 それは、朝、お御堂の方に向かって祈りを捧げない二人の ちょっとした儀式・・・。

335 :名無し物書き@推敲中?:04/01/11 08:44
からage

…内容無いし…

336 :201:04/01/12 12:29
 病院出て来れた事だし、久々に再開するかな・・・。

337 :名無し物書き@推敲中?:04/01/12 12:32
201さん

おかえりなさい。
続き、楽しみにしてます。(^o^)

338 :名無し物書き@推敲中?:04/01/13 17:23
「…や、やめてっ…」姉様の異常な行為に恐怖で崩れ落ちそうになる自分の体と心を支えながらの言葉は、たんなる呻きにしかならなかった。
それでも姉様は、満足気な笑みを浮かべながら私を開放してくれた。その理解できない笑顔が、私を脅かす。
「いったいなんなんですか!?何がそんなに嬉しいんですか!?」私の血がついた姉様の唇が、愉快そうに歪む。
「だって…あなたが怯えながら必死に抵抗しようとするのよ?…可愛いにきまっているでしょう?」
唇についた私の血を嘗め、姉様は目を細めてその味を堪能する。
「姉様は…お、おかしいですよ!歪んでいます!」
「あら…そう?」
愉快そうな笑顔は、やはり消えない。私の抵抗しようとする一言一言のすべてを楽しんでいた。


339 :シーチキン:04/01/13 18:26
201氏……本編
その他の人……二次リレー?
 良いんじゃないの? この体制は。
 あとは フライングマンを某スレから呼んでくれば完璧だ!  

340 :ターンX百合リンガー:04/01/13 18:45
「こんなことの何が楽しいんですか…?私は、もっと普通に姉様とお喋りしたいんです!」
「あら…奴隷と主人の関係は、このようなものが普通ではなくて?」
「だから!奴隷とか主人とかってなんなんですか…!そんなのはおかしいって言ってるんです。姉様…もうやめてください」
「あらあら、奴隷にしてはいささかでしゃばりすぎではなくて?…くすくす…」
「…姉様…」
必死の懇願を一笑に付されると、こうも絶望感におそわれるのかと、咲紀は思い知った。

341 :201:04/01/14 00:32
「荷物は持った?」
「うん」
 昼休みの開始から少し。
 ちょっとした確認だけをして 鞄を手にすると、二人は教室を後にした。
 別に帰るわけでは無い。
 あんなじめじめした空気の教室に居ては せっかくの弁当も良い味が出ないと言うもの。
 そんなわけで 二人は何処か人っ気のない所で昼食を取る事にしたのだ。
 当然、教室に荷物だけを残していった曉には 碌でもない結果が待っているだろう事が容易に想像できるので、
自分の物は常に持ち歩くようにしている。
……万一、忘れ物でもしてしまえば 次に教室へと戻ってきた時、奇術師もびっくりな程に
キレイさっぱりと消えてしまっていることだろう。
 確認は、そう言う理由からだった。
「どの辺が良いかな?」
「うーん・・・」
 綾野に訊かれて咲妃は少し考えてみる……。
 けど よくよく思えば 咲妃は転校生であって、
この紫乃女に来てから そんなに経っていないのだから あまり校舎について詳しい事を知らないのだ。
例えば校舎の中で 何処に人が寄りつかないとかいう事は。
 ただ、言えている事としては 中庭と屋上は却下。 
 秋もいよいよ深い事で、外は寒々としているから。
 降る雨や 冷たげな風などというものは、窓の内から見るからこそ良い物なのだ。
……と、少なくとも綾野はそう思っている。

342 :百合リンガー:04/01/14 01:47
二次的なソフト黒百合は今のところ全部わたくしの文でごわす。
一回名前書きわすれたけれども。
ってか、こりずに書き続けてるのは201氏と私だけ。
さみしいなぁ…。


343 :201:04/01/14 12:49
 彼処や此処やと言いながら歩いていると、不意に咲妃が足を止めた。
「なしたの?」
 訊きながら綾野も足を止める。
「ここ……。 静かだね。
 誰も居ないみたい」
 そこは 或る一室の前。 一応 特別教室の部類に入るのだろうか?
 『旧・図書室』  と、室名がドア端の小プレートに書いてある。
「ああ・・・、そこね」
 何故だか綾野は渋い反応を返した。
「・・・? 旧・・・?
 図書室にそういうのって 珍しいね」
 咲妃も 旧図書という字を目にして反応する。 
・・・確かに、図書室に新旧が有るなんて話はそうそう聞かない。
「そりゃあ・・・まあ、ね」
「どうしたの? さっきから。 
 ひょっとして・・・ここって、あんまり来ない方が良い場所だったりするの・・・?」
「ん・・・、まあ、そう言う程でも無いんだけれど・・・」
 綾野にしては随分と珍しく さっきから鈍った反応ばかりが返ってくるので、咲妃は戸惑い始めていた。
・・・言う程じゃなくても、やっぱりそれなりには何かがあったのかな・・・?
「・・・えっと、・・・綾野?」
「・・・・・」
 咲妃が声をかけると、綾野は一つ小さく溜息付く。
 そうする事で 何かを割り切ったように、次の綾野はいつもの通りだった。
「ここにしよっか」
 言いながら その戸を開ける。
「え・・・? あ・・、うん」
 これにもまだ困惑したまま、咲妃は旧図書室に入って行く綾野に続いた。

344 :201:04/01/14 17:42
「・・・・て、わけ」
 綾野から 渋っていた理由を聞き出して、咲妃は後悔した。
 知らぬが仏とは、当にこの事。
綾野の言う所によると、此処は十数年前の夏休みに起こった有る事件の場所として知られていて、その事件というのが、猟奇殺人。
 被害者はこの学校の生徒数名で、生存者は無し。犯人は最後まで見つからず、しかもその事件の捜査に当たった刑事が
捜査の最中、この部屋で失踪。 以降、捜査を引き継いだ者・好奇心で立ち入った者の数名が此処で神隠しに遭うなどの事件が続いた為、
旧の名を付けて、人が入らないようにしていたのだという。
 実際の記録も有るのだから 確かに人が寄らない場所だと言う事に納得が行く。
・・・けど、
「それじゃあ 私達まで危ないよ」
 現実、見回す周囲は かなり『そういう』感じのする場所だった。
 床に厚く積もった埃とか、黄ばんだ何かがこびりついていて 部屋の中を薄暗くしている窓とか、
捜査の跡と思われるコーンやそれに書かれている立ち入り禁止の文字とか・・・。
「大丈夫 大丈夫。 十数年前の話なんだ、幽霊だって退屈して こんな所出て行ってるって」
「・・・・そうかなあ・・・」
 聞き返しながらも咲妃は安心を覚え始めていた。
 綾野がこの調子で居ると、何だか本当に大丈夫という気がしてくるのだ。
それは多分、咲妃が綾野に対して 並ならぬ信用を寄せている事の現れで・・・。
 思えば、綾野はいつもこの調子で咲妃を助けてくれているから・・・。
 そんな事に気付きながら 咲妃は何となく、じっと綾野を見つめ続けていた。

* * * * *

・・・と いう事に、綾野は気付いていなかった。
 ひとしきり咲妃を誤魔化した後、綾野は再び もの思いに耽っていたから・・・。

345 :201:04/01/14 23:43
* * * * * 
―――確か・・・その時も昼休みだったっけ。
 綾野達は二人きりになれる場所が欲しくて校舎を彷徨った挙げ句、此処に辿り着いた。
『旧・図書室』 
 実のところの理由は定かでは無いが、何やらの曰くが有る為に 人が寄りつかなくなった場所。
 その原因の大抵は この一室を見たままの、オカルトな噂による効果だ。
 ミッション系の学校だから こう言う所に近づきたがる奴はまず居ないし、
かと言って当の幽霊やら神隠しやらも本当は存在しない。
 つまり、害は無く。 しかも人が来ないという、当に理想通りの場所だったのだ。
 だが 二人が出入りしている所を見て 他の奴までもが入ってくるようになっては困るので、
二人はこの理想郷を守る為にちょっとした細工を施した。
一つは噂を立てる事。
「・・・・てのは どうかな?」
「あ、いいね、それ」
 入った者が次々と神隠しに遭うという・・・特に『常ならぬ』を嫌う『適格者』ならば
忌み嫌って近づきすらしなくなるような噂。

もう一つは噂を事実に見せかけること。
「ほら、こうやってコーンとか置いたりしてさ・・・」
「あ、だったら こんなのどう?」
「立ち入り禁止?
 いいね、それっぽい」

・・・そうやっている内に 昼休みが終わって、「あ、お弁当まだ食べてない!」なんて慌てた事・・・。
「いいじゃん、さぼっちゃお」
 それで結局 五校時目を此処で過ごした事・・・。
・・・そうだな、此処には色々有る。
 ちょっと有りすぎて・・・。 だから今日までずっと来ていなかったし、入る時だって ためらって・・・。
・・・だって、『此処』はこうして残っているのに、『此処』に有った二人はもう無いのだから。
「・・・・・、・・・」
―――静・・・。
 綾野は その時 自分の隣に居た もう一人の名を心の内で呟いていた。

346 :201:04/01/14 23:44
* * * * *

・・・やっぱ、思い出しちゃうか。
 ふい と 現在に戻ってきて、綾野はまた溜息をついた。
 綾野は咲妃と居る時、なるべく静の事を考えないようにしている。
 静の事を考えれば やはり沈んでしまうし、沈んでいたら咲妃に要らない心配をかけてしまうから。
 まあ、咲妃に『噂』の方を話したのも その辺に理由があったわけだ。
・・・思い出話なんかしても 暗いだけだからな・・・。
 でも、静の事は その内 話しておこうと思う。・・・そうだな、次に機会が有った時にでも。


