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ちょっと短い作品を発表せよ

28 :名無し物書き@推敲中?:04/02/10 12:53
風の勢いはまだまだ衰えない。有香は慎重に歩みを進める。
山田さんのベッドを離れ、神経症の老人のエリアにたどり着いた。
老人は有香の下半身を目で追いながら微かに笑っているように見えた。
神経が刺激されたのか胸の前で右手が小刻みに震えている。目の前
を通り過ぎる有香にバイバイしているようにも見えるのがユーモラスだ。
老人のエリアを通過した有香は最後のうつ病浪人生のエリアに来た。
浪人生はいつも掛け布団をスッポリ頭からかぶって様子がわからない。
大抵は壁方向に頭を向けていた。しかし今は通路側に頭が移動して
いた。誰にも察知されないようなやり方で体の向きを変えていたのだ。
浪人生は布団のすき間から目の前を通りすぎる有香の下半身を無我
夢中で見つめた。この体勢だと有香の腰周りしか見えない。でもそれ
が一番の鑑賞スポットなのだ。ほかの部分はどうでもいい。
浪人生はベッドの鉄パイプと鉄パイプの間に顔を押し付けて最大接近
を試みた。そのとき天が彼に味方した。風が一瞬強くなり有香はバラン
スを失った。そしてこともあろうか浪人生の顔にお尻を押し付ける格好
になってしまった。人生最大の幸運がやってきた。有香は両手が塞がっ
ているからお尻のちからで体勢を立て直そうとする。それにより浪人生
の鼻と唇は有香のお尻の谷間に深く突き刺さる。浪人生は顔全体に
柔らかな、暖かい、マシュマロのような感触をえて恍惚状態だ。
やがて体勢を立て直した有香は無事に無風地帯に避難した。
そのとき神経症の老人がつぶやいた。「寒いで窓しめてくれんか」
山田さんは目の前の窓を片手でちょいと押して閉めた。
山田さんと浪人生の目と目があった。よく見ると浪人生の顔が鉄パイプ
から抜けなくなっていた。浪人生は思わず苦笑いをした。
この病院にきて初めてみせた笑顔だった。
                        


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