347 :201:04/01/14 23:47
「・・・綾野」
 長い事 もの思いに耽っていて 黙ってた所為か、咲妃が不安げな声を出した。
「うん・・・?」 
それでもまだ ぼんやりした感じで聞き返すと、急に咲妃が綾野の額に手をあてて熱を計り始める。「咲妃・・・?」
「あ・・・、ごめんね、いきなり。
 その、綾野が ぼーっとしてるの 珍しいから。
 ・・・風邪とか、染しちゃってたら どうしようって思って」
「ああ、そういうことか」
 するって言うと 何か? 不安がっていたのって わざわざそんな事を心配してたのが原因?
 はは・・・可愛いな、咲妃は。 良い。 和む。
・・・おかげで何だか 急に、沈んだ気分が晴れた。
「でも無かっただろ、熱」
「うん。 良かったよ」
 そう言いながら 心底ほっとした様子を見せる咲妃。 その様子が・・・。
「可愛い奴!」
 少々の巫山戯も交えて綾野は咲妃を抱きしめた。
「わきゃあっ?!」
 すると これもまた可愛い声が上がる。
「も・・・もぉ・・・、綾野・・・」
 ようやく落ち着いた頃になって咲妃が抗議の声を上げた。
「あはは、ごめんごめん」
 笑いながら綾野は咲妃を放してやり、ついでに はぐらかす。
「ほら、そろそろ弁当食べよ。 時間無くなるよ」
「わ・・・、 ほんとだ」
「・・・・・・」
 本当にはぐらかせてしまった。・・・ここまで扱いやすいのは 問題だよな・・・。
 急いで弁当を広げる咲妃を見つつ、綾野はこの先に少ばかりの不安を感じるのだった。  


348 :201:04/01/14 23:48
・・・だめだ。 今日は文のノリが悪い。

349 :百合リンガー:04/01/15 01:21
スレが死のうが、人が消えようがわたしらにできるのは書き続けることだけ。
頑張れ201氏!

350 :名無し物書き@推敲中?:04/01/15 01:47
すでにリレー小説じゃなくなっておるな

351 :201:04/01/15 12:46
>>349 オーケイ、
>>350 そーなんだよ、寂しいなあ・・・。

352 :201:04/01/15 16:07
 ガラッ・・・
「あら・・・?」
 ドアの開く音の後に 疑問符を伴った声がして、二人は咄嗟に息を潜めた。
 どうやら 侵入者のようだ。 
・・・まったく、とんだ結界だな。 こうも簡単に人を近づけていては益体も無い。
「誰か居るの?」
 訊きながら 侵入者は踏み込んでくる。
 その慣れた歩調からして、おそらく よくここへ来ているのだろう。
 数ヶ月空けている内に ここは他の奴のテリトリーにされていたらしい。
「・・・ン?」
 ふと、綾野は何か引っかかりを覚えた。
 この声・・・。
「澪月先生・・・?」
 綾野よりもいち早く気付いていたらしい 咲妃が侵入者に呼びかける。
 それから、目線で綾野に(・・・だよね?)と確認して来た。
「だと思う」
 綾野もそうだと思っていたので頷く。
 すると 今度は向こうから声が掛かった。
「望月ちゃん・・・それと、藤宮ちゃん」
 ・・・凄い。 数百居る生徒を声だけで当てた。
 どうも、凄い人とは 大抵 何をやっても凄いらしい。羨ましいものだ。
「・・・正解」
 ちょっとした苦笑混じりに綾野が答えると、侵入者(・・・は、失礼か)・・・澪月先生は こちらへと歩いてきた。


353 :201:04/01/15 22:42
「よく判りましたね」
 この先生については二人とも敵対感を持ち合わせていないので、迎えはにこやかだった。
「ええ、花の匂いには敏感なのよ」
 少女のようにくすくすと笑いながら 澪月先生は答える。
「花・・・?」
 鈍い咲妃が ほけっとした顔で小首を傾げると、「合格」とでも言わんやのように 先生は満足げな顔をした。 
「そうよ。 ほら、こんな所にかぐわしい二輪」
 唄うように言いながら 二人の座る前に腰を降ろす先生はまるで 本当に花園に分け入って座り込むような仕草をしていた。
 それがあまりに自然なものだから、一瞬 この埃っぽい旧図書室が 花園にも思えてしまう。
「ごきげんよう」
 先生は二輪の花をそっと撫で、ふわりと微笑んだ。

354 :201:04/01/15 22:45
 それにしても、今日は良い日だと香住は思った。
 と言うのは 当然 お気に入りの娘達に、しかも個人的な場で出会えたからである。
 それがまたどうしてこんな所でなのかは判らないが、おそらくは
これこそが自分の求めていた光景なのだろうと。
 香住がこの学園に転勤してきて、今日で二月少し。
 日は浅いが、香住は決して職員室での昼食を良しとしない。
 彼処の空気は嫌いなのだ。
 疲れた大人。 疲れた匂い。 疲れた目 疲れた溜息 疲れた 疲れた 疲れた。
 異常なまでに醜い。
 ・・・ともすれば 何やら殺人欲まで沸き上がってきてしまいそうなので、
香住はできるだけ職員室に居ないようにしている。
あんな空気に浸かりっぱなしで居ては 新人だって一月そこらでイカレてしまうに決まっているのだ。
 しかも そのイカレは表立たず、内面に深く取り憑いて『個人』を『全体の一部』・・・此処の言葉で言えば
『適格者』とやらに仕立て上げてしまうのだから恐ろしい。
 そんなわけで、ここに来てからというもの『適格者』の寄りつかない場所を探して・・・つい一月前に
此処、旧図書室を発見。以来 休憩の時には此処に通い続けていた。
・・・そういえば、始めてここに入った時 少しばかり違和感があったのを覚えている。
十数年も人が出入りしていないにしては 何かしら 人が居たような存在の残り香が感じられたから。
・・・それって・・・。 ・・・いや、やめておきましょう。
 香住にはその残り香の主が誰なのかが判りかけていたが、敢えて答えは掴まなかった。
 自分に関係のない事だし、そう言うものをやたらに知りたがる程 欲求不満な日々を送っても居ない。
 それよりも・・・そう、今だ。
 折角の花園が此処にあるのに他へ思い馳せていたのでは勿体ないというもの。
 いや、それどころか 失礼に値する。
 敬服する程に、香住は美しいものが好きなのだから。
 愛らしくはこの二輪。 
 そう、これだ。 これでこそ安らげるというもの。
 社会人ともなってしまえば とりあえずの仕事には就くものの、何をしてい生きたいのかが判らず、
ただ風化していくだけの人々の中で 敢えて成りたくもない教師などに成った報いだ。
 そんなわけだから、香住は心行くまでこの一時を堪能し尽くす事にした。

355 :201:04/01/15 22:46
思っていたよりも・・・香住先生は可愛いお人なんだなって、思った。
 咲妃の見解からしてみると、これまでの香住先生に対するイメージは 十月の姉さまや、麻利亜様のような方向性を持って居るような感じだった。
 それは、教師という位置に立っている時の彼女であって、その壇を降りている今なんかは むしろ咲妃や綾野のような普通の正常な女の子という感じ。
 やっぱり、大人っぽい部分は大人っぽいけれど、・・・例えば、綾野をもうちょっと大人しくしたみたいな人が大人になったらこんな風になるんじゃないかな、なんて咲妃は思う。
 こうやって 一緒にお弁当を食べながらおしゃべりなんかしていると、此処が紫乃女だと言う事を忘れてしまいそう。 何だか、前の学校の事を思い出してしまう。
 けれど それはそれと区切ってしまっても咲妃は寂しくない。
 だって、今は こうやって賑わいの中に居るのだもの。
 それに今では姉さまや麻利亜様も 優しくしてくださるから。
 うん、・・・思えば・・・、『今』って、実は幸せなんじゃないのかなあ・・・・。
 ぼんやりとそんな事を思い、それで ふと気付く。
 そっか・・・幸せなんだ、『今』って。
 幸せというのは、気付いてみなければ解らないものだと言うのが よく判った。
 だから咲妃はずっと笑顔で居た。

 二輪の花は ただそれだけでも咲いているけど
  一際綺麗に花開くのは、太陽があるからなんですよ、先生。

356 :201:04/01/15 22:49
スランプ。
 ノリは少し回復しつつあるけれど、どうにも書く事がヘタレぷーだ。
 だれか、こんな自分にカツを入れる文章をつなげて欲しいであります。
 一応、これはリレーなので・・・。

357 :ねこねこ:04/01/16 00:25
スランプなの?
 どの辺が?  いたっていい仕事してるねぇだけど?

358 :百合リンガー:04/01/16 02:00
スランプっすか〜。
私は咲紀と姉様一対一の小話しか妄想していないから、201氏の多面的なアプローチは結構好きなんですけどね。

359 :201:04/01/16 16:02
少しづつ 復活してきました。 
 伴って、量も増量。 ・・・よかった、ちゃんと戻って。 

360 :201:04/01/16 16:04
 昼休みもそろそろ終わりという頃に 旧図書室を出て 香住先生と別れた二人は そのまま教室へは向かわず、その隣の『物置』へ向かった。
 『咲妃さえも』疑問を抱くこと無く この行動を共にしたのだから、連中のやり口も相当に底が浅く、見え透いている。
「・・・ねえ 綾野、今ちょっと酷いこと考えてなかった?」
「んにゃ? べつに・・・」
 普段ぼんやりしている咲妃でも 人並みにつっこめるんだなあ・・・・、とか、またもや失礼な感心をしつつ、綾野は物置の戸を開けた。
「・・・やっぱり」
「・・・だね」
 それから 二人、顔を見合わせて軽い溜息をつく。
 これは・・・確かに疎外されている事の現れを はっきり突き付けられていることなんだけれど、
これによっては・・・落ち込むというより・・・呆れる。
 でもって・・・。
「うわ・・・・」
「わ・・・・」
 机の中を確認した二人は同時に、呆れた声を出す。
 紙くず・・・ティッシュの丸めたのやら・・・あとは・・・これはパンの包みか?
 実にまあ、いろいろと塵が出てくる。
 あまりのアレな具合に、綾野は一瞬 くらり と来た。
「・・・ねえ咲妃・・・」
「なに?」
「・・・あたしら・・・何歳だっけ?」
「十六だよ」
「・・・だよね」
「・・・うん」
「・・・これ、どう思う?」
「・・・う〜ん・・・。
 此処、高校だと思うんだけど・・・」
「・・・一応、お嬢様な所だからなあ・・・」
 彼女らからしてみれば、これは究極にプライドを傷つけるような恐ろしい行為なんだろう。
 なにせ、根が『良い子ちゃん』なものだから 特に考えつくのはこの程度のものなのかもしれない。
・・・しかしまあ・・・、カワイイものだ。

361 :201:04/01/16 16:05
・・・だが。
 だが、綾野は知っている。
 そう言う奴程、実は恐ろしい。
・・・ほら、小さな子供って なんの考えもなく虫をひねり殺して楽しんでいたりするじゃない?
 それと同じ。 知らないと言う、何よりも残酷。 
 陳腐な話だけれど、子供は虫にも痛みがあることを知らないから。
 今の一件にも現れたように、つまり 連中は『小さな子供』なのだ。
 べつに 珍しい事じゃない。 特に此処最近の人間の情操は育ちが悪いから。
 体や能力ばかりが大人になって もっと根の部分は『小さな子供』のまま。
 いつ頃からなんだろうな・・・、学校は外面しか育てなくなった。
 だから、しょうもない大人が増加するんだ。 だから、風化した人間が多いんだ。
 だから・・・、あんな事を平気で出来るやつが出てきてしまう・・・。

――― かしゃん、  だったか・・・
  よく思い出せないけれど、 確か そんな音を立てて壊れたんだ。
――― ガラスの人形と   静の心が・・・。

362 :201:04/01/16 16:05
「・・・・・」
 どこか 怖い顔をしたまま黙って俯いてしまっている綾野に、咲妃はつい声を掛けずには居られなかった。・・・ずっとそのままで居られる程、咲妃は頑丈ではないから。
「・・・綾野? 大丈夫・・・?」
 ・・・・・
「・・・・ん?」
 少しの間を置いて、それからようやく綾野が反応を返してくれる。
 その時はもう、咲妃の知っている範囲の綾野の顔をしていた。
「いや・・・ゴメン、あんまりの呆れ具合に ちょっと呆けてた」
「あ・・・、そうなんだ」
 違う。
「悪い、なんか今日は呆けてばっかだ」
「いいよ、私もよくぼけっとしてるもん」
「はは、咲妃のは天然だろ?」
「あ、ひどーい」
 なんだろ、これ。
・・・なんか、一人で居るみたいだ。
 なんで・・・こんなに心細いんだろ・・・。
「あや・・・」「そろそろ戻ろっか」
「あ・・・うん」
 単に、今の間が悪かっただけなんだと思いたい。
 ちゃんと 訊こうと思った。
 なのに これじゃあ何だか・・・綾野の方に踏み入るのを拒まれたみたいで・・・。

 自分の気を逸らす為に 咲妃は少し別の場所を目に移すことにした。
 そして、その意図は 空しくも叶ってしまうのである。 望まぬ形で・・・。


363 :201:04/01/16 16:06
「あれ・・・?」
 気まずい空気を晴らしてくれたのは 咲妃の方だった。
 誤魔化したりなんかした自分が完全に悪いのだと判っている綾野だから、そうなると、すまないと言う気分になる。
 かくして 咲妃が「あれ・・・?」と反応した物は、綾野のでも咲妃のでもない、もう一脚の机だった。
―――・・・。
「行こう」
 敢えてそれを振り払うようにして、綾野はその場を逃げようとした。
 今朝の時点で机を取りに来た時には・・・あんな机は無かった。
・・・もしも・・・、
 もしも 解っていて こんな事をしたのなら・・・。
 今、とてつもなく 破壊衝動が沸き上がっている。
 対象は『適格者』という名の悪魔。 少なくとも、人じゃない。
 だって・・・あの机は・・・!
 綾野には その机の主が誰なのか解っていた。
 そして、その机の中に『ゴミ』として入れられている物も・・・。
 だから、逃げ出したかった。 今この場だけ、完全に敗北と認めても良い。
 咲妃と気まずくなってしまったって、ゆっくり戻していけば良い! だから!
・・・折角、『今』にまで来たのだ!
 それを・・・また 過去へ引きずり戻そうというのか!
 もしも・・・『それ』を手に取ってしまえば・・・『今』には戻れなくなる・・・。
 『今』・・・綾野には咲妃が居る。 
 形こそは 綾野が咲妃を守っているけれど、そうすることによって 綾野は支えられているのだ。
 守りも支えも在る・・・だから、これで良いんだ。
 なのに
「だめだよ、綾野」
―――最悪だ。 まさかこんな所で誤魔化しのツケが来るなんて・・・。
 さっきまでの誤魔化しにそれと解っていて応じてくれていた咲妃だが、この子はそれをずっと続けて居られる程 丈夫な子じゃない。
 それで、今また誤魔化そうとして・・・それに耐えられなかった。
「・・・ちゃんと 話して」
 咲妃なんかが怒ったって、全然怖くない。 なのに、今は・・・正直、怖い。
 ・・・・・・。
 そして綾野は観念した。 ごめん とこれからの咲妃に謝って・・・。

364 :201:04/01/16 16:07
「・・・もう一人の脱落者・・・。 静の席だよ」
 そう答えた綾野の顔は・・・何だか虚ろだった。
 目も・・・此処ではない何処かを・・・それとも、今ではない何時かを見ているみたいで・・・。
 咲妃は より一層の孤独感に苛まれた。
「・・・静・・・」
 まるで 夢遊病者のような足取りで・・・ふらふらと 綾野は出かけていた出口のから戻ってくる。
・・・そして、その一組の机の所に来て・・・中から何かを取りだした。
 咲妃の場所からでは それがただのガラスの塊にしか見えないが・・・その実体は、ガラスの翼。
 何かの一部だったのを もぎ取られたかのような 痛々しい壊れ跡を抱えたままの・・・。
「あや・・の・・・」
 その時、完全に咲妃は独りになってしまった。
 なぜならもう此処に綾野は居ないのだから。
 だから、その声も届かない。
「・・・そうだ・・、守れなかった・・・。 静・・・。
 ・・・見つけたよ・・・。   やっと・・・。  ごめんな・・・静・・・」
 
 ぞっとした。
 咲妃には その呟く姿が恐ろしくてならなかった。
 その姿は何よりも 綾野が此処に居ないという事実を突き付けていたし、咲妃から綾野を引き剥がそうと・・・いや、既に引き剥がしていた。
 だから、咲妃は独りなのだ  と、

 とさっ・・・
 
 足の力が抜けて、咲妃はその場にへたり込んでしまった。

 その前を、何事かを呟き続ける綾野が通って行く。
 咲妃に向けられるものは もはや 何一つ無かった。

中編  十一月  月曜日   一話  終わり

365 :201:04/01/16 18:05
はい、次は中編の第二話から。
 多分、静と綾野。 それからひとりぼっちの咲妃。
ってかんじの構造になるんではないかと。

366 :ねこねこ:04/01/17 08:16
続き キターーーッ!!
 もうね、 キターーッて感じにゃ

367 :名無し物書き@推敲中?:04/01/17 09:01
どうでもいいけど虫に痛覚はねーよバカ
少なくとも今の生物学界の通説なんで。
さも当たり前のようにうさんくさいこと書いても
誰も読んでくれないよっと。頑張ってお勉強しようね。

368 :201:04/01/17 09:53
ん・・・?
 ああ、痛覚の話じゃない。 比喩。
 それもわからんで、いきなりバカは無いと思う。
 だいたい、生物学界の通説って、説はあくまで説。
 完全な事実ではない。
 学者が言っているから本当だーとか信じ込むのは劇場のイドラってやつで
 色々考える物書きには はっきり言って致命的。
 説はあくまで一応の常識ぐらいにとらえておかないと 見解を狭める結果になるのだな。うん。

369 :201:04/01/17 09:56
中編  十一月  月曜日後半   二話

 まさか こんな時間に来るなんて思っていなかったから、静は驚いた。
「綾野・・・?!」
 確か 今日は平日で、しかもまだ二時頃。・・・もうすぐ三時か。
 とにかく まだ学校の在る時間帯の筈だ。
 格好からしても・・・途中で学校を抜け出してきたとしか思いようが無い。
・・・それに・・・。
 なんて 顔をしているんだろう。
「・・・酷い顔」
 思ったままに 静はその時の綾野の顔を口に表していた。
 綾野はそれに対する反応を全くせずに その『酷い顔』のままで『それ』を静に差し出した。
「・・・・」
 まず 一に目に入ったのは 血だらけの手。
 握られた赤いつぼみは花開き、二に、目に入った。
 それは ガラスの翼。
 『静』の ずっと探していた物・・・。
「入って・・・・」
 でも、静はそれを受け取ろうとはせず、ただ 綾野を家へと招き入れた。
 
「・・・手、大丈夫?」
 まるで 夢遊病者か 精神患者のように 虚ろげな意識しか感じ取れない綾野の手から、それを傷つけているガラスの翼を
あくまで受け取るのでは無く、引き離す目的だけで取り、それからその手に・・・絆創膏じゃあ事足りない状況だったので
慣れない消毒と、それから包帯を巻いてやった。
 そうしながら・・・静は始めて綾野と顔を合わせた時のことを思い出していた。
 『静』の時のじゃない。・・・今の静の時の。 秋の、この家での記憶だ。
 綾野は その時の事をよく覚えていないらしいのだけれど・・・。

370 :201:04/01/17 09:57
     * * * * * * *
―――その日も、綾野は来た。
  始めの頃こそは ただ嫌っていたのだけれど、幾度も来る内に 私はこの人が 実はそんなに恐ろしくないということに気が付いた。
 『静』の記憶にも、綾野という人物は好感と共にある。
・・・とは言え、それは『静』の記憶であって 私の記憶では無い。
 私は『静』ではないのだから。
  ただ、この身体の名前が静なだけであって、綾野の言う所の『静』とは違う。
 その事には、彼女も薄々気付き始めては居るようだけれど。
―――それで、確かその事をはっきりと告げたのだ。
 『静』はもう死んじゃったんだよ、と。
 今にして思えば、『静』をいつか・・・いつになってしまっても良いから取り戻そうと考えていた綾野にとって、とても残酷なことをしてしまったのだと思う。
 その時は・・・本当の事を言ってあげた方が良いのだと思ったのに・・・、今こういう風に思っているのは、その後の綾野の所為だ。

 ガンッ!
 廊下で何かを殴りつけるような音と、

 かしゃん・・・   だったか、そんな音。 何かが壊れる音がした。
 それは 私が存在し始めた時に聞いた音に似ている。

 綾野が 壊れた。
 狂ったように笑い出して・・・。
 それで 怖くなって 私はその時 始めて必要以外に部屋を出たのだった。
 その時・・・既に 失うことを怖いと思う程には 綾野に心を開き始めていた・・・。
私が出ていくと 綾野は 崩れて、・・・次に目を開けた私の部屋で、 綾野は壊れた時の事を忘れていた。

 でも、綾野は強い人で・・・。
 『静』が死んだという事は ちゃんと覚えていた。

371 :201:04/01/17 09:57
* * * * * * *

・・・なんだか、その時の綾野に似ている。
 『外』に壊されてしまったのだろうか。
 静は人形のように動かなくなってしまった綾野をそっと抱き包んだ。
・・・一応、『静』とはこういう仲だったらしい。
「・・・ほら・・・だから言ったじゃない。
 『外』は恐ろしい所なのよ・・・。
 だから、綾野みたいに強い人でも 壊されてしまった・・・」
「・・・・」
「部屋・・・行こ。
 もう少し 一緒に居てあげる。
 それで治ったら・・・また咲妃ちゃんの所に戻ってあげなさい」
 私は『静』ではないし、綾野の恋人でもない。
 それに綾野に守ってもらっているわけでもないし、綾野を支えているわけでもない。
 今 綾野を支えているのは咲妃という子。
 綾野の話に出てきたその子は、何だか『静』よりも弱そうな子だった。
 だから 静は敢えて綾野を突き返すのだ。 
 もしも咲妃が居なかったなら、このまま胸の内に抱え込んでしまっていたのかもしれないけれど・・・。
 でも もう少し待ってあげる。 今 突き放すには、綾野は傷つきすぎているから。
どうして私がそんな事をしているのかは・・・『静』が恋人だったから・・・っていう義務という事にしておく。
 ともかく綾野は咲妃という子の所に戻さなくてはならないのだ。
「その子・・・弱そうだから、本当に死んじゃうかも・・・」
 それでも、綾野は何も反応しなかった。

372 :シーチキン:04/01/17 10:06
おお、続きだ続き!
201氏よ367の狭すぎる意見なんぞ気にするな!
イマドキ 比喩の一つに現実論を持ち出す輩は相当に底が浅く知れている!
だいたい比喩ってわからん時点で 物書き板住人としてヤヴァイ。
漏れは応援して居るぞ! だからめげんな!

373 :名無し物書き@推敲中?:04/01/17 10:08
そんなこと言い始めたら
リトマス試験紙赤になってもアルカリ性かもしれないニダ!
アポロは月には行ってないダ!
とかいうことになるぞ

やっぱある程度常識に沿うべきかね?

374 :201:04/01/17 10:10
んー、良いんじゃないかな。
 勘違いは誰にでもあるし。
 367氏の主張も、彼の視点から物を見ればもっともと頷けるし。
 「誰も読んでくれないよっと」といいつつも呼んでくれているわけだし。
 細かい点に気付くのは悪かないと思うのだわ。
 ・・・まあ、今回は比喩を勘違いしてただけだったようだけど・・・・。

375 :201:04/01/17 10:20
373、リトマスとか、アポロは比喩じゃないよ。
   別に科学のお話をしているのではなくて、文章表現のお話なんだから。
  でも良いんじゃない?  大昔に全部が全部「果たして本当か?」
 と 疑って掛かって、一から証明していったデカルトとか歴史的な人物も居るわけだしさ。
 それが歴史的に讃辞を受けているって事は、人間の内ではたいして間違いでも無いという証拠なんだから。

376 :ねこねこ:04/01/17 10:32
>>367>>368>>372>>73>>374>>375

一寸の虫にも五分のたましー。

377 :201:04/01/17 10:33
あ、良い事言うねー。

378 :シーチキン:04/01/17 10:36
 続き誰かキボンヌ

379 :彼女はこうして壊れた。:04/01/17 10:43

(閉じ込められた一室。
目を逸らすこともできないまま、スクリーンに映像……)

静「……助けて……」
綾野「しっかりして、静。これはただの幻だわ、現実じゃない!」
静「助けて……ぇ……」
綾野「こんな……、ああ、神様、っ、どこにもいない!」
静「だって、だって……」
綾野「静……」

静「ディズニーだよお?!」

380 :201:04/01/17 10:46
????
 ショート・・・?
 ごめん、元ネタわかんない。ディズニーあんまり見ないから・・・。

381 :シーチキン:04/01/17 10:55
367=373=379は この程度の物しか書けないくせに201氏に喧嘩売ってたのか?
……呆れた。 身の程を知れ。 
 お前では201氏には 逆立ちしたって勝てんわ!
 もの申すのならば、まずは 漏れらギャラリーがびびる程の文章をつなげて実力を証明した後、
これを以てもの申せい! 

382 :201:04/01/17 10:56
うわあ・・・手厳しいな・・・シーチキン氏
 まあでもそうだね、リレー参加してくれたら賑わって良いかも。

383 :373:04/01/17 11:46
なんで俺が367で379なんだよ…
自分が気に入らないレスは全部一人のものだっていう
病的な思い込みをなんとかしろ

384 :名無し物書き@推敲中?:04/01/17 11:55
???
>379だけど。>366、>373とは関係ないよ。
単純にアダムスファミリーのネタだけど。
私はあの映画好きでね。嫌いという人がいても気にしないことにしている。
あと比喩だけど、同じジャンルのスレから、こんなの。
>母(《M》other)は女(《W》oman)ではありません。
>ましてや人間(《H》uman)でもありません。
>だから、母(《M》other)は母(《M》istress)なのです。
>最初の二行で、母は男(man)ではない、という意味もある。
これは普通に嘘を述べる比喩だと思うが、例のハエがどうのこうの〜は
比喩と呼ぶほど凝っているものが見つからなかった。

ついでにもう一つ。一幕の終わりで叫ぶ、
>この赤いカーテンを閉めて。
瞼の裏側は赤い、だからこの「赤いカーテンを閉めて」と、
舞台の「赤いカーテン」を閉めて、となる。この強引さは滑稽で、
それと正反対の、役者の真面目な口ぶりが笑いを取る。

虫の痛覚についてのところ、一見した限り、洒落にしては後ろが強引だし、
不自然さと真面目さの滑稽もない。というより、虫に痛覚がない、
ということを分かっていたとは思えない。
もっとも私も知らなかったが。

身内でガチャゴチャやるのも構わないけれど、
他人の意見に切り返せるほどのTEXTではないと思う。
「駄目だよ」って言われたら、素直に「はい」って頷いたほうがいいと思うな。

385 :名無し物書き@推敲中?:04/01/17 12:01
例えば「蟻みたいにすり減って(春樹だっけ?)」だと独特のイメージが沸くわけだ
ソレを狙って書いてるから

「蛇のミルクみたいな味」だの「えら呼吸する鳥のような」だと
読者はそこになんか意味があるんだろうと
どういう意味の比喩なんだろうかと思うわけよ。普通。

で、単純に作者が本当に蛇にミルクがあると勘違いしていて
文字通りの蛇のミルクの味を想像して比喩に使っていたら
そりゃ、「アホかそんなのないわ!」って言われて当然だろ?
ここ創作文芸なんだしさ。

386 :名無し物書き@推敲中?:04/01/17 12:01
おや、>366じゃなくて>367か。
ふむ、失礼! 別人という意味なら同じだけれど。

387 :シーチキン:04/01/17 21:42
全く以て。
別人だろうとかまわんさ。
どちらにせよキサマがあの駄文を書いたと言う事には変わりがないのだからな!
384=クズ だから言っているだろう。 偉そうに物を言うのなら 相応の実力を
示してからにしろと。
 それとも何か? まったくそんな実力もないのにそんな事をほざき立てているのか? 
 呆れた物だな!!  幼稚園から情操教育をやり直してこい! 
 クズの駄文書きが!  キサマはセンスの根底から腐っているようだ。  

388 :201:04/01/17 21:44
まあまあ、そう熱くなんないで。
 ・・・でも荒らしが来たのはショックだなあ・・・。
 暫く此処来るのやめとこ・・・。

389 :ぽけらっぱ:04/01/17 21:53
385くんは、新しい表現とかについていけない可哀想な人なんだよ。
 なにせ 旧人類だからね。  ダメダメ君なんだよ。
 そんなのに文章について言ったって、何かに書いてあったもしくは誰かが
言っていた事をそのまま書く事しかできないんだよ。
 自分の意見ていうのを言えないし考えられないんだ、彼は。
 可哀想だねえ。 まあ、そんなのだから彼はプロになれないんだ。
 終わってるねえ。 死んだ方が良いよ、もう。
 百害あっても 一理もないんだもん。 

390 :名無し物書き@推敲中?:04/01/17 21:58
384はキモイ。367で379と同等。
本人は否定しているが同じ人物に違いない。 
>>383の時点で冷や汗かいてる像が目に浮かんだ。
どっちにしても、駄人であることに変わりはない。
駄文。お前、文章書くのもうやめろ。あんな糞書いた時点で文章を綴る資格は
永久に無い。 

391 :名無し物書き@推敲中?:04/01/17 22:00
>387
>偉そうに物を言うのなら 相応の実力を
>示してからにしろと。

先生、自分で自分の首絞めてる人がいます!

392 :ねこねこ:04/01/17 22:01
けんか やめよーよ。
 ほら、385君、今すぐ201氏に謝って!
 ずっと見てると あきらかに君が悪いと思うよ!
 彼に消えられるとほんとに困るんだから、今すぐ謝りなさい!

393 :名無し物書き@推敲中?:04/01/17 22:05
ちょいちょい、おもうんだがね、チミ。
 385のような輩は単なる屁理屈屋だから 何言ったってむだだぜ?
 あー言うのはあー言えばこー言うんだ。
 バカだからめげる事も知らないしね。
 煽りはこれで最後にして、あとは無視しよ。無視。

394 :名無し物書き@推敲中?:04/01/17 22:08
正直201が消えても困らない
っていうかネコネコ=シーチキン(=201)だろ
殆ど毎回書き込みが数分違い。流石にみんな気付いてると思う。


395 :名無し物書き@推敲中?:04/01/17 22:15
拙者は385の臣下でござる。
 この度は殿が御乱心仕り、失礼を仕った。
 臣が代して謝罪を行い仕る。
 実は先日 殿がいかがわしい本を購入遊ばされようとした折り、
 店員からお歳を聞き申されまして、うっかりと本当の歳をお答えしてしまった物だから
その場で「お客様、こちらは十八歳未満の方はご購入できない品となって居るのですがよろしいですか?」
と聞かれて恥ずかしさのあまりに逆情された殿は「何が良いですか? だ! 氏ね!」
とわめき立てた上に、店員に店長殿を呼ばれまして・・・。
 その様な事があった故、今は気が触れておられるのです。
 なにとぞ、ご勘弁を願いたい。 では御免。

396 :ねこねこ:04/01/17 22:22
あー、ばれちゃった?
 うん、実は僕が201やっていたりして。
 でも シーチキン氏は違うんだな。 友人。
 荒らし撃退ように 僕がここに来る時間帯を示し合わせて見てもらってるわけ。
 そりゃ、時間も近いさ。 なにせ殆ど電話を片手にやってるんだもの。
 ついでに、僕の居ない時にも彼は来ているよ(ちゃんと見た?)
 でも こういう事されてるの ほんと困るから もう来ないでね。

397 :名無し物書き@推敲中?:04/01/17 22:26
心を入れ替えた385より。
すみませんでした。
もうしません。ゆるしてください。
シーチキン氏とねこねこ氏に深く謝罪を申し上げます。

398 :名無し物書き@推敲中?:04/01/17 22:35
こんばんわ。 385の妹です。
 ごめんなさい。 なんだかお兄ちゃんがとっても失礼な事をしちゃってたみたい。
 お兄ちゃんはね、もともとこんなことする人じゃないの。
 本当は優しくて、かっこよくて、とっても素敵な人なの。
 でもね、最近 彼女さんに 顔と性格が嫌いって振られちゃって・・・。
 それで今寂しいからこんな事をしているんだとおもうの。
 だから、もうちょっとだけ待っていてください。わたしがお兄ちゃんを元に戻して見せます!
 大好きだからね! お兄ちゃん!

399 :シーチキン:04/01/17 22:37
・・・なんか、第三者の手助けだが、ここまで来ると芸術的だな・・・。
 微妙に萌えるぞ、アンタ、ここで書いていけよ。歓迎するぞ。

400 :名無し物書き@推敲中?:04/01/17 22:38
IDでないからって好き放題やってるなw

401 :名無し物書き@推敲中?:04/01/17 22:40
昔(最初の方を)ここで書いていましたが何か?
 

402 :名無し物書き@推敲中?:04/01/17 22:44
だから、煽るなっての。 

403 :ねこねこ:04/01/17 22:46
うーん、おそらく395さんは、398さん?
 

404 :名無し物書き@推敲中?:04/01/17 22:47
文章ミスを指摘される>荒し認定>自分で荒す
すばらしいですわ、さくらちゃん!

でも一切のネガティブな意見が許せないならご自分でサイトを開かれて
そこで公開なさればいいのでは?
BBSやメールフォームも無しで。私はソレもありだと思いますわ。
文章を書き込み制限で分割しなくてもよいという利点もあるしね。

405 :シーチキン:04/01/17 22:50
たぶんそうだろうな。
ところでよ、あのクズどうする?
割り出して洗ってやろうか? 砂ゴミに頼めば一発だが・・・。
あ、そう、やんなくていい?
ま、いいや、そろそろやめとく。
またあした講堂でな。  

406 :ねこねこ:04/01/17 22:54
404たしかにそう思うけど・・・、それやるとウィルスとか来そうでやだなあ・・・。
だもんだから、こんな所でやってるんだけどね?
うん・・・でも この際それも有りかなあ・・・。
ありがとさん、404氏。

407 :ねこねこ:04/01/17 22:55
うん、またあしたーー。
 そうそう、今度ホームページの作り方教えてー。

408 :名無し物書き@推敲中?:04/01/17 22:57
>405
明日は
 日曜
  だろうが!
ttp://tenpuraomega.at.infoseek.co.jp/others/hack.htm

>406
メールフォームもBBSも無しなら
 ウイルスなんて
   こないだろうがっ!

何で最新50見てるだけの俺が突っ込んでるんだよ!
っていうかツッコミしたら負けとかのネタスレ?

409 :ねこねこ:04/01/17 23:01
うち、定時なんだけど・・・。
日曜にやってたらそんなに変?
世の中にはそう言う所もあるんだよ。 
調べてみたら解ると思うけど・・・。

410 :名無し物書き@推敲中?:04/01/17 23:03
>>387
私は他人に褒められるような自作を堂々書くほど能力はないし、恥知らずでもない、
誰かに指図されて書かなくてはならないような奴隷の身分ですらない。
それに私が書こうが書くまいが「おかしいんじゃないの」という読み手の意見に
何か関わりあるかな? 読み手というのは書き手よりも多く、そして書き手は
読み手の言葉をより知らなくてはならない。書き手が無視をする、それも結構!
読み手の言葉には意味のないのが多い。
ただ、意味のない弁解は見苦しい。自信があるなら、
「いかにも、そのとおり」
「だが、直すつもりはない。そんなのは些細なことだ! 
 そんな間違いにこだわるほど、簡単な俺のSSではない」書き手の言葉はこれで済む。
「いや、そこは〜」というのは中途半端な自己弁護。
それは相手に言いたいのではなく。自分の文章の欠点に自信が持てていない。
自分自身、自信を張って言えるところがないから、欠点を何とか隠そうとする。そういう言葉。

いろいろ言ったけれどね。つまりアマチュアの書き手のわりには、自分を大切にしすぎている。
他人に見せたくないのではなく、まったくの見ず知らずの他人に見せて、その他人から批判的な
言葉が出ると、他人を蹴飛ばし自分を庇う。ならどうして見せたの? ということになるでしょ。
酔いしれるなら末座まで。酔って己を偽らぬが吉。

私のは駄文だという人もいるけれど、201氏のレベルはこれぐらいだと思うよ。
つまり出来損ないの借り物。自分で書いているつもりでも、自分自身を演出できていない。
さすがにここまでいうと非難になるから、これ以上はやめておく。
多分、私は君よりも文章を理解している。
本に接している時間も長い。だからこういうことは分かる。つまり本気の文か、
そうでない文かということは。何日も一行に悩み、推敲を重ねた文というのは
パッと見た目では分からないが、読み重ねるうちにわかるもの。
201氏はどっちか? ふむ、残念だけれど。ま、答えないでおこう!

411 :ねこねこ:04/01/17 23:05
メールフォームもBBSも無しなら
 ウイルスなんて
   こないだろうがっ!
ふーん、そうなんだ。
 良くわかんなかったから、じょーほーありがとにゃー。
 でも、どっちか無かったら意見聞けないから駄目かも。
・・・・っていうか、ちょっとして君はTiから始まる名字の人?
 いやね、そんな感じの知り合いが居て、「記名しない」なんてメール送ってきたんだよ。
 ひょっとして、君か? いや、人違いならごめんにゃー。

412 :名無し物書き@推敲中?:04/01/17 23:07
>410
だからお前も煽るなって
定時制なんだよ。電話で自作自演なんだよ。
このスレに命かけてるんだよ。解ってやれよ。

…って、だから何で俺が突っ込みいれてんだよ

413 :201:04/01/17 23:12
ほうほう、なるほど、うんうん、
いやいや、これはこれは、
ちょっとばかり勉強になっちゃったわ。
それだけでもここに居続けたかいがあるというもの。
410
『「いかにも、そのとおり」
「だが、直すつもりはない。そんなのは些細なことだ! 
 そんな間違いにこだわるほど、簡単な俺のSSではない」書き手の言葉はこれで済む。
「いや、そこは〜」というのは中途半端な自己弁護。
それは相手に言いたいのではなく。自分の文章の欠点に自信が持てていない。
自分自身、自信を張って言えるところがないから、欠点を何とか隠そうとする。そういう言葉。』
 目から鱗ですよ先生。これには成る程。
 そんなわけで、一からやり直してきますわ。 じゃ、ばーあい。
 

414 :201:04/01/17 23:14
>>412いや、あれはマジ良いと思う。ほんと。
 本人が本気で言ったのかどうかはさておき、今ので何かが掴めたような気がした。
 大感謝。

415 :201:04/01/17 23:47
あぼーんな依頼を出したので、そろそろあぼーん。
 みなさん さよーならーーーーー。

416 :百合リンガー:04/01/18 01:15
うひゃあ、急に人がふえている…。
しかし、誰もSSをあげてないですのう。
早くSSをクレクレ〜



417 :イラストに騙された名無しさん:04/01/19 01:42
比喩を比喩と理解できなかったアレな人から始まったお祭り。
よく続くなぁ・・・


比喩表現には必ず科学的根拠を持ち込まなければならないのか。
し ら な か っ た ・ ・ ・

418 :名無し物書き@推敲中?:04/01/19 08:31
そろそろ問題の種を創作文芸として冷静に振り返ってみよう

そもそも比喩とは
>物事を説明するとき、相手のよく知っている物事を借りてきて、
>それになぞらえて表現すること。(goo国語辞典)
らしい。
俺は比喩に科学的な根拠は必ずしも必要ではないが
比喩として持ち出すのに、適しているしていない、ってのはあると思う。

例えば、黒さでなく白さを表現したい時に「カラスのように真っ白」って書くのは間違ってるよな。
アルビノのカラスは存在するし、世界中探せば白いカラスも居るかも知れないのに、だ。
では何故間違いなのか。
それは俺たちが「カラスは黒い」と「知っている(思っている)」からだ。
ここで注目すべき点は「カラスが黒いか白いか」でなく「読者がその事柄をどう思っているか」だ。
これが適不適を決める。


419 :名無し物書き@推敲中?:04/01/19 08:34
問題になった箇所は、恐らく
>子供は虫にも痛みがあることを知らないから
ってとこだろう。
比喩の「正確さ」の点では論ずるまでもなく「間違い」だ。
だって虫は痛くないんだもの。(俺は高校で習ったな…)
だが、そんなことはあまり重要ではない。重要なのは「読者の虫の痛覚に対する知識」だ。

つまり読者が、虫は痛みを感じないということを知っていた場合>比喩として不適
読者が知らなかった場合>比喩として不適ではない(読者が虫に痛覚があると受け取るから)って事。
SFなんかだとこの辺厳しいだろうね。

で、俺の感想だが、367は口の悪さが201は頭の悪さが目立った。
例えばこれがエロパロとかだったら書いた人に文句をつけた奴がアホだが、ここは創作文芸。
添削に逆切れして自作自演嵐をするような人物はこの板は相応しくない。
あと、わざと間違った知識を語らせてキャラの馬鹿さを表現するのもアリだと思うが
今回はそれを狙った訳ではないことは明らかだな。

っていうか201ねこねこシーチキンぽけらっぱが
全部グルだという事を踏まえたうえで最初から見ると寒いスレだな。
隔離スレなのか?

420 :名無し物書き@推敲中?:04/01/19 10:45
>419
比喩表現には、それ以外にも所謂単純な印象としてのもので表したものもあるのでは?(知識云々を抜きにして)

また、418氏の言うような、通俗的に概念が(大抵は)一致している「色」のような問題と、痛覚の(この場合はあるなしの)問題(問題、というか使い方かな)
はやはり多少扱い方が違うとオモワレ

421 :名無し物書き@推敲中?:04/01/19 17:53
これを読み取るには相当な読解力を必要とするな。

まず、虫の痛覚について、高校生なら誰でも知っているということを前提とする。
で、積み木の痛み、砂の城の痛み、壊れた玩具の痛み、蹴飛ばした石の痛み、なら
分かる。全部子どもの一般的な遊びだしな。明らかにこれらの痛覚は、実際の
ものではなく、単純な比喩と読み取れる。
ただこの場合、つまり虫の痛みの場合、虫を捻り潰すというのは、子どもの遊びでは、
まず一般的ではない。だから使用は限定されて、こういった表現を使うときは、悪意を
曲解したり、無知の罪悪を表現するときのみ。よってここからは201氏の自己世界に
スリップすると考える。つまり、舞台そのものがこの現代のそれでなく、
ファンタジックなものになる。
その世界は虫に痛覚がある。
ただこの場合はもちろん比喩ではなく、本気のもののはずだが。

まあ、ぶっちゃけていえば201氏のSSの表現が稚拙だったって
ことでFAだと思うけれど。読み手がNGっていったら、書き手は従うべきだ。
自分の未熟さを棚にあげて読み手を非難するのは愚かの極みだな。

422 :名無し物書き@推敲中?:04/01/19 20:15
解ったような、解らんような…
「壊れたおもちゃの痛み」みたいな「最初から存在しないもの」を
イメージ優先で比喩として使うのは確かにアリだな。
壊れたおもちゃの傷みなんか「誰も知らない」のに。

っていうか作者は
>無知の罪悪
というか、子供の無知の怖さみたいなのを表現したかった訳で
ひょっとしなくてもソレは伝わってるよな…
乱暴な話になるが、…と……みたいに
正しい正しくない以前に「伝わればなんでもok」って気もしてきた。
(漫画の手法を取り込んだラノベが面白かったりするし)

423 :名無し物書き@推敲中?:04/01/19 20:46
怖いか?
どちらかというと馬鹿らしい意味合いに使っていると思うが。
ぶっちゃけ>>419が正しいだろ。つまりキャラの馬鹿らしさの表現。
その後も馬鹿らしい会話が続くし。厨房なみ。

424 :名無し物書き@携帯:04/01/19 20:59
あ、スレあぼーんしちゃうんだ…。
初期に少しだけ参加した身としては残念…。

425 :名無し物書き@推敲中?:04/01/19 23:00
続けとけ

426 :1からやり直し:04/01/20 00:36
まだ消えていないようなので覗いてみたら、何だか為になる会話が・・・。
実はもともと修行用にとやっていたスレなんだけど……、その甲斐は二十分に在り。
いやいや、なんか、どうも。 色々と経験に……少なくとも成長材料には成ったわ。
いつ消えるとも知れないスレですが指導願いますです。 

427 :1からやり直し:04/01/20 00:46
取り消してきたので ひょっとしたら 続くかも知れない。
 そこで、良ければ続けてみようと思うのです。
 勿論、「一から」という事で、指摘は貴重な添削として取り入れていこうと
思うですが・・・。
 特に418から422までのやりとりを見ていてこう思ったとです。
 その二人の名無しさん辺りにも指導願えると有難いです。
 どうでしょうか?

428 :名無し物書き@推敲中?:04/01/20 00:58
>削除対象アドレス:
>http://book.2ch.net/bun/index.html#15
>削除理由・詳細・その他:
>そんなわけで、黒い百合のスレを削除してください。
>立てた本人です。はい。
> なんか色々あったし、荒らされたりしたので、あの作品も惜しいし・・・
> もう削除しちゃってくださいな。 さっぱりと! 

ドコから突っ込めばいいのか…
とりあえず自作自演で荒しをするような輩はこの板にふさわしくないので消えてください
”このスレはあなたの私物ではありません”

429 :1からやり直し:04/01/20 01:00
そこをなんとか

430 :1からやり直し:04/01/20 01:32
無反応。
・・・わかった。 出ていく。

431 :百合リンガーF:04/01/20 11:50
うおっ!
ひ、人がいない…。
荒れたっちゅーか、皆が積極的に頑張りすぎたっちゅーか…。

わたしゃね、思うわけですよ、201さん。いろんな人が読んだんだから、そりゃいろんな意見が帰ってきますよ。自分には納得いかない反応もありますよ。
でも、それで腹が立ってもね、怒っちゃいけませと思いますよ。
すみませんと謝って、少し気にしながら文の続きを書く。それで、認めてもらう。
書くしかないんですよ。
小説なら、読み手に楽しんでもらってなんぼ。
自分の思い通りの文を書くのも重要。けど人様の目につくときは、そりゃもう自分一人の小説じゃないんじゃないですかねえ…。
自演やってるとは思ってましたが、そんなんはどうでもいいんですよ。201氏や他の人が文を書いてることが大事なんですたい。


432 :名無し物書き@推敲中?:04/01/20 17:51
まぁ、何にしてもとりあえず続き読みたいんだが・・・

433 :百合リンガー:04/01/20 18:56
うい。まず書くのが大事かと…

434 :名無し物書き@推敲中?:04/01/20 22:55
少し修行と反省して それから戻ってくる。


435 :名無し物書き@推敲中?:04/01/21 07:21
434って誰?
201か?

436 :名無し物書き@推敲中?:04/01/21 20:00
もしもそうだとしたら、反省も修行も、
少しで済むようなもんじゃないな。

437 :百合リンガー:04/01/21 22:19
誰か、書きなよ。
私もおよばずながら、書かせていただきましょうかと…。
ここは創作文芸板なんですから。

438 :名無し物書き@推敲中?:04/01/22 02:32
冷却期間

スレが下がりきった頃に
じんわりと動き出すくらいでいいよ

439 :名無し物書き@推敲中?:04/02/01 20:47
オンドゥルルラギッタンディスカー!!

440 :百合リンガー:04/02/05 19:34
ひさびさに自分の文書を読むと、ダメさがよくわかりますな…。 キャラの様子がよくわからないし、文書も変だし、書くべき部分がかかれてないし…。 しかしこのスレどこまでしずむんでしょ。

441 :名無し物書き@推敲中?:04/02/10 16:10
久しぶりにきたけど、停止中なんだね。
201のプロットの縛りがきつくて書かなくなってしまったんだけど、麻利亜と菫を勝手に登場させたのは漏れです。
もうちょい菫を活躍させてほしい。
いいキャラだと思うんだよね。できればお金持ちのお嬢様という設定にしてほしかったが……

442 :名無し物書き@推敲中?:04/02/10 21:21
初めて来たんだけど、このスレって奥泉光の「葦と百合」とは関係無いの?

443 :名無し物書き@推敲中?:04/02/12 15:35
関係ないと思うよ。

444 :名無し物書き@推敲中?:04/02/18 15:38
保守

445 :名無し物書き@推敲中?:04/02/22 06:26
http://ex2.2ch.net/test/read.cgi/net/1077397760/

446 :ユリスレウォッチャーレット :04/02/23 00:04
いつになったら続きが出るんだ?微妙な所で終わっているんだが…… やる気無いのか。>>201の御乱心振りに プッ・・・。 ヲマエイラネ。
 このジエンのせいで中断してるようだ。 吊っとけ

447 :名無し物書き@推敲中?:04/02/23 03:08
>>1
>雑ここ! ─18─ のスレで要望

どこのスレのこと?

448 :ハングドマン:04/02/23 22:31

 「吊られる人」という言葉遊びがある。
 それはつまりこういう遊び。

 PM9:00
 Deed...


「D?」

 彼女はボクにそう言った。
 ボクは"D"というスペルを、素早く赤インキで描く。
 四つの言葉のうち一つ。インキは彼女の口のなかから。
 とても、とても、彼女は綺麗な子だったけれど。
 今ではもう原型を留めていない顔。
 ボクの握る金属バットも、ボコボコにへこんでいた。

 ボクは一回目、硬い縄を彼女の首にかける。
 まるでお姫様にネックレスをつけてあげるような厳かな気分で。
 ボクはとても嬉しい気分で、思わず笑みをこぼしながら、彼女に言った。
「あと、三回だね」
「そうね」
 彼女が口を開くとその喉からパッと赤い血がボクに降りかかる。
 唾まじりで。
 ボクはそれを飲み込んだ。地面――廃工場の床、積み重ねられた黒い埃に隠れる前に、
 それもすくって飲み下す。落ちてしまって、埃に染み込んだものは、埃ごと食べた。
 これは彼女の聖水。イコール。とても、とても、美味しい。


449 :ハングドマン:04/02/23 22:32

「E」

 再び彼女はボクにそう言った。
 ボクは"E"というスペルを、素早く赤インキで描く。
 四つの言葉のうちの二つめ。ハングドマンのスペルは四つ、制限も四つ。
 完成すれば、縄を解く。
 もしも完成しなければ、首に縄をかけられたまま足は宙ぶらりん。
 そうなったら。そうなったら? 今は血だらけでもまだ生きているけれど。
 あと二つの言葉。それがDeadに繋がるかもしれない。

 ボクは二回目、彼女の首の縄に、クレーンをつけた。
 犬の首輪みたい。逃げられない。逃がさないための。首輪のロープ。
 ああ。どうして。どうしても。
 ボクは彼女のことが、大好きだ。
「あと、二回だね」
「そうね」
 深く押し殺したような声だった。ボクはあまり耳にしたことのない声。でも。
 昔、ボクが彼女を「大嫌い」と言ったとき、こんな風な声を聞いた。
 ボクの目の前で。
 そのとき、彼女は泣いていた。 

「A」

 三度彼女はボクにそう言った。
 ボクは"DE"の隣に、"A"を書き足す。やっぱり同じ赤インクで。
 これで三つめ。あとハングドマンに残された文字は、一つ。
 ここまで作れたのだから。彼女も、何か、ある程度見当がついているはず。 
 あとは、彼女がそれを言うかどうか……。


450 :ハングドマン:04/02/23 22:33
 ボクは三回目。クレーンを起動させる。ブルブルブル。大きな音。
 響く。心まで響く。心地よい音が。気持ち良い音が。
 その音に交じって、何かが聞こえた。
「……ねえ」
「ん?」
「喉が、渇いたわ」
 彼女はそう言った。縄に締められている、その細くて美しい喉が渇いていると。
 血を吐き出して、乾いたのかもしれない。

 彼女……お姉ちゃんは……キスの味を知っていたのだろうか。
 他人の唾を飲むことを知っていたのだろうか。ボクはそのことが、ずっと疑問だった。
 一緒に暮らしてきて。ボクは。
 ボクは人を恋する気持ちを、お姉ちゃんに教わった。
 ボクはお姉ちゃんだけに、人を恋する気持ちを教わった。
 自分の恋心を性欲に転化することで。ある程度は抑えられるということを、その気持ちから学んだ。
でもそれだけじゃ不十分だった。
 だってボクの恋心は性欲なんかじゃないんだもの。
 女同士。実姉。たとえセックスをしたって駄目。恋心を抑えることは出来ない。この面白い気持ち。
壊したい。殺したい。殺されたい。狂わせたい。狂ってみたい。ボクは真面目すぎて。そしてボクは、
こうも思っている。そうすることが、お姉ちゃんにとって仕合せだって。
 ボクにこんなに思われているお姉ちゃんは仕合せだろうって。


451 :ハングドマン:04/02/23 22:35

「喉が、渇いたわ」
「……」

 ボクは何も言わなかった。

「ねえ、喉が――」
「最後の文字は?」

 ハングドマン。
 今の時刻は、12:00。 

「耳を貸さないのね」
「……」

 DEA_.

「でも、私にとって見れば、あなたは」
「最後の、文字は?」

 ボクの言葉に。
 苦笑して、彼女は。静かに。静かに。静寂を共として。
 まるで聖夜に、寝床へと横たえる真夜中の恋人たちのように。
 清く優しく、暖かな声で。ボクに、その文字を囁いた。

452 :名無し物書き@推敲中?:04/02/23 22:42
>>446
その手があったか!
とりあえず適当に書いてみたけれど。
ハングドマンのルールについてはWEBで適当に調べてくれや。

453 :名無し物書き@推敲中?:04/02/24 03:20
>>1
>雑ここ! ─18─ のスレで要望

どこのスレのこと?




454 :女の子と人形:04/02/24 18:44

 昔々、あるお屋敷に、人形しか友達のいない女の子がいました。
 二人はおそろいのリボンをつけていました。
 女の子は、綺麗な指と綺麗な足と綺麗な髪と綺麗な瞳と、あまり綺麗ではない心を持っていました。
 その友達である人形は、醜い指と醜い足と醜い髪と醜い瞳と、とても醜い心を持っていました。
 女の子はお屋敷で、毎日ピアノのお稽古をしていました。人形はそれを傍で見ていました。
 人形は、けれど醜い身体なので、とても小さな身体なので、いつも車椅子の上に乗せられていました。
 ピアノが鳴ると車椅子も、きぃ、きぃと鳴りました。
 でも、ピアノよりもずっと汚い音でした。

 あるとき女の子はピアノの練習をすることに飽きてしまいました。
 そこで女の子は、どこか他のところへ遊びに行きたいと思い望みます。
 しかしピアノのお稽古は誰かがしなくてはなりません。
 そこで女の子は、車椅子の上にいた人形に頼んで、身代わりになってもらうことにしました。
 人形は車椅子の上ではなく、ピアノの鍵盤の前に立って、ポロンポロンと太い指で鍵盤を鳴らしました。
 女の子は身代わりを人形に任せて、自分は屋敷の外へ遊びに行きました。

 屋敷の外はとても面白くて、女の子は楽しく、楽しく、遊びました。
 しかしやがて日も暮れると女の子は身代わりにしてきた人形のことが心配になり、屋敷へと戻りました。
 屋敷に戻ると、ピアノの鍵盤の前に人形がいました。けれど人形の弾く鍵盤はとても稚拙な音だったので、
屋敷にいた他の人々からは、とても怪しまれていました。女の子は大慌て。
 夜になってから、人形を車椅子の上に戻すと、女の子は人形をめっと叱りつけました。
 しかし人形はこう答えました。
「私の指はとても太くて、醜い。だから上手く弾けないの。あなたの指をくれるなら、きっと見事に身代わり
をできるわ」
 そこで女の子は人形の言葉にうなずき、自分の綺麗な指と、人形の醜い指を交換しました。

455 :女の子と人形:04/02/24 18:45

 さて、女の子の髪の毛はとても綺麗だったので、女の子に言い寄る男の子はとても多いのでした。
 はじめは気分がよかったけれど、女の子は髪の毛しか褒められないのを、すごく嫌に思いました。
 でも女の子はあまり綺麗な心を持っていないので、それしか褒められるようなものがないのです。
 けれど女の子はそれでも、髪の毛だけ褒められるのが嫌で仕方ありません。
 そんな風な毎日を過ごし、あるとき。その日。女の子のために屋敷でパーティが開かれて、男の子たちが
たくさん、たくさんくることになりました。
 女の子はまた髪の毛だけが褒められるのが嫌で、逃げ出そうと思いましたが、しかしそういうわけにも
いきません。
 そこで女の子は、人形を身代わりにすることにしました。
「ねえ、お人形さん。この髪とあなたの髪を交換して、パーティに出てくれないかしら」
「わかったわ。じゃあ、交換しましょ」
 そういって人形は、そのボサボサの醜い髪と女の子のサラサラした髪とを交換しました。
 女の子はパーティを抜け出して、人形はパーティに出ました。
 でも、女の子は人形のことが心配になって、日が暮れる前に屋敷へと戻りました。
 するとそこで人形は、男の子たちに囲まれて、髪を褒められながら、笑っていました。
 女の子はどうしてか、胸がずきっと締めつけられました。 

 ところで女の子は人形と指を交換して以来、たびたび屋敷の外へ出ることができるようになりました。
 色々なものを女の子は見ました。綺麗なもの、醜いもの、変なもの、愉快なもの。女の子はとても目が
よかったので、本当に様々なものを見ることができたのです。
 昼間、ふと女の子は屋敷へ戻って人形に、自分の見てきたものを見せてあげようと思いました。
 一緒に、屋敷の外へ出ようと誘いました。
 人形は断りました。
「どうして?」
「だって私の目は、ガラス玉で、何も見えないのですもの。あなたが目を交換してくれるなら、たくさんの
ものが見えるようになるのでしょうけど」
 女の子は人形と自分の瞳を、交換しました。
 そして人形の喜ぶ声を聞きながら、人形のリボンと自分のリボンを繋げて、はぐれないようにしながら、
一緒に屋敷の外へ出て楽しみました。
 とても、とても楽しい一日でした。

456 :女の子と人形:04/02/24 18:46
 目の見えなくなった女の子は、足元も見えなくなり、あるとき躓いて、細い足を挫いてしまいました。
 痛みに泣く女の子へ、人形は優しい、優しい声で語りかけ、もしもよかったらこの痛みを感じないけれど
歩けない足と、あなたの足を交換しない? と言いました。女の子は涙ながらにうなずきました。
 やがて、取り替えた人形の足は治りました。

 女の子は、人形のリボンに自分のリボンをくくりつけられたまま、人形の膝の上で、弾かれているピアノの
音を聞いていました。美しい、美しい音色を聞いていました。
 そのとき車椅子は鳴っていませんでした。ただ、ピアノの音が鳴っていました。
 膝の上は暖かいのだと、女の子は知りました。
 ピアノの音が鳴っていました。

 恋する二人の四つの耳に、ピアノの音だけがいつまでも聞こえていました。

457 :名無し物書き@推敲中?:04/02/24 18:48
>>453
雑談はここで! の18スレ目じゃないかな。多分。


458 :名無し物書き@推敲中?:04/02/27 00:28
>>女の子と人形
ゾクッとしましたでも恋をしてるんですかね?
殆んどパーツが自分のものだったものになってしまった人形に恋をする
ま、それもありかも
それならもっと濃く恋心の描写も欲しかったです

459 :名無し物書き@推敲中?:04/02/27 02:02
女の子ははじめから恋をしていますよ〜。
だから、それほど怖い話じゃありません。むしろほんわかした静かな話。
「あまり美しくない心」は人形を離したがる、幼い恋心のことです。
人形と比較すると、これは"まだ醜くない心"になりますね。
髪を交換したときに初めて自分の心に気づき人形と一緒に居たいと望みます。
まあ、心だけは交換できないという変な教訓の入った童話なので。

460 :名無し物書き@推敲中?:04/03/06 14:52
保守

461 :名無し物書き@推敲中?:04/03/12 18:38
201さん召喚呪文・・・

462 :名無し物書き@推敲中?:04/03/13 14:21
ゴゴゴゴゴゴ………
何処からともなく音が響いてくる。
201が現れた。 201の攻撃。
「上げ〜」
上げるだけ上げて201は帰っていった。

463 :801:04/03/15 23:53
201が801に進化した! 属性が百合からやおいに変化した!

464 :名無し物書き@推敲中?:04/03/16 00:32
ここって…201のネタスレだったのか
タイトル通り素直に反応して覗いちゃったじゃんか

465 :ハングドマン2:04/03/21 03:20

 最近、お姉ちゃんがボクを見なくなった。
 どうしてだろう。ボクはお姉ちゃんに嫌われているのだろうか。
 ボクは、ただお姉ちゃんとセックスしたいだけなのに。
 もしもお姉ちゃんが処女ではないとしても――少しその相手に腹立つけれど
――ボクはそんなこと、気にしないのに。
 それともお姉ちゃんはボクをセックスしたくないのだろうか? 小さい頃から
ずっと同じだったお姉ちゃんが、このことは一致しない? そんなことは考えら
れない? ボクはお姉ちゃんを信じている! そう? ボクはお姉ちゃんとセッ
クスしたいから。つまり。
 きっとお姉ちゃんもボクとセックスしたいはず。
 今日の夜はお父さんもお母さんもお出かけだ。ボクはお姉ちゃんとずっと。
 いっしょ。


 小さな頃、ボクは性欲の意味さえ知らなかった。エッチという言葉は知って
いたけど、その中身までは、まるで分からなくて。裸を人前に晒すことが恥ず
かしいことだということ。コンビニエンス・ストアや狭い書店の、誰もその前
では立ち読みしていないコーナーがエッチな本の置いてあるところだ、と知っ
ていただけだった。
 お姉ちゃんもセックスの意味なんて、まるで知らないようだった。

 知らなかったから、なのかもしれない。
 ボクは時々お姉ちゃんとキスをした。抱き合った。手を繋いだ。ボクはお姉
ちゃんと何度も胸がドキドキすることをしていた。お姉ちゃんとそういうこと
をするのはとても勇気がいて、気持ちよいこと。
 けれど、いったいどこで。ボクはそれを止めてしまったんだろう。気がつくと、
ボクの掌からお姉ちゃんの温もりは消えていた。ボクはあの気持ち良い感覚を
忘れていった。あんなに気持ち良いことを。失くしていた。

466 :ハングドマン2:04/03/21 03:22
 小学生の頃だと思う。ボクが始めてエッチな本を読んだのは。クラスメートに
誘われて、コンビニエンス・ストアの店員に見えない位置にある本棚から、そっ
と取ってその本を覗いた。
 その本では男と女の人が抱き合って性器を擦りあっていた。ボクは男の股間に
生える陰茎を見たとき、それが男性の性器であることを知った。ボクには無いもの
だった。もちろんお姉ちゃんにもないものだった。ボクはそれを見たとき。
 
 醜い、と。
 おぞましく醜悪で卑しいものだと感じた。そして嫌悪した。一緒にいたクラス
メートははしゃいでいたけれど、ボクは嘔吐すらしかけた。黄色い吐瀉物をあた
りに撒き散らしそうだった。こんなものに、ボクのお姉ちゃんが取られるのかと
思うと――。 
(ああ)
 ボクはお姉ちゃんを。
 こんな醜いものをつけた男などに奪われるのだろうか。お姉ちゃんはこんな
ものに自分の身体を差し出すのだろうか。美しい身体を、この醜いバケモノに。
そんなことが許されるのだろうか? 許されていいのだろうか。
 そして男性器などというものを笑って許せる女ども――こんな奴らにも、
ボクのお姉ちゃんの身体を触る資格はない。そんな権利があっていいはずが
ない。
 たとえ世界中の人間がお姉ちゃんを狙っていようと。
 お姉ちゃんの肉体はボクだけのもの。

467 :ハングドマン2:04/03/21 03:24

 ――セックスしたいよ。

 ――分かる? 今、濡れているんだよ。お姉ちゃんを思って。

 ――お姉ちゃんも濡れているんだね? ボクに知られるのが恥ずかしいんだね? 
 ボクが「スカートを脱いで」って言ってもお姉ちゃんは脱いでくれないもの。

 ――でも、ボクは見せてあげる。お姉ちゃんが、ほら、目を逸らしても。
 だってボクはお姉ちゃんとセックスしたいから。ねえキスをしてよ。小さい頃
はしてくれたでしょ? 駄目なの? いいよ。だったらボクから勝手にするから。

 ――お父さんも、お母さんも、いない夜は。ふたりきりだね。

 ――お姉ちゃん、セックスしようよ。ボクは性欲が溜まってどうしようもないの。


 ねえ、お姉ちゃん。
 今日学校で面白いことを聞いたよ。セックスは好きな人とするんだって。
 だからなんだね。何度も、何度も、セックスしたってボクはお姉ちゃんを好きな
まま。ずっとずっとボクはお姉ちゃんを好きな人。お姉ちゃんもボクを好きな人。
 ねえお姉ちゃん。抱いて。もっと強く。ぎゅって。
 何もかも、お姉ちゃん以外の何もかも手放したいくらい、いい気持ち。
 この手綱だけは離さないけれど。たとえ明日世界の車輪がボクたちを轢き殺しても。

 死が二人を別つまで。ボクとお姉ちゃんは恋人同士 
 ――お月さまがきれい お星さまがきれい
 お姉ちゃんの白い肌を ボクの肌を 黒いクロイ クルクル廻る瞳を
 きらきら照らしてる――

468 :名無し物書き@推敲中?:04/03/21 03:28
前設定無視ですよっと。

469 :名無し物書き@推敲中?:04/03/21 20:31
いいね!

470 :名無し物書き@推敲中?:04/03/22 21:42
なんじゃこりゃ。ここって百合スレだろ?
それとも主人公がボク女とか?
ああ、そんなら納得。直接的に男の部分が書かれてないし。
よし、ボク女ケテーイ。

471 :名無し物書き@推敲中?:04/03/23 11:58
>470

>ボクは男の股間に生える陰茎を見たとき、それが男性の性器であることを知った。
>ボクには無いものだった。もちろんお姉ちゃんにもないものだった。

